サッカーの地平線を広げる -27日目〜33日目-

 27日目

起床。起きたら9時。4時間しか寝られなかった。起きたらすぐ皓大から電話。今日のメニューの相談をした。その後、どうせ眠くなるやと思ったので、ダラダラ過ごすことにした。開いたのはいだちゃんねる。京大発のYouTuberである。彼らのインドに行った動画を見た。面白過ぎて1ミリも眠くならなかった。40分何もしないで吸い取られた。結局、サッカーについての勉強を始める。テクニックとは?いかん、眠くなってきた。スペインのテクニックの定義を学んでから、就寝。起きたら13時である。1時間再びテクニックについて学習。昼食。またセルジの友達が来ていた。いつも通りスペイン語ネイティブ3人によるインテンシティの高い会話が行われていた。もちろんインテンシティの低い私はいつも聞いているだけなのだが、今日は何故か聞こえた単語が頭に浮かんでくる。まあ単語の意味がわからないので、何を言っているかは分かりませんが。相手のプレスの構造がわかったけど、技術が追いついていないから、上手くプレーできないみたいな感じであろう。リスニング能力の成長を感じた。

ダムの練習を観るために出発。初めてバスで向かう。奇跡的に16:00ぴったしに到着。しかしグラウンドには誰もいない。マーカーやラインは引かれているので、練習はあるのだろう。ていうかこのゴムのラインどういう仕組みでピンッと張っているのだろう。15分遅れで彼らは出てきた。スペインタイムだ。スタンドには私を含めて3人しかいない。16:00からいるアジア人なんて珍しいので、めっちゃ見られる。トレーニングの接続で興味深い点があった。4週間目にしても学ぶことはある。ユースの練習が終了した後、スクールが始まる。先週はこれも見たのだが、今日はお土産を買いに行く。まずは一昨日行ったチョコレート屋に行く。一昨日と異なり、混雑していた。試食が食べられない。仕方がないので、食わずに買った。ちゃんとホワイトチョコも買った。案の定うまい。すっかりファンである。次にメルカドーナへ向かう。ばらまき系のお土産をもう一つ買い足しておこうと思った。15分散歩。最近歩きすぎて体力無くなって来た。チョコを購入し、足早に去る。そこからダムのスタジアムに戻る。7時に戻ると砂川さんが座っていた。今日も楽しい話ができそうである。私はバルセロナで主に高校生、中学生を見ている。しかし日本の高校生、中学生のレベルを知らない。高校サッカーのレベルはわかっているが、私の経験して来たレベルは比べるに値しないくらいのレベル差がある。なので、日本サッカーを見に行こうと思った。狙いはu15関東サッカーリーグ。このリーグはなぜか3月から開幕している。復帰するまでの間に観に行こう。そんな話を砂川さんにしたら、再び日本とスペインの違いの話になった。砂川さんはスペインから一度帰った時に、日本のチームの試合を見るととにかく遅かったらしい。レベルも高い試合だ。やはり相当な差がスペインと日本の間には存在する。結局今の日本代表メンバーも海外に来てから、めちゃくちゃ勉強したのではないかということであった。まだまだ日本サッカー界は勉強の段階である。帰宅。今日はハムのボカディージョ。最高だ。アンヘレスは明日からパリに行くらしい。何者なんだあの人。敵情視察として、ナポリのゲームを見る。どうやら調子がいいらしい。流石に次の火曜日、ホームで敗退するバルサは見たくない。まだ元気だったので、育成チームの試合を見る。遅い。言っていた通りだ。1人のボールの持つ時間が長い。パスも緩い。戦っていない。別に育成チームが悪いのではなく、日本のサッカーなんて大体こんなもんなのだろう。ついに内容の薄いコンパクトな日が来ました。なぜか嬉しいです。早く寝ないといけないので、眠さに抗わず就寝。


28日目

