原点回帰
あの時からちょうど1年が過ぎようとしている。
毎日朝8時から夜の11時くらいまで、ひたすら机に向かって猛勉強。部活を他の人よりも長めにやっていた自分は受かるか受からないかギリギリのラインで、一秒たりとも時間を無駄にすることはできなかった。そんな中で最後まで諦めることなく勉強を続けることができたのは、東大に合格した先に待っているであろう楽しい大学生活のおかげあった。それは友達と遊ぶことや、大学で学ぶことに対する期待でもあったが、それよりも大きなウェイトを占めていたのは大学サッカーに対する期待だった。幼稚園からサッカーを始め、小中高とほぼ毎日ボールを蹴り続けていたのでサッカーを欠いた生活は考えられなかった。絶対に合格してまた真剣勝負をしたい。
なんとか合格することができた自分は、大きな希望と期待を持って目標としていたア式蹴球部に入部した。いざア式に入部してみると大学サッカー生活は良い意味で予想を裏切るものだった。キーパーから丁寧にパスをつないで相手を剥がしていき相手ゴールを目指す、というア式のサッカーはこれまでに自分がやったことのないサッカーだった。今まで以上に頭を使ってサッカーをすることが求められたし、自分がやってきたサッカーと違った部分も多かったので、最初は戸惑ってばかりだったように思える。しかし、それ以上に楽しかった。大学生にして、より高度で魅力のあるサッカーに出会うことができたし、サッカーの楽しさを新たに発見することができた。また、ア式蹴球部には全国各地から様々な経歴を持って、これまで全く違った環境や考え方でサッカーをしてきた人が集まっており、そういった仲間たちと共に新たなサッカーを作り上げていくということも魅力であった。もちろんそれぞれが様々なバックグランドを持っていて考えが合わなかったり連携が取れなかったりすることもあったが、そういう難しい部分も含めて課題を解決して試合に勝とうとする取り組みは純粋に楽しかった。
そんな中で、早くAチームに上がって公式戦に絡んでいきたいという気持ちももちろんあった。6月くらいにAチームで自分のポジションにけが人が出たこともあって、運よくAチームに上がるチャンスがやってきた。Aチームで活躍して試合に出たいという目標も持っていたし、不安を抱きながらも、自分ならできると思いつつ練習へ向かった。しかし、正直に言ってレベルが違った。自分はまだAチームでやっていけるだけのレベルに達していなかった。当然練習ではミスしてばかりで周りの先輩に迷惑をかけてしまっていた。上手くなろうとすることではなく、常にミスを避けることで頭がいっぱいになっていた。この頃はビビってばっかで全くサッカーを楽しむことができていなかった。試合に出ることもできずにその後約1ヶ月で育成に逆戻り。それからはもう一度Aチームに上がって通用するのに十分な力をつけようと、より考えて練習や試合に向き合うように意識した。ただ、この頃育成チームは全く勝つことができなかったし、自分自身も成長しているという実感を持つことができなかった。気づけばあっという間に夏休みが終わり、後期のリーグ戦も自分は全く絡むこともなくチームは優勝で幕を閉じた。やっぱり自分はまだ力が足りていない。
リーグ戦が終わり、4年生が抜けて新チームが始動した。新チームの始動は今まで主力だった4年生が一気にチームを去り、新しい競争も始まるのでAチームに上がるチャンスでもあった。このチャンスを逃したくはないと、一つ一つの練習試合でミスをしないということよりも自分の良さを出していくことを考えてトライ&エラーを繰り返した。その甲斐もあって11月の終わり頃に運よくAチームに上がることができた。前回Aチームでやった時よりは確実にレベルアップしているはず。そう自分に言い聞かせて、自信を持ちつつ謙虚に毎日の練習に取り組んでいくことを意識した。まだまだ下手で、もっともっとうまくなりたい。上手くなるためには練習からもっと「質」を上げていかなければならないと思う。一本一本のパスやボールの持ち方など技術の部分の質。どのようなプレーを選択するのかという判断の質。戦術的なことを理解し、それを絶え間なく流れる試合の中の状況に当てはめて考える頭の部分の質。あらゆる部分における質をもう2段階くらい上げていかないと1部リーグで通用する選手にはなれないと思う。
そしてもう一つ、一番大事なことをこの一年で忘れかけてしまっていたような気がする。
サッカーを楽しむこと。
勝負や自分の成長のことを考えるあまり、入部したての頃の受験から解放されて純粋にサッカーを楽しんでいた感覚を忘れかけてしまっているような気がする。もちろん自分に対して厳しくなければ上手くなることはないだろう。しかし、サッカーが好きだからこそ10年以上もサッカーを続けているし、楽しむことができるくらいの余裕を持ってやることでより成長していくこともできるかもしれない。また、成長して公式戦に出場して活躍することで、今までに味わえていない喜びや楽しさを感じることができるだろう。
受験から約1年が経ち、入試と新歓が迫る今、自分の大学1年生の生活を振り返ってそう感じた。
1年 石野佑介
