2008年11月6日木曜日

目標

先日アメリカ大統領選が行われ、民主党のオバマ候補が当選した。その翌日の大学の講義で、「ブッシュ大統領の残した最大の負の遺産は、イラク戦争でも金融危機でもなく、ヨーロッパとの間に造った隔たりだ。」と述べた教官がいた。アメリカは、その強大な軍事力と経済力で世界各国の政策に影響を与え、自らも発展してきた。しかし、それらのハードパワーのみでは世界中から反発や批判が巻き起こり、とても自らの政策を実行できない。事実アメリカも強力なハードパワーのみに頼るのではなく、その独自の政策理念、価値観やポリシーで各国を引き込み、それぞれの国の利益と自己の利益を同一化させ、それによって自らが推進を望む政策を実行させやすくして発展してきた。しかし、同時多発テロ以後のアメリカは、各国の合意を得るための交渉に割く労力を減らし、結果、単独行動が増えた。ハードパワー以外で、各国の意思決定に影響を与える要素である、その国の理念や価値観、文化、伝統などのソフトパワーが衰えてきているのだ。


先日「日本が侵略国家であったというのは濡れ衣」という論文を書いた航空自衛隊幕僚長がいた。その実際の真偽はさておき、日本が侵略したのは間違いない事だ。確かに、それで相手に対して引け目を感じて現在進める政策に影響があってはならないと思うが、逆に頭から否定するのは間違った対応だと思う。日本は侵略国家ではなかった、との論文を自衛隊の高官が書くと、それが日本の考えだとまでいかなくても、そう考える人が少なからずいると世界は思うだろう。それは、世界から見た、日本の価値観や理念に影響を与え、そして世界各国で推進する日本の政策に偏見をもたらすに違いない。日本は、軍事的に見れば核兵器を持っているわけでもないのだから、大した事はない。つまり、ハードパワーでは敵わない相手が多いのだ。そこで、日本の国益を目指し、更なる発展を求めるためにも、ソフトパワーを増強させなければならない。ソフトパワーで世界各国に働きかけ、交渉で説得し、信頼を得て、自らの政策を実行するのだ。そのために、日本はアメリカに追従するだけではなく、独自の文化や価値観を磨き、それを世界に発信していかなければならない。

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