起床。久しぶりによく寝た。7時間も寝られたのはいつぶりだろう。ただベッドから出る気も起きない。ナポリの試合を見よう。前半が終わったので、ベルギーの育成についての論文を読んだ。早稲田大学の学生の卒業論文である。目の付け所天才か。94ページに及ぶ卒論を読み始めた。25ページくらい読んだところで、セルジに声をかけられた。スマホ失くしたから電話かけてくれん?電話をかけ、見つかると彼はsee you!そう言って出かけて行った。ベッドで論文を読んでいることに罪悪感を抱いた私は急いで準備して外に出た。やることはいっぱいある。ヤツのお土産、竜蔵のお菓子、その他諸々へのお土産。まずはアジア食品店に向かう。帯同チームの選手たちに感謝の品を買う。日差しが強すぎる。サングラスを家に忘れたのマジで痛い。15分の道のりを全て信号が青でいけるという謎の幸運に見舞われ、到着。購入したのは抹茶味のKitKat。高級品の様な値段であった。そこには目を瞑ろう。次に向かうのは有名なチョコレート店。電車に乗ると、IREZUMIという本を読む女性がいた。輝と仲良くなれそう。彼にはパンツ白くしてないで早くタトゥー入れてほしい。駅に着くとそこには止まったエスカレーターが。止まったエスカレーターで味わった奇妙な感覚は忘れない。その感覚が来ることを覚悟して乗ったら普通の階段と同じ感じなのでは?と思ったが、最初の一歩目、転げそうになった。やはり止まったエスカレーターは怖い。みんなに体験してみてほしい。エスカレーターを上ると目の前にはカサ・バトリョ。ガウディ建築群のひとつである世界遺産である。ここ最近よく見ているから何の興味もなくなってしまった。横を通り過ぎ、チョコレート店へ。この店はスペイン王室御用達の店らしい。竜蔵にぴったりだ。教祖になりたいらしいし。おもろい味買ってこ。次に向かったのはまた違うチョコレート店。ここではちゃんとした人にお土産を買う。商品を手にレジに向かうと話すタイプの店員さん、試食させてもらった。流石に買うわけにはいかない。グラシアスと言って会計を済ませる。会話上手やったな。観光客慣れしていた。外に出ると大量の人。何かのデモのようだ。紫色の旗を掲げている。そう、今日は国際女性デーなのであった。デカい建物から奥の道にずっと繋がっていた。次に行く場所を決めかねていたが、やはりお土産を探しにいかなくてはならないので、近くにある百貨店へ向かうことを決める。道を検索するとそれは群衆がいる方であった。良心のある群衆は脇道まで占拠することなく、まだ普通に通れた。彼らと並んで歩きながら目的地を目指す。何となく服屋に惹かれて入店。男物は地下1階にあったので、直行。階段の下でブロスタをしている中学生らしき子たちを見てほっこりした。スペインではブロスタばっか見る。1階に戻ると何だか焦げ臭い。外で爆竹かなんかをかましたのだろう。少し白く靄がかかっていた。店員さんがドアに鍵を閉めた瞬間に出口に来てしまい、また開けてもらった。ごめんね。鍵まで締めるのか、そんなやばい系群衆には見えなかったが、テンションが上がった人間は何をしでかすかわからない。ここは日本でもないし、正しい対応なのだろう。群衆の行き着く先はカタルーニャ広場であった。いつも鳩と人で賑わうカタルーニャ広場は多くの人の流入により、鳩が空へ追い出されていた。地上は人、頭上には鳩。どちらも大量で異様な光景だった。そんな中脇道ではアフリカ系の商人が露店をやっていた。バルサのユニフォームであったり、ベルト、高級そうな財布を売っていた。直ぐ逃げられるようにであろうか、商品を置くための布の4つの頂点に紐をくくり付け、紐を引くとサンタクロースの荷物のように持って帰れる仕組みになっていた。しかも全員。絶対偽物だし、法は犯しているんだよね。こんなん誰が買うん、そう思っていたが、若いスペイン人ぽい集団もちらほら。何か特別なのだろうか。帰宅。昼食。今日の昼食はジャンバラヤ。パエリアから派生したらしい料理である。味はパエリア。もう最高。ほんまにうまい。これが家で出てくるとは。多分、最初の日から最後の日までこれでも満足していた。大満足で部屋に戻る。ベルギーの論文を読み進めていると、次第に眠気が。ベッドに突っ伏して寝る。よく眠れた。起きると10分しか経ってない。にも関わらず満足感は3時間以上寝たようである。これが私の特技だ。何かに突っ伏して寝ると必ず10分〜15分で目覚め、スッキリするのだ。この特技のおかげで受験も乗り越えられた。こんなんより自慢できる目に見える特技が欲しいわ。起きた後は日記を書いていたが、大事件。今までの日記を誤って全消去してしまったのである。こんなことってあるんだ。呆然とした。もうこれ以上書く気が起きなかった。実際これを書いているのは3日後のことである。まあ星に送っておいてよかった。そう思おう。