毎日朝8時から夜の11時くらいまで、ひたすら机に向かって猛勉強。部活を他の人よりも長めにやっていた自分は受かるか受からないかギリギリのラインで、一秒たりとも時間を無駄にすることはできなかった。そんな中で最後まで諦めることなく勉強を続けることができたのは、東大に合格した先に待っているであろう楽しい大学生活のおかげあった。それは友達と遊ぶことや、大学で学ぶことに対する期待でもあったが、それよりも大きなウェイトを占めていたのは大学サッカーに対する期待だった。幼稚園からサッカーを始め、小中高とほぼ毎日ボールを蹴り続けていたのでサッカーを欠いた生活は考えられなかった。絶対に合格してまた真剣勝負をしたい。
なんとか合格することができた自分は、大きな希望と期待を持って目標としていたア式蹴球部に入部した。いざア式に入部してみると大学サッカー生活は良い意味で予想を裏切るものだった。キーパーから丁寧にパスをつないで相手を剥がしていき相手ゴールを目指す、というア式のサッカーはこれまでに自分がやったことのないサッカーだった。今まで以上に頭を使ってサッカーをすることが求められたし、自分がやってきたサッカーと違った部分も多かったので、最初は戸惑ってばかりだったように思える。しかし、それ以上に楽しかった。大学生にして、より高度で魅力のあるサッカーに出会うことができたし、サッカーの楽しさを新たに発見することができた。また、ア式蹴球部には全国各地から様々な経歴を持って、これまで全く違った環境や考え方でサッカーをしてきた人が集まっており、そういった仲間たちと共に新たなサッカーを作り上げていくということも魅力であった。もちろんそれぞれが様々なバックグランドを持っていて考えが合わなかったり連携が取れなかったりすることもあったが、そういう難しい部分も含めて課題を解決して試合に勝とうとする取り組みは純粋に楽しかった。
そんな中で、早くAチームに上がって公式戦に絡んでいきたいという気持ちももちろんあった。6月くらいにAチームで自分のポジションにけが人が出たこともあって、運よくAチームに上がるチャンスがやってきた。Aチームで活躍して試合に出たいという目標も持っていたし、不安を抱きながらも、自分ならできると思いつつ練習へ向かった。しかし、正直に言ってレベルが違った。自分はまだAチームでやっていけるだけのレベルに達していなかった。当然練習ではミスしてばかりで周りの先輩に迷惑をかけてしまっていた。上手くなろうとすることではなく、常にミスを避けることで頭がいっぱいになっていた。この頃はビビってばっかで全くサッカーを楽しむことができていなかった。試合に出ることもできずにその後約1ヶ月で育成に逆戻り。それからはもう一度Aチームに上がって通用するのに十分な力をつけようと、より考えて練習や試合に向き合うように意識した。ただ、この頃育成チームは全く勝つことができなかったし、自分自身も成長しているという実感を持つことができなかった。気づけばあっという間に夏休みが終わり、後期のリーグ戦も自分は全く絡むこともなくチームは優勝で幕を閉じた。やっぱり自分はまだ力が足りていない。
リーグ戦が終わり、4年生が抜けて新チームが始動した。新チームの始動は今まで主力だった4年生が一気にチームを去り、新しい競争も始まるのでAチームに上がるチャンスでもあった。このチャンスを逃したくはないと、一つ一つの練習試合でミスをしないということよりも自分の良さを出していくことを考えてトライ&エラーを繰り返した。その甲斐もあって11月の終わり頃に運よくAチームに上がることができた。前回Aチームでやった時よりは確実にレベルアップしているはず。そう自分に言い聞かせて、自信を持ちつつ謙虚に毎日の練習に取り組んでいくことを意識した。まだまだ下手で、もっともっとうまくなりたい。上手くなるためには練習からもっと「質」を上げていかなければならないと思う。一本一本のパスやボールの持ち方など技術の部分の質。どのようなプレーを選択するのかという判断の質。戦術的なことを理解し、それを絶え間なく流れる試合の中の状況に当てはめて考える頭の部分の質。あらゆる部分における質をもう2段階くらい上げていかないと1部リーグで通用する選手にはなれないと思う。
そしてもう一つ、一番大事なことをこの一年で忘れかけてしまっていたような気がする。
サッカーを楽しむこと。
勝負や自分の成長のことを考えるあまり、入部したての頃の受験から解放されて純粋にサッカーを楽しんでいた感覚を忘れかけてしまっているような気がする。もちろん自分に対して厳しくなければ上手くなることはないだろう。しかし、サッカーが好きだからこそ10年以上もサッカーを続けているし、楽しむことができるくらいの余裕を持ってやることでより成長していくこともできるかもしれない。また、成長して公式戦に出場して活躍することで、今までに味わえていない喜びや楽しさを感じることができるだろう。
受験から約1年が経ち、入試と新歓が迫る今、自分の大学1年生の生活を振り返ってそう感じた。
1年 石野佑介
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