ギアサードって見た目弱そう
矢島隆汰(3年/DF/国立高校)
何事も最初が肝心と言われるが、この文章の冒頭から一つ謝罪しなければならないことがある。それはタイトルについてである。最近の世間やア式内でのワンピースの流行に完全に乗っかり内容に関係ない完全なる釣りタイトルをつけてしまった。僕はあまりワンピースに詳しくない。僕の中のルフィはギアサードまでで止まっていたが今ではギアフィフスなるものまで使えるらしい。ギアフィフスの見た目は強そうであることを強く期待している。ワンピースについて熱く語られる文章を楽しみに読み始めてくれた人がもしいれば、そのようなことは一切ないのでそっと文章を閉じワンピース本編を読むことをおすすめする。他人の考察より本編を何度も読んで自分で考える方がよっぽど楽しいという個人の見解をそっと述べてこちらも本編に入っていきたい。
あと、長編漫画の映画ってどこか冷めてしまうと感じるのはきっと僕だけじゃないはず。
今シーズンはなんとか最初からaチームに入ることができた。しかし冬オフ最後の日にコロナにかかりみんなから2週間も遅れるという最悪のスタートを切った。コロナ明けのなまった体で練習に参加して足首を捻挫しさらに復帰に時間をかけてしまった。やっぱり何事も最初が肝心である。
それでも復帰してからは結構調子が良かった。去年一瞬だけaに上げてもらった時や、育成にいながら試合だけはセカンドに呼ばれるという謎の時期には周りに合わせてしまっていた部分が大きかったが、今シーズンからは主体性をもって練習に取り組めている気がする。
そんな中、プレシーズンのとある練習でトップチームのビルドがいつにも増してとても酷い日があった。するとビルド練の途中で急遽トップ側のビルドに入れてもらえるというセカンドの人間から願ってもないビッグチャンスが来た。特にトップのCBは固定だよねーみたいな雰囲気があったので、本当に奇跡と言っても過言ではない。
少しツイていなかったのは、CBのうち特に酷かったのがヤシロだったこと。僕がいつもプレーしているのは左CBであるのに対してヤシロは右CBであった。もう一つツイていなかったのはトップのビルドが可変システムを採用していたこと。右CBに対して手前を取りに行くのがセカンドでは右SBであるのに対してトップでは右IHが手前を取りに行くというシステムであった。
上に書いたのはただの無意味な言い訳にすぎない。いや、言い訳にすらならない。そんな戯言の中でヤシロを傷つけてしまったかもしれないことには臆することなく続きを書き進めていきたい。
わずか2プレーで戦力外通告を受けた。詳細は省くので、それを見たい人がいればプレシーズンのaの練習動画を漁ってみると見つかるかもしれない。ハジメに、やじさんはビルドが武器なのにミスったらダメっすよ、と言われたことがいまだに僕の心に刺さり続けている。嘘、3日くらいで忘れた。僕の代わりにトップに入ったマシロが良いプレーをしていたのをよく覚えている。いや、これも嘘。本当はあまり覚えていない。だけどきっとそうだったに違いない。
この日のことを悔やんでいないと言ったら嘘になるが、結局あれが当時の僕の限界だった。「調子がいい」というのはあっても「調子が悪い」というのはあってはならないと個人的には思う。DFは特に。サッカーは得点があまり入らないスポーツであり、一失点がとてつもなく重い。また、公式戦の限られた交代枠は攻撃のリズムを変えるために攻撃陣に使いたい。それなのにCBの調子が悪いから失点、交代もやむなし、という状態は許されない。わずか2プレーなんてとんでもない。1回目は見逃してもらえたのに2回目もミスしてしまった。
こんなこともあり僕は実力通り4番手CBとしての地位を確立することになった。揺るがぬ地盤を築き上げてしまった。3本の大木がしっかりと根を張りイキイキと枝葉を伸ばしている。ベンチに入れるのは3番手CBまで。僕は実力でベンチ入りを掴み取ることができていない。たまに大木の一本が折れるとベンチに入れた。さらにたまに試合中にもう一本折れると長時間試合に出られた。それがシーズン中盤にして2回も起きているんだから4番手も捨てたもんじゃない。ギアフォース。ギアフォースは絶対かっこいいはず。ちなみにとある大木は現在だいぶ派手に折れている。今なら3番手を名乗っても良いかもしれない。そもそも彼は大木っていうほど大きくはない。
こちらに関しては反省しています。ヤシロ君ごめんなさい。完全に臆しているけど続きます。