練習に向かう。悪いけど、3日後に書いているので、あんま覚えてないです。旭のお土産を探しながら、皓大と電話する。何回電話してんねんマジで。育成チームの話、来週の計画、輝のプライベート、話すことはあった。
今日は帯同チーム、最後の練習。マルティンもジェラールもいなかった。ホセルイスと2人で練習を見る。2人しかいなかったので、初めてボール出しをやった。それですら楽しかった。練習が終わって帰る時、もうこのスタジアムに来ることはないと思うと名残惜しかった。日本に帰るのも嫌な気持ちも大分出て来ている。今日はホセルイスといつもホセルイスと一緒に帰る選手と一緒に駅まで歩いて帰った。するともう1人今日は一緒であった。彼の名前はルシオ。ネイマールを小さくして丸くした感じである。まあつまり、顔のパーツだけネイマールということである。彼は英語ができて、陽気なやつだった。少し会話をしていると、ホセルイスが実は俺も英語勉強中やねん、そう言って来た。あ、そうなん?先言ってくれや。もっと英語で話したのに。一緒にいられるの後1日なんですけど。まあいいや、最終日にたくさん話したろ。今夜はバルサの試合があった。家に帰るとセルジが試合後のインタビューを見ていた。結果は1-0でバルサの勝利。点を決めたのは16歳、無失点に貢献したのは17歳。しかも1試合の話ではない、ここ数試合、この2人がバルサの希望となっている。どういう人生辿ったら、その年齢でバルサを引っ張るような人間になるんだろう。ちょっと何言っているかわからない。そして今日、ドラゴンボールの作者が亡くなった。世界各地のサッカー選手がその死を悼む様子がネットで出回っていた。すごいな。そんな中で目に入った悟空がセルの爆発から地球を助けるために自ら犠牲になるシーン。このシーンは大感動。一つ一つの言葉遣い、表情、神がかっている。そら世界を魅了するわけだ。なんで日本は漫画という文化が発達したのだろう。そんなことを思いながら就寝。


29日目

6時に起床。今日は4時間睡眠。もう慣れた。少しぼーっとしてから、顔を洗った。髭を剃った。なんか全然伸びないし、もういいや。ナポリの試合を見る。監督が優秀なのだろう。就任間もないのに守備組織はわりかししっかりしている。スロバキアの代表監督と兼任しているらしい。兼任なんてゲームだけの話じゃないんだ。とにかく嫌な相手だ。火曜日、ホームで負けないでいただきたい。外は珍しく雨。気分は上がらない。少し出てバルサに向かう。靴がすぐ濡れた。流石に無理。10:30キックオフの試合は諦める。家には戻らず、カフェに向かう。朝カフェ気持ちぇぇ。意識高い人間になった気分である。確かにこの高揚感で勉強は進んだ。次の12:30の試合に向かうために外に出てみる。雨は弱まっていた。よかったこれなら行けるやろ。外に向かう。スペインにも傘立てはあった。折り畳み傘を傘立てに入れていたのだが、盗まれるかどうかドキドキしていた。勝手に治安チャレンジしていたのである。スペインはスリがいるということなので、ワンチャンやられるかなと思っていたが、ちゃんとそこに存在していた。なんか疑ってごめん。さすがにビニール傘以外は盗まんか。今日の電車は興味深い人間が数人。電車に乗ると、そこでラッパーがめちゃくちゃパフォーマンスをしていた。ちょうどクライマックスを迎えるタイミングだったらしく、盛り上がっていた。独りで。次の駅に着くと、帽子にコインを要求し、チップを回収していた。意外と払う人がいるのである。今まで見た路上アーティストの中でトップクラスに稼いでいた。いいライブだったんか。そして彼は違う車両へ移って行った。その代わりに乗って来たのはAirPodsを片方口に咥えたお爺さん。これは嘘ではない。流石にガン見してしまった。椅子に座るとしばらく咥えたまま。おしゃぶり代わりなのかと思ったが、しばらくすると咥えていた部分をハンカチで拭き、耳に差した。彼のことは一生理解できそうにない。そうだ、いつかスペイン人を理解することはやめたんだった。電車を降りると、大雨。あれ、聞いていた話と違うんですけど。引き返すわけにもいかないので、バス乗り場に行く。しばらく待っていると自分の後ろに列ができた。謎の緊張感。バスが止まってくれるかドキドキしながら手を振る。良かった止まってくれた。止まってくれなかったらこの人たち全員にボコられるとこだった。バスに乗ると適当に前の方に座った。到着までの間は日本のご飯屋さんを眺めていた。帰ったら何を食べよう。