2015年12月9日水曜日

東西勢力圏

ア式の部室の一階は大きな棚を境に二つに分かれている。部室の入り口から入って手前の方が西側で、奥が東側(農学部グラウンド側)と命名しよう。みんな毎日部室を使っていると自然と自分の荷物を置くところは段々と決まってくる。例えば私なら東側のベンチに置く。そこが混んでいたら通路側に置く。しかし、荷物を置く場所は少しまちまちでも着替える場所は絶対に東側の奥側である。周りに気配りのできる人間である私は、ア式の可憐な女子スタッフに自分の着替えを見られることは忍びない。入り口は閉まっていないことが多いので、通路側では着替えないのである。


一年の多くは通路側に荷物を置く。部の慣例で一年はそのあたりに荷物を置くことが暗黙の了解なのだ。やはりこの事実から通路側は不便であることがわかるであろう。この不便さに少し気づいた一年は東側に避難するのだが、一年の中でたった一人西側(入り口手前側)に堂々と荷物を置く者がいる。そう、ゴリラ界の貴公子、糸谷歩である。さすが糸谷、普段の図太さはこういったところに表れている。


私は快適な部室生活を送るため、以前から自分のポジションをどこにとるべきか考えてきた。自分のロッカーが東の奥側にあるため、東側の奥側のイスを自分の勢力圏にすることがベストである。しかし、この勢力圏にはア式が誇る二大エース、長久保さんとただけんさんが存在する。新米FWの自分には無理だ。私は早々に諦めた。ならば西側奥のベンチ。そこも快適に過ごせるはずだ。しかしそこはア式の守備の要軽部さんが守っていた。私は早々に諦めた。そういうわけで自分は一年の多分に漏れず東側、通路側を勢力圏にしている。


しかし東側奥のイスへの夢は捨てきれない。そこで私は先輩がもう帰っていたり練習していて部室に来ないような時は荷物を移動してそこで着替えている。教頭が校長室のイスに校長がいない間に座っているような感じである。気持ちとしてはそれと同じだ。やはり快適、気持ちよく着替えていると、たまに来ないと思っていた先輩がやって来る。そういう時は自分はそそくさと元の場所に帰る。別に先輩はどけなどとは言わないのだが、こういった小さなことが先輩の機嫌を損ねうることを知っている私はすぐに退くのだ。


快適な部室生活への闘いはまだ終わらない。次の政権交代の時こそポジションを確保してやるのだ。私の野心は尽きることはない。


小さいな俺。
一年 FW 井小路菖

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