2011年6月10日金曜日

A planet

世の中には現在300以上の惑星が存在するといわれているが、その中の1つに少々変わった惑星が存在する。外観は地球が専ら青い球体であるのに対し、その惑星はパンダのように黒色と白色が入り交ざった球体である。そこで暮らす人々は一族単位で行動し、そのほとんどが男性である。またどの一族も4つの階層に分かれており、各階層には一族の存続を影で支える女房が数人ずつ控える。彼らは年に一度開かれる、一族の位を決めるための決闘(この決闘に向け一族は代表として11人を選抜する)に勝利するため、日々厳しいトレーニングに励んでいるのである。

そんな惑星である日、ある一族の下から2番目の階層に属する13歳の少年が、何か思いつめた表情で道端にぽつんと1人立っていた。彼の名は定かではないが、『プライドが高く落ちこぼれであるにもかかわらず、自分より下の階層の面倒を見たがる』という性格が孔乙己(魯迅著)に酷似していること、また外見が小太りであることから“孔太”と呼ばれていた。孔太はその時、自分のあまりの不甲斐なさに失望し、また彼特有の『打たれ弱さ』も加担して、一族を離れ他の惑星へ飛び立つべきかどうか悩んでいたのだった。するとそこへ彼の親友である“face big”がやってきた。(彼の名もまた定かではないが、外見上の特徴から近頃この惑星で流行しているSNSをもじってそう呼ばれている)彼は利己主義的な性格の持ち主であったが同時に歯に衣着せぬ物言いで自己主張の強い男でもあったので、孔太は彼に絶大なる信頼を置いており、自分の胸の内を打ち明けた。「お前は常に考えすぎだ。だが決闘に向けて真剣に取り組む気がないなら他の惑星へ飛び立った方がましである。」その言葉だけを残しface bigはその場を去って行った。それから1週間、孔太はあれやこれや思索にふけ、ついに他の惑星へ飛び立つことを決意した。

旅たちの日。前日に飛び立つ仕度を整えた孔太は出発願いを携え、いつものトレーニング場に向かっていた。どんよりした天気が続くこの時期にはめずらしく空は晴れ渡っているというのに孔太の表情は浮かない。前日同じ階層の女房からもらった手紙が彼の決断を揺らがせていたのだ。トレーニング場に着くと、いつもと変わらない景色であるはずなのに、トレーニング場が、網のついたポールが、そして何よりこれまでともにすごしてきた一族のメンバーそれぞれが、全くなじみのないものであるかのように孔太の目に飛び込んできた。「今日は最後なのだから悔いのないように過ごそう!」そう自分に言い聞かせ、孔太は恐怖にも似た感情を押し殺していた。だがトレーニングが始まると、メニューが普段より厳しいものであったからであろうか、孔太は無心でトレーニングに食らいついていき、「これが最後」という当初の気持ちを完全に忘れて、むしろトレーニング自体を楽しんでいた。そして全てのトレーニングが終わると、face bigが笑いながら近づいてきて「結局お前は飛び立つことはできないよ。俺ははじめからわかっていた」と孔太を茶化した。すると近くにいた同じ階層のツンデレくそ野郎も事情を察し「パフォーマー、バーカ」といって爆笑した。いつもならツンデレくそ野郎の言葉にイラッとする孔太であったが、今回ばかりはその言動の裏側にある優しさを感じざるを得ず、自然と笑顔がこぼれた。

その夜、くたくたに帰った孔太のもとに1羽の負傷した鳩が一通の手紙を届けた。「とりあえずさ、 やろーよ。俺も頑張るし、皆でサッカーしたいんだ だからもうちょい待って。」その日の一連の出来事によって孔太は、ケガをすることが運命であると自分に言い聞かせ、他の惑星に逃げようとした自分を恥じた。と同時に、一族のために、そしてなによりも自分のために誰よりも努力することを心に決めた。“心が変われば行動が、行動が変えれば習慣が、習慣が変われば人格が、人格が変われば運命が変わる。”ある努力家の座右の銘が頭の中で旋回しいつのまにか孔太は眠りに就いた。

2年MF  豊田

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