ガマン日本食である。あえて見ることによって、食べるときに興奮を高めるという手法である。テレビ千鳥見ている人は伝わるかな。日本食を前に掲げて、腹筋とかしないと。見ていたら一瞬で到着。降りると先ほどよりも強い雨と風。普通に後悔した。ただ、ここで帰るのはもっと嫌なので、無理やり向かう。入口で大転倒しかけたが、誰も見ていない。いや、監視カメラにはガッツリ映っていたか。ギリギリで体を支えたこの右腕には感謝しかない。名誉の負傷だ。痛え。この暴風雨にも関わらず、観客は多い。試合は90分、前半はまだマシだった。バルサの選手の技術も見られたし。雨も強いだけだった。すると前半途中からゾロゾロと日本人の集団が現れた。ジャージの文字に目を凝らすと、興国高校であった。来ていることは聞いていたが、まさか会うとは。めっちゃ来た、何人いんだよ。大阪弁が聞こえる。皓大の大阪弁をほぼ毎日浴びているので、耐性はついている。ハーフタイム。彼らは試合終了したのかと思っていたらしい。一旦カフェに退避するスペイン人にフィニッシュフィニッシュと話しかけて無視されていた。集団になると勇気出るよね。彼らは奥に日本人がいることに気づき、これって終わったんすか?と話しかけて来た。ハーフタイムっすね、そう返した。興国の選手と会話するなんて、高校生の時の自分だったら驚きだっただだろう。今はなんとも思わないけど。スペイン人がみんな退避するので、気づいたら周りは大量の興国生に囲まれていた。なんか嫌だったので、移動することにした。その途中興国の先生が選手に、自分のポジションしっかり見とけよ、と言っていた。何を見るん、分かるかい、そんな声が選手の中から聞こえた。あー、このチームは選手と指導者の関係があんま良くないんだろうな。彼らのほとんどは後半、何も得ずに帰るのだろう。スペインに来て、1番考えるようになったのはマネジメントである。そうマネジメント。日本は選手を疎かにし過ぎている気がする。指導者は選手を駒として扱う傾向にある気がする。というか頭の中でサッカーをし過ぎ。スペインの指導者は選手を人として扱う。もちろん100人単位で選手が存在する部活で選手と向き合うのは難しいし、文化も異なる。しかしそれは疎かにしていい理由にはならない。もっとやれることはあるのではないか、そう思っている。興国の海から抜け出し、違う場所にポジション取りをした時、携帯が鳴る。皓大だ。昨日電話した時、筑波大との試合の意気込みを語っていた彼は、終わったら電話するわ、そう宣言して電話を切っていた。だから来ることは分かっていた。ログを見て、結果と試合内容はなんとなく把握していた。どんな感想を聞けるか楽しみだ。ただ、そんな状況じゃない。雨風はさらに強まり、何度も傘がひっくり返る。全然聞こえないわと皓大に言われながら、結局電話した。2日経っているので、何を話したかはあまり覚えていない。なんとなく燃え尽き症候群のようであった。彼はこの筑波戦に全力で取り組んできたのだ。まあそんな話や皓大が女装する話をした。ずっと独りで異国の言葉を話し続けるアジア人は奇妙であったのだろう。隣のおじさんが何度も見て来た。傘も何度裏返ったことだろう。バルサも先制を許し、攻めあぐねる展開であった。負けるバルサを見たくなかったのもあって、試合終了前に帰路につく。電話している中で話すこともなくなって、無言になることもあった。これだけ毎日話しているんだから当たり前だろう。通信も悪くなったので、一旦切る流れになった。じゃあまた暇あったら電話して、彼はそう言っていた。え?まだ電話するん?そう思ったが、彼はよっぽど暇なのだろう。そして私のことが大好きなのだろう。バスの乗り換えで、ありえんくらい待たされて手が悴んだ。ここでスペインタイムいらんわ。家に帰って濡れた靴を脱ぎ、昼ごはんを食べる。この後はエスパニョールの育成年代を見て、もう一度バルサのグラウンドまで見に行こうと思っていたが、雨も止みそうにないし、靴がびしょ濡れになったので萎えた。今日は家でゆっくりしよう。久しぶりに急な暇ができた。何ヶ月ぶりだろう。こんな急な暇は。この時間に何ができるかで、人の出来不出来は決まるのかな。そんなこと考えながら、暇を楽しんでいた。ふとLINEを開くと、彼から連絡が。また新しい話題が出て来た。そういや電話してって言われていたわ。自分も本当にすることがなかったので、電話をかける。