そういうわけで今シーズンはセカンドチームに所属している。非公式ながら僕はセカンドチームのキャプテンになってしまった。そのおかげで今シーズンのセカンドチームはとても雰囲気がいい。そのおかげではないと思う人がもしいれば連絡ください。その際は訂正して謝罪します。とにかく、今のセカンドチームは一緒に試合をしていて楽しい。たまに僕や今や完全にトップの顔であるマシロが、ミスした選手に大きい声で理由を尋ねることに目を瞑れば、試合中に雰囲気が悪くなることはあまりない。かといってミスに甘く指摘の声がないというわけでもなく、指摘の声と鼓舞する声のバランスが取れていて結構良いチームだなと思う。ア式では基本的に毎週木曜日にトップとセカンドが紅白戦をする。セカンドにとっての公式戦である。セカンドには失うものがないということもあり、実力では劣るはずのセカンドがトップを上回るプレーをしたり時には勝ったりすることもある。御殿下での奇跡の30分での3-0を一生忘れないだろう。ちなみにこういう現象っていろんなスポーツで起きてそうだけど、それをギアセカンドとか呼んだりはしないらしい。
試合中は雰囲気のいいセカンドチームであるが、ピッチ外ではそうではないこともある。やはり誰しもトップに入ることを目標にしており現状に満足していない人がほとんどである。あるあるだと思うが、なんで俺は試合に出れないんだとか、あいつは気に入られてるから試合に出られているとか、逆に自分は嫌われているとか、そういう愚痴が漏れてしまうこともたまにはある。それを本心で思ってるかどうかは抜きにして。僕はどうかというと、そういうことは言わないようにしている。言わないようにしているというよりそう思うことがそもそもない。好き嫌いでメンバーが決まっていると感じたことは一度もないし、自分がうまくいかない原因を自分の制御不能なところに置きたくない。
それでも、たまたま僕の調子がいい時に、お前って嫌われてるよな、的なことを言われたことがある。その言葉自体は、自分の実力を認めてくれているということの表れであり純粋に嬉しかった。しかし、嫌われているわけではなくただの実力不足だと自分ではわかっていた。だから、嫌われてないと思うし俺は実力的にも納得してる、と答えた。、、、納得してる??
それでいいのか。
そんなんじゃねェだろ!!と僕の中のネテロ会長が叫ぶ。ぇではなくェ。ちなみにネテロ会長はハンター×ハンターの登場人物で、僕はワンピースより断然ハンター×ハンターの方が好き。まだ読んでないア式の皆さん、是非。
納得すんなよ。納得していいわけがない。そんなこと絶対にあり得ない。僕は昔からどこか冷めている部分がある。一歩引いたところから自分を見てしまうことが多い。熱くなりすぎて周りが見えなくなってはいけないとは思うが、もっとがむしゃらになっていいはずだ。4番手も捨てたもんじゃないなんて一度でも書いてしまった自分が本当に恥ずかしい。
今まで手を抜いていたわけでは全くない。一つ一つの練習に全力で取り組んできた。そのつもりである。でもいつも、何事も、全てが終わった後に振り返ってみると、もっとやれたはずだった、と後悔してきた。中学、高校のサッカーも、現役時代の受験も、浪人時代の受験もそう。浪人時代の受験なんて合格したのだから大成功なはずである。でも振り返れば甘えていた部分が少なくなかったし、もっと高みを目指せたと悔いが残る。僕は今まで一度も何かに対して本気で頑張ったことはないのでは、と思ってしまうこともある。ひょっとすると、これは自分の性格上避けられないことなのかもしれない。後から振り返れば甘えていたと思えるかもしれないが、当時の自分は全力を出していた。その全力の努力の結果、自分が成長したことで後から振り返った過去の自分を過小評価しているのかもしれない。
でも、そうだとしても、ア式ではそんな虚しい思いはしたくない。このままでは、また同じ思いをする。未来の自分が、4番手に納得する自分をよくやったと褒めてくれるわけがない。今シーズンの目標はストイック。シーズン半ばで振り返ってみてどうだろう。去年よりは自分に対して厳しくできていると思う。去年よりは。過去の弱い自分と比較しても意味がない。未来の自分を超えられるように頑張ろう。
自転車のギア、コロコロ変えがち。
3年 矢島隆汰
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