特技「慌てること」
鈴木佐和(4年/DF/宮城第一高校)
「あー,また自分のせいだ,,,」
失点するたび毎回思う。またやってしまった。もうダメだと。そして今度は慌てるムーブに入る。あー,やばいやばい早く攻めないと。失敗を取り戻さなければ。私のプレーは雑になるばかり。
周りにバレないようにしていたが(一部の方にはバレていたと思う),私はサッカー中,常時慌てている。「やばいボールきた。やばい相手もきた。どうしよーーーーーーーーーー」
サッカーだから当たり前だ。ボールだって相手だって来る。かれこれ長い間サッカーをしているのにやっぱり慣れない。慌てていいことなんて一つもない。相手が強くなればなるほど私の慌てるモードは上がっていく。試合で自分の力を出し切れたことなんてほとんどない。
先輩がいた時,慌てている私に「大丈夫。慌てないで。」と声をかけてくれた偉大な先輩がいた。私には魔法の言葉に聞こえた。どれだけこの言葉に救われたことか。
そう。試合中にかけられる声というのは偉大である。「ナイスー」「サンキュー」たった数文字でさえとてつもなく嬉しい。私の自信もチームメイトの声によって息を吹き返すことが何度もあった。
最高学年となった2022シーズン。試合ではチームメイトにプラスの声がけをしようと意識していた。(熱くなって厳しい口調になっていたことが多かったと思いますすみません,,,)先輩がしてくれたことを今度は私がしなければと。
ただ特技「慌てること」が何度も発動し,励まされていたのは私の方だった。何とも頼りない4年生だ。私もかっこいい先輩になりたかったがどうも無理だったらしい。私が見てきた大学4年生とはかけ離れた情けない4年生にしかなれなかった。
だが,サッカーを通して学んだことがある。感謝や相手を褒める声は積極的に発するべきだ。私は単純な性格なので,「ありがとう」と感謝されると嬉しくなり何でもしたくなる。サッカー中に褒められると調子も出てくる。試合中は特に褒めまくるべきだと思う。もちろんコーチングの声は必要である。だが,褒められて調子が出るなら積極的に褒める他ないだろう。
話は少し変わるが,以前スペインに行った際,レストランで注文をすると店員さんに「Muy bien.」(とってもいいね)と言われた。なんて素晴らしい文化だと感動した。日本だと「かしこまりました」と言うのが相場だろう。注文をしただけで褒められるなんてなんて優しい方なんだ。この後出てきた料理が一層美味しく感じた。
今後私みたいな大慌て野郎に出会うことがあれば皆さん積極的に励ましてほしい。大慌て野郎にとって励ましの声は天の声だ。もし自信をなくして誰かに褒めてもらいたくなったら遠慮なく私のところに来て欲しい。誰でも大歓迎。盛大に褒めちぎります。お酒に酔った私はもっと饒舌になるので特に褒めちぎって欲しい方は私にお酒を与えてください。
最後に。私は2022シーズンを終えたらサッカーとは一旦距離を置こうかなと思っていた。小学生の頃からサッカー中心の生活を続けてきてちょっと疲れたなと感じていた。だからこそ最後となるであろう2022シーズンは気合が入っていた。合同で活動する文京LBレディースでも今までにないくらいたくさんの試合に出場することができとても充実したシーズンだった。(やはり学芸大学に勝てなかったことはいくら時間が経っても悔しい)だが,いざ引退して私はやっぱり私はサッカーが好きなのかもと思った。ア式の練習はなくなり文京LBレディースの練習のみとなったがシーズン後も割と練習に参加している自分がいた。サッカーが好きなのかどうかわからない時期もあったがサッカーが好きだと再認識できた。
たまに思う。何でこんなに長い間サッカーをしているのか。楽しい思い出だけでなく悔しい思い出や辛い思い出だってたくさんある。でも過去を振り返ると,サッカーを楽しいと思えた時は決まって悔しい思いから上手くなりたくて自主練を重ねた時だった。私はサッカーセンスが1ミリもないので上手くなるには他の人の何倍もボールに触る必要がある。でもボールに触れば触るほど上達するからサッカーの虜になったのだと思う。小学生の時,初めてリフティングが1000回に到達した時のことは今でも鮮明に覚えている。リフティングができないのが悔しくて悔しくて毎日家の前で練習した。楽しいだけのサッカーならここまで続けていなかったと思う。悔しい思い,辛い思いがあるからこそサッカーが楽しいのだ。
本当に最後に。4年間ありがとうございました。多くの方に迷惑をたくさんかけたこと,申し訳ありませんでした。そして多くの方に支えられてサッカーをすることができました。受験生の頃勉強を頑張ってよかったなと心の底から思います。何を考えているか分かりづらいし,負けると泣き出すし,ピッチ外では突然歌い出すし扱いにくい人間だったと思いますが一緒にサッカーをしてくださった皆さんありがとうございました。
P.S.
後輩のみんな。打ち上げの盛り上げ役が欲しかったらいつでも呼んでください。死ぬ気で盛り上げます。
慌てん坊のサンタクサーワ
鈴木佐和
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