さすがに電話し過ぎなので、俺ら付き合っているんか?と聞いた。まあ暇やからな、そう彼は返答した。否定はされなかった。そんなこんなで2時間くらい電話し、彼が抱えていた不満をなんとか軽くした。バイトとの兼ね合いで寝るかどうか迷っていた彼にモーニングコールを頼まれ、電話を終わる。アスレティック・ビルバオの試合を観たり、日本のご飯屋さんを探したりして、時間は7時半くらい。流石に雨も弱くなって来た。何もせずに過ごすのは勿体無いと思ったので、8時キックオフの近くのスタジアムである試合を観に行こうと思った。ただ靴はびしょ濡れ。捻り出した答えはゴリゴリの私服に真っ赤なスパイク。この服装で向かうことにした。まあ誰も見てないやろ。傘を深めにさして顔を隠しながら向かう。どうやら前の試合がトップチームの試合だったらしく、応援の声が聞こえた。スタジアムから大量の人が出てくる、狭い入口を流れに逆らいながら通る。試合中も外から応援歌が聞こえる。どっかのバルで歌っているのだろうか。ふらっと来たこの試合でも学ぶことはあった。目の前の親子が会話をしている。それもおそらくサッカーの話。多くの日本の家族はサッカーの話をこんな長くはできないだろう。せいぜい今日ゴールを決めたかどうかだ。チームでDFをやっていたりすると、ゴールは少ないので、いずれそんな会話もなくなっていったりするのだろう。サッカーをよく知らない親に口出しされるのを快く思わない子供もいるだろう。思えば昨日ホセルイスたちと帰った時も、彼らは大声で楽しそうにボールのもらい方の話をしていた。親もサッカーを見て育ってきているので、会話のレベルがすこぶる高い。部室でみんなで動画見て話している時のレベルを子供の時から親と常に積み上げてきているのである。まあさすがに部室で話している方がレベル高いと信じたい。さすがにそこまで言語化はしていないはず。この差はどうやって埋められるのだろうか。試合がファールで中断したので、明日の予定を確認しようと携帯を見ていると、気づいたらアウェーチームが1人退場していた。そんなファールだったっけ。そのままホームチームが完勝。10時過ぎに帰宅。帰りは雨が止んでいたので、顔丸出し。幸い人とはほとんどすれ違わずに帰れた。雨の音がなくなった事でスパイクの音が道に響く。地面の質の影響もあって、まるで大勢の軍隊が行進しているような音であった。今日でホームステイ先で出るご飯は最後である。最後の晩餐を頂いた。その後の時間はなにをしていたか忘れました。あ、濡れた靴にタオルを突っ込むというファインプレーをした。皓大のモーニングコールもしたわ。その後はYouTubeでも見ていたのかな。就寝。


30日目

5時に起床。起きてしまった。やばいだろこの時間に起きるのは。どうやら東大の合格発表があったらしい。後輩の1人から連絡が来ていた。どうやら現役で合格したらしい。これでア式に続く武蔵の血がまた継続される。アスレティックビルバオを見ながらぼんやり過ごす。その後は日本に帰ったら何を食べたいかを考えながら、再びお店を探していた。今日で帯同は終わりか、そんなことを思いながら振り返っていると、皓大から電話が来ていた。折り返しても出ない。1時間後にまたかかってきた。もう電話し過ぎて、なに話したのか覚えていません。まあきっと来週のこと話したのだろう。この電話の中で皓大は、やっと岡部から独り立ちできて、この1ヶ月だいぶ成長できたと語っていた。毎日メニューを全部作って、指示も出して、強化の仕事もして、2週間前は本当にしんどそうだった。間違いなく皓大は大きく成長しているだろう。ここ最近は電話のテンションも明るい。遊びを知ったからだろう。竜蔵と毎週遊ぶようになってから明らかに変わった。竜蔵ってすごいな。ただ独り立ちはしたなら、完全にして欲しい。どんだけ電話してんねん。これを電話で直接伝えたが、返答は忘れた。まあ完全に独り立ちされても、それはそれで寂しいのでこれからは適度な感じでいきたい。1時間ほど電話して彼はリバプールとシティの試合を観に行った。私は若干濡れた靴を我慢して履いて、リベンジバスクチーズケーキをしに行った。12:30開店であったので、12:00に到着する予定で出た。珍しく12:00に到着したのだが、誰もいない。スペインは日曜日に店がやってないことがあるので、Googleマップに嘘をつかれたのではと心配になった。