私とスタッフとiPhone
先日、髪を切りに行ったときの話である。 美容師のおじさんが私のiPhoneをしげしげと眺めながら口を開いた。 「僕、もうこれ以上本当の意味でiPhoneは発展しないと思うんですよね。」 「それはまた、どうして。」私は内心首をかしげた。とてもそうとは思えない。 「だって」おじさんは続けた。 「人間の生活を楽にすることが目的だったわけでしょう?なら、形はなんだって良いわけで。本当はもっと適当なあり方があるかもしれないのに、いつまでもiPhoneのフォルムにこだわるのが僕にはどうにも歯痒くて・・・」 彼曰く、スマホの形をやめて腕時計型にしようが本質的には変わらないからダメ、とのこと。 なかなかに手厳しい。しかし、美容院での1コマとしてふさわしいかどうかは別として、なるほどごもっともである。 前置きが長くなってしまった。 その時私が思ったこと、それは「スタッフとしての自分の現状はiPhoneと同じ」ということだ。 「いやいや、みかちゃんiPhoneほど優秀じゃないっしょ」というツッコミが聞こえてきそうだが、どうか目をつぶっていただきたい。 問題はそこではないのだ。 4年の先輩方が引退なさって新人戦が始まった今、自分で考えて発信する場面は格段に増えた。 考えがまとまらないこともあれば、枝葉末節にこだわって本質を見失いそうになることもある。 スタッフの仕事は「ピッチ外からア式の勝利に貢献すること」。これが大前提であり、存在目的でもある。 自分の仕事は何のため、あるべき姿はどんな風、本当の意味で発展的であるためには? 目新しさに飛びついて本来の目的を忘れてもだめ、かと言って現状の拡大発展が適当なあり方だとも限らない。 形に固執せず、目的達成のための本当の最短経路を常に考えること。あまりに抽象的で、あまりに難しい。 けれどこれを忘れるわけにはいかない。 入部から半年、思わぬ場面で改めて大切なことに気づかされた一幕だった。 「髪切った?」って言われると嬉しくなる 1年スタッフ 今堀実果