2015年9月17日木曜日

魅力的な嘘の世界


こんにちは。

題名が示すもの、今回は初めてでも楽しめるアニメを紹介します。

まず、「アニメ」と聞いて思い浮かぶものは人それぞれだと思います。ポケモンやドラえもんはもちろん、ワンピースやナルト、エヴァンゲリオンまでは誰でも聞いたことがあるはずです。
これから紹介する5つのアニメは、そんな「A級アニメ」ほどには有名でない「B級アニメ」です。ジブリや細田守作品も省いています。
けれど、僕が中高の貴重な時間を費やしたことを後悔していない作品ばかりです。

なので、ぜひ一度、見て欲しいです。

 

5

・坂道のアポロン

 ジャンル:学園ラブストーリー×ジャズ

 感想:都会から転校してきたピアノ少年、西見薫は、ガチムチのドラマー川渕千太郎に出逢うことで「ジャズ」に目覚める。さらに薫は千太郎の幼馴染の律子に出会い――

この作品の売りは何といっても「ジャズの演奏シーン」。バンド経験者なら共感できると思うが、楽器を準備するあの感じ、音を出して確認するあの感じ、誰かがきっかけを作ると誰かが乗っかってくるあの感じ。とてもよく出ていると思う。

三角関係が繰り広げる恋模様も見ていてドキドキするが、長崎の方言による会話もいい味を出している。おすすめシーンは7話の文化祭の演奏シーン。あんなセッションが聞けたら目を瞑って聞き入ってしまう。音楽好きなひとには特におすすめ。

余談だが、このアニメのサントラの作曲者は菅野ようこ。ガンダムなどの作品でもサントラを担当していて、有名な曲も多い。個人的おすすめは、「残響のテロル」で使われているアイスランド民族系音楽の「Von」、「Walt」。

 

4

・東京喰種(グール)

 ジャンル:アクション×不条理のダークファンタジー

 感想:アニメ化しているので紹介したが、原作の漫画の方がおすすめ。カフカの「変身」の一節、「朝起きると自分の体が巨大な毒虫になっていた」から始まる、東京を舞台にした、ある事件をきっかけに、人と同じ姿をしながらも、人間を喰うことでしか生きていけない「喰種(グール)」に成り変わった「人間」、カネキケンの物語。この作品の何が面白いのかと言われると、主人公が他作品で言う、所謂世界から拒絶される存在の一員として活動していることである。

最近はスピンオフという形で敵の一員を主人公にして、物語を展開する作品は多く存在する。だが、真っ向から、世界から否定される存在たちの一人を主人公にする作品はそこまで多くはないと思う。喰種であるカネキたちは殺されないためにも、人間の社会に紛れ込まなければならない。息を潜め、常に気を張り、生きるために人の死肉を口にしなければならない。

彼らはいわば別の進化をしただけの人間なのだ。だが、その絶対数が少なく、生存に必要な行動が現在の世界の支配者たる人間からすれば許容できないものであるからこそ駆逐される。
そんな彼らにも人並みの愛情や友情もある。だが、同時に理解できないほどの狂気や凶暴性もその内に潜んでいる。
喰種同士による人の肉を奪い合うための争い。喰種を狩るために作られたCGCという組織。起こる人と喰種との対立と激闘。半人間、半喰種という存在として、それぞれの立場から物事を見定めるカネキが巻数を重ねるごとに成長していく様は圧巻である。
さらに、カタルシスを開放するかのようなアクションシーンもぜひ注目してほしい。

また、アニメの主題歌になっている凛として時雨の「unravel」がこの作品の世界観を上手く表現している。このアニメが自分に合うと感じたらエンディングを担当するamazarashiの曲にもきっとハマる。知人にファンがいないのでハマってほしい。

 

3

・四畳半神話大系

ジャンル:京大×ラブコメ×SF

感想:原作は「夜は短し歩けよ乙女」で有名な森見登志彦の小説。大学のサークル活動というベースはあるものの、珍妙奇天烈な台詞の長廻しがひたすら続くという、一風変わった作りのアニメ、萌えも燃えもない、クライマックスもなければ起伏もない。そもそも主人公には名前がなく、一人称の「私」がひたすら喋りまくる。

ストーリーは大学に入学したての主人公「私」がサークルに入って、悪友の小津・ヒロインの明石さん・下宿に長年住む怪人(通称「師匠」)などの濃いメンツにかこまれ、大概はろくでもない運命に巻き込まれるというもの。各話の最後で「こんなはずではなかった、私の薔薇色の大学生活は……!」とタイムリープが起きる。けれど、どのパラレルワールドであっても、ひどい目にあうことが多い。失敗ばかりしていて良いことがない。でもひどい目にあったとしても、良いことがなかったとしても、それは何もしないで過ごすよりも、ベターな体験であったという価値観が示されている。十話、四畳半世界に閉じ込められたことで、主人公が無意義だと思っていた日々が、実は有意義なものであったと価値観の転換がそこで起きているのだ。だからこそ、これから新たな大学生活を送る人たちがこれを見れば、どのように大学生活を送ればそれが有意義なものになるか、一つの価値観を見ることができるのである。

僕は高校生でこのアニメを見て、本気で京大に行こうと思った、それほどアジカンと相対性理論の主題歌や、京都の街の活気溢れる描写に引き込まれていた。

繰り返しだが、キャッチーな絵柄では決してないし、ドラマチックな展開も皆無である。けれど騙されたと思って、一話だけでも観てほしい。
一話から全開で飛ばしまくる主人公の長廻しと小津の毒々しい邪悪なキャラクターに惹かれたら、一気に最終話まで退屈しないことは請け合いである。数多くいるアニオタ仲間で、誰一人この作品を批判しないことも、このアニメを推す自信になっている。

 

2

・秒速5センチメートル

 ジャンル:純愛×ノスタルジー

 感想:「君の才能はうちにはもったいない」と宮崎駿に言わしめた、新海誠の作品。主題歌である、山崎まさよしの「One more time one more chance」は知っているひとも多いはず。

三本立てだが主人公は変わらない。第一話、小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。ある日、貴樹は明里に逢うため、栃木へと向かう。第二話の舞台は種子島、サーフィン好きで一途な少女、香苗の貴樹への片想いを描く。

1時間のストーリーで、物語は直接的ではなく、間接的に進んでいく感じがして、置いてけぼり感が強い。けれど、妙に心に焼き付いてしまう。
それは物語がすごいとかではなく、見ている側の記憶に作用し、思い出させるからだろう。
貴樹のように過去のことが忘れない人間にとっては辛い話であり、「もう二度と見たくない」と言わせる。
過去をきちんと思い出にできれば、その当時の感情が蘇ってきて、それが大人になると、なかなか味わえない「青春の味」なわけで、心を鷲掴みされる。
物語うんぬんよりも、ここが狙いだと思う。そして、その手伝いをしているのが、異次元に切なく美しい、作画と天門のBGMである。言葉ではとらえきれない、胸が苦しくなる感情。こればっかりは体感してみるしかない。

この作品は意外と有名なようで、全然オタクでない友達もあやも知っていた。もし新海ワールドにハマってしまったら、「雲の向こう、約束の場所」「言の葉の庭」もおすすめである。

 

1

PSYCHO-PASS

ジャンル:近未来SF×刑事

感想:僕が東大生にダントツでおすすめしたいアニメ。

舞台は、個人のもつあらゆる性格・感情・欲望がすべて《数値(サイコパス)》で表されるようになった超先進的未来社会。

物語の核となる「シビュラシステム」は、市民のサイコパスを記録・管理し、誰もが適切に働き、誰もが適切に暮らせる(職業やライフスタイルが強制的に決まる)社会を実現するための支援システムのこと。
これによって、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって」行為したかが数値的に鑑みられ、その行為の《善し悪し》が、その《数値》によって判断される。
そして、主人公の常守朱は、数値が一定以上になってしまった、いわば社会不適合者(潜在犯)をドミネーター(シビュラシステムと連動して作動する)という銃で裁く刑事。

ほとんどの市民は当たり前のようにシビュラシステムに従っているが、アニメを観ているとやがて「このシステムに信頼性はあるの?」という疑問が生まれてくる。 自らの意思を持たず、得体の知れない制度に人生のすべてを委ねる人間たちは、果たして生きているといえるのか?

朱も同じ疑問を抱え、ついには「シビュラシステム」の正体を知ることになるが―――

この作品の見どころは、何といってもシビュラシステムと、それに従いつつも葛藤する生身の人間たち。劇中のセリフのひとつひとつが重く、将来現実にあり得る社会であるために一層考えさせられる。
たしかに、正義の基準をシステムに委ね、裁判もなく人を裁ければ、楽で、誰にも責任がないと思う。だけども、それは理解を越えたものから目を背けているだけであり、いつかは足元をすくわれるときがくる。

最終話の朱のセリフ「社会が人の未来を選ぶんじゃないわ  人が社会の未来を選ぶの 私は、そう信じてる」はそんな彼女なりの結論を示している。

 また、この作品では、主題歌、個性的なキャラ、ベンサム/マルセル/ミシェル・ヴィヴィオルカ、罪と罰/ディストピア/二項対立/ヨハネの福音書など、多様な文書から引用される価値観が見事に調和し、独自の世界観を作り上げている。一話で新米刑事として登場する朱と共に、サイコパスの世界に触れてみてほしい。

 


被写体になってくれる彼女がほしい

1年 増田伶

 

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