とりあえず15分くらい待とう。ということで周りの店を見て回っていた。とある店舗では激しい押し売りにあった。中東系の店員さんが聞き取りづらい英語で一生懸命に何か伝えていたが、なにを言っているかわからなかった。ただすごい押しを感じた。逆に押しが強過ぎて、罪悪感なく、NOと言って出られた。やはり人の気持ちを察する、人と向き合うということは大切なのである。この1ヶ月で学んだことをここでも思い知るとは。チーズケーキ屋に戻ると6組くらい並んでいた。やったわ。まあしゃあない。この前に比べればマシか。大人しく並ぶ。開店の時間。気づいたら昨日よりずっと長い列になっていた。日曜の昼はすごいわ。めっちゃいい匂いがする。回転も早く、数分で注文へ。メニュー表を取るが、何かわからないので、バスクチーズケーキひとつと言って注文した。店員さんが何か言ったので、はいと適当に返事をした。するととあるチーズケーキを運んできて一切れ切ってくれた。メニュー表を見直すと、どうやらクラシック?と言ってくれたみたいだ。これだけでいい?と聞かれて、もっと食べたくなった私はもう一つ気になるものがあったので注文した。確か牛のなんかのチーズケーキ。もう一つ羊のなんかのチーズケーキも気になっていたが、流石に3個はやめておいた。ひとつもまあまあな大きさがある。3個は食べられん。購入して外に出る。列をもう一度見るとさらに伸びている。珍しく早めの行動をしてよかった。見たい試合のキックオフが迫ってきているので、試合を観ながらチーズケーキを食べることにした。我慢チーズケーキをしつつ、会場に到着。牛チーズケーキから食す。まずい。これはまずい、口に入れた瞬間そう思った。何も味が不味いのではない。逆に美味しすぎるのだ。この先の人生、これを超すチーズケーキは現れないかもしれない。そんな感覚は初めてだった。北海道や北陸で寿司を食べた時も、九州で馬刺しを食べた時も、とんでもなく美味しかったのは覚えている。しかし、もう超すことはないかもという考えまでは至らなかった。これは幸せをひとつ失ったのではないか?これからはチーズケーキを食べても、あれの方が美味かったなとなるのか。まあ北海道の寿司食べた後もスシローでうまいうまい言ってるので、大丈夫かな。いやでもさすがにあの感覚は初めてだし。まあ次にチーズケーキを食べるのが楽しみになったということにしておこう。濃厚過ぎて、1個食べ終えたところで休憩が必要になった。さて試合であるが、スピード感えぐい。自陣深くからSBがドリブルで持ち上がり、SHとワンツーして、相手を突破、ドリブルでもう一枚剥がし相手のペナ内からクロス。それが流れて、守備に下がってきていた相手のSHが今度はドリブルで自陣から独りで相手陣深くまで運んでクロス。精度は高くなく、相手GKにキャッチされる。そしてGKは素早く逆サイドに下投げで展開、そこにいたのはさっきペナ内まで上がっていたSB。体力どうなってんの?展開早過ぎ。個人の能力も高い。相手がいる中でのうまさ、強度が日本とはレベルが違う。試合はオウンゴールでホームチームに先制点が入る。オウンゴールをしてしまった選手をチームほぼ全員が慰めに行っている。こういう所はスペイン人の素敵な所である。日本では全員はやらないだろう。やっぱり日本人は心の奥はドライな気がする。ただ外国人が話す、日本人の優しさに感動したという話はよく聞く。多分それは表面上の温かさ、仕事なのだろうな。ハーフタイムにクラシックチーズケーキを食べる。こちらもめちゃくちゃ美味しい。時間をおいたせいで、あまり2つの違いはわからなかった。強いていうならクラシックの方が甘さ控えめで食べやすかった。そう言えばこっちではバスクチーズケーキって言わないと学んだのに、注文の時バスクチーズケーキって言ったな。後半は目の前の子供がブロスタしているのを観て、ほっこりしていた。試合終了、一旦家に帰る。休んでいると皓大から、ちょっと話そうぜ、どうしたらいいかわからんという連絡。本当に何度目だろうこの流れ。1日に2回電話はヤバいよもう。私はそれでも電話する。ここでは述べられないことを話し、彼は悩んでいたが、なんとか解決してもらえたようだ。そして、帯同チーム最後の試合に向かう。帯同してから今まで3連勝、今日も勝って気持ち良く終わりたい。こちらは3位、相手は2位の強敵。優勝を目指すには勝利が必須な試合である。