2015年10月20日火曜日

1秒

先週の土曜日、ふとテレビをつけたらやっていたのは、年始の風物詩である箱根駅伝の予選会。正月の箱根路を走るために、今年の箱根駅伝でシード権を獲得できなかった各校が最大限の準備をしてこの予選会に臨む。そこにはそれぞれの大学にそれぞれのストーリーがあって、妙に引き込まれてしまう。

予選会には各校最大で12人の選手がエントリーできて、そのうち各校上位10人のタイムを合計したものがその大学のタイムとなり、そのタイムが短い上位10校が箱根駅伝の出場権を獲得する。

予選会の戦い方は独特で、集団走などの戦略がある。各個人が1位を目指すようなマラソンなどとは違って、予選会ではみんなが一斉にスタートする中で全員が1位を目指すのではなく、チーム全体のタイムとしての上位を目指す。だから一か八かの賭けでハイペースで入って失速したり、逆にリスクを冒すことを恐れて慎重になりすぎた結果遅くなってしまったりすると、チームの足を引っ張ってしまうことになる。

一人一人が自分に与えられたタイムを目指し、自分ができることをしっかり行うことができれば、個人の勝利にはつながらないかもしれないが、チームとしての勝利につながる。



そんな箱根駅伝の予選会、箱根駅伝出場圏内の10位と圏外の11位のタイム差はわずか10秒、選手10人でのタイム差と考えると1人当たり1秒縮めることができればひっくりかえせたかもしれないほどの僅差で明暗が分かれた。

1人当たり1秒。20kmのコースを一時間強で走ることを考えれば簡単に紡ぎだせそうな気もしてしまう。でも選手たちはチームのために、1秒を追い求め走った結果そのような差がついてしまった。

もし、「みんながあと1秒ずつ速く走れれば箱根駅伝の出場権を獲得できるよ」と分かっていれば、選手たちはどうにか力を絞り出してペースを上げ1秒をつかみとれたかもしれない。だけど実際はそんなことは分からない選手は、20km近く走ってきて限界も近く苦しい状況でペースを上げるという選択ができるだろうか、ペースを落とさずこのままのペースを保ってゴールにたどり着ければいいと思ってしまうんじゃないだろうか。


前々回の箱根駅伝で、2位に4分半以上の差をつけて圧倒した東洋大学のスローガンは「その1秒を削り出せ」だった。その前年の大会で21秒差で優勝を逃したことからそのスローガンを掲げていた東洋大、テレビで実際に見ていてすごいなと思ったのは最終区の10区の走りだった。10区に入った段階で後ろとは3分以上の差があり、優勝は確実だろうし、リスクは冒さず置きに行くのかなと思いながら見ていたが、最終的にその選手は区間賞を取る走りで、後ろとの差をさらに広げてゴールテープを切っていた。できる最大限の力で自分の役割を果たし、しっかりとスローガンを体現している姿を見て、すごいと思ったし、強さを感じた。



この東洋大とは状況は確かに違う。瑞基が言っていたように、厳しい状況であることは違いない。背後には、息遣いが聞こえるくらい近くに後ろのやつがいるかもしれない。でもやるべきことは同じだと思う。できる最大限の力を出すこと。もう1つギアを入れて、冷静にかつ熱い気持ちを持って走り出せばいいと思う。


悔しいことに、自分はもう勝利に対する直接的な貢献をできないかもしれない。だからこそピッチにいる選手が苦しいときに1歩、もう1歩、足を前に出せるように声を出し続けたい。



自分に残されたのはおそらくあと2試合、ピッチ上の誰よりも走ってやる


4 FW 片瀬

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