ジェラールたちとの約束の時間ぴったりに到着。もちろん彼らはいない。スタンドで試合を観ていると雨が降り出した。しかもどんどん強くなる。ジェラールからカフェにいるよと連絡が来た。向かうとマルティン、ジェラール、ホセルイス、アベル(ドン・チンジャオの名前)が揃って、またアフタヌーンティーを嗜んで笑い合っていた。本当にこの雰囲気が大好きである。全然寝られてないので、試合で寝ないようにカフェコンレチェを購入。ここのカフェのおっちゃんはノリが良くていい人でした。ゆっくり飲んでいると、移動する流れになった。全然飲み終わってない。爆速で熱々のカフェコンレチェを飲み込む。普通に舌を火傷した。痛い。選手が集まってくるまでにロッカールームでの空き時間、4人はまだ笑っている。その様子を写真に収めた。すると、気を利かせたアベルが4人ともこちらを向いた状態の、絵になる写真にしてくれた。ホセルイスはお前も入れとカメラマンを変わって写真を撮ってくれた。もうこの雰囲気を見られただけで泣きそうだった。選手も集合し、全員と挨拶をする。目頭が熱くなるが、試合前に泣くのはおかしい。マルティンの熱いmtg。彼は選手たちに私が最後であることを伝えてくれた。何人かは驚いた顔をしていた。選手たちはアップへ向かう。ロッカールームを出ると、雨が止み、雲の切れ目から日がさす、夕方のエモい感じになっていた。良い雰囲気だ。アップは基本的にジェラールが担当する。マルティンはそれを見つめている。マルティンが近づいて、話をしてくれた。

気分はどうだ?
最高だよ、試合を見るのが楽しみだ。だけど、
だけど?
悲しいよ。
そうだね、僕もだよ。

そう言ってハグをしてくれた。この会話は鮮明に覚えている。さすがに試合前は集中したいし、彼も試合について考えることもあるだろう。

試合後、最後の質問を2つしていいかい?
今でいいよ。時間あるから。

そう言ってくれた。早速、なぜあなたはこのようなマネジメントをしているのか、と質問。サッカーの楽しさを忘れないでほしいから、自由にプレーをしてほしいから。サッカーを楽しむにあたって、選手との交流は必須なのだ。積極的な意見交換にも役立つ。だそうだ。
マルティンは余りにも私の理想の監督像になってしまった。バイアスがかかって、悪い点が中々見えてこないなと思ったので、彼自身に自分のウィークポイントはどこか聞いてみた。理想すぎて悪い点が見えてこないという説明をするのに苦労した。このチームを褒め、こんなチームを作れるあなたは完璧な指導者だ。悪い点がないように見える。そう伝えた。彼は嬉しそうに笑いながら、サンキュー、このチームが良い状態なのは、僕の実力だけじゃない。ジェラール、アベル、ホセルイス、そして選手たちがいるからだ。まず彼はそう言った。さすがだ。クロップも似たようなことを言っていた気がする。そして彼は、まだ選手の実力を100%出すには至ってない、選手が重要な試合でボールを受けたがらなくなることがあるんだ。そう言っていた。話し込んでいたらアップも終了。最後の円陣だね、さあ行こう。そう言ってロッカールームへ向かって行った。かっけえ。そして最後の円陣。タイミングが分からないまま終わってしまった。今日はベンチに入るのは厳しいらしく、ベンチの真後ろの階段から見ていた。ほぼベンチみたいな位置なので何も気にならなかった。むしろリアクションが取れるので、ここもアリである。隣にはベンチに入れなかったホセルイスとフラン。フランはアジリティの高い、ウイングでシュートのインパクトがうまい。チームの中でも目を見て挨拶をしてくれるし、絆を感じていた。怪我をしていたので、ベンチを外れていたのだ。練習中に怪我したわけではなかったので、どこで怪我したのか聞いてみた。もちろんGoogle翻訳を使って。彼は授業中に怪我したらしい。なんてかわいそうなのだ。彼のプレーが好きだったので、君のプレーを見たかったよ、大好きなんだ。そうGoogle翻訳に伝えて、彼に見せると驚いた感じで、ありがとうと言っていた。大好きという部分が愛しているみたいな感じで訳されたのだろうか。言語ができるに越したことはない。まあ勉強するのはめんどくさいので、これくらい全然諦めるけど。試合開始。こちらがミドルブロックを敷いて、相手がボールを持つ展開。守備はいい感じでハマっていたが、相手のハイプレスもハマり、自陣から抜け出せない展開が続く。サイドからのフリーキックが直接決まり、失点。相手左ウイングのスーパーなシュートが突き刺さり、失点。こちらはチャンスを少ししか作れず、0-2で前半を終えた。ハーフタイム、選手はロッカールームへ帰る。一方マルティンたちはフィールドに残って、5分ほど話し合う。珍しくマルティンとジェラールの意見が割れていた。しかしそこはマルティンが決断。マルティンの考えでいくことになった。ジェラールも不満な様子はない。ハーフタイムのmtg。指示も具体的であったにも関わらず、しっかりと選手の士気が上がるような内容だった。できると思い込ませることが重要なのである。後半、選手は見違えるようなプレーを見せ、多くの時間で攻撃をしていた。全員とても勇敢に闘っていた。ディエゴ(左SB)のクロスから何度もチャンスを作った。相手にはほとんどチャンスを与えなかった。チームは負けている、その状況にも関わらず、マルティンとジェラールはチームを褒め続ける。怒る、声を荒げることは決してない。ただの指示を続ける。驚きだったのは時間がなくなってきて、負けも濃厚になってきた時にマルティンがまだ笑っていたことである。ある種の満足を感じていたのだろう。確かに相手を常に押し込み、ゴールの予感も感じさせていた。それでもチームが負けている状態で笑えるだろうか?選手たちは全員最後の1秒まで諦めずに走り続けた。全員である。こんなチーム初めて見たかもしれない。監督が褒め称え、選手がそれに呼応していく。関係の築き方だけでチームはこうも変わるんだ。サッカーの話はあまり書かないつもりだったが、思い出して興奮して、つらつらと書いてしまった。試合終了、結果は0-3。どれも崩された失点ではなかったし、後半の試合を観たら責められる試合ではない。選手たちは本気で悔しそうにしていた。泣きそうになっている選手もいた。試合後、すぐマルティマンはグラウンドでmtgする。内容は余り分からなかったが、サッカーにはこういう日もある。そういうようなことを言っていた。今シーズン負けなしだった選手を褒め称えていた。選手たちがロッカールームで着替えている時、マルティンが今日の負けについて話してくれた。oneという言葉をしきりに言っていたが、他の部分が聞き取れなかった。今シーズン、たった1敗しかしていないんだよ、そういうことかと思って聞いていた。たった1敗。オンリーワンと口にする。するとジェラールが割り込んできて説明してくれた。どうやらこのチームは約1年(356日)前から負けていなかったらしい。その意味の1であった。たった1年とか言ってしまって申し訳なかった。1年負けないチームを作るって異常だ。レベルも高い相手も多いのに。選手がそろそろ帰り始める。ロッカールームに入って、1人ずつありがとうと伝え、先日購入したKitKatを渡していった。受け取らないやつもいたし、複数個せびってくるやつもいた。最後に全員と目を合わせて挨拶できてよかった。ロッカールームを出ると、マルティン達はもういなくなっていた。はい絶望。なんで考えなかったんだろう。さよならを言い損ねた。慌てて上に上がってスタンドを探したがいるはずもない。自分の無能さに呆れた。最後の活動を待ってくれていた高田さんと砂川さんと合流。カフェで活動について少し振り返った。無事に終わりましたね、人に言われて初めて実感する。別れを告げられなかったことで、全く実感がなかったことに気づく。ウォーミングアップ中にマルティンと話している写真を撮ってくれたのも高田さんである。LINEのトプ画に使わせて頂いています。ありがとうございます。カフェで再びカフェコンレチェを飲む。いまだにこれしかメニューを知らないからだ。夕飯代わりのパンも食べて帰宅。何も手につかずボーっとしていた。インスタを眺めていると、選手たちが今日の写真をストーリーにあげたりしていた。その中で、マルティンもストーリーを上げていた。チームの円陣の写真と共に、356日負けなかった君たちは素晴らしいみたいなことが書いてあった。それはそうだ。1年負けないなんて本当にすごいことだ。彼はもうひとつストーリーを上げていた。画面をタップしてみると、そこには私との写真が。わざわざ英語で文章が書かれている。そんなもの読む余裕もなく、ここ1ヶ月バグり続けている涙腺が大崩壊した。ちょっと人格おかしいよ。出来すぎているよ。親の顔が見てみたい。挨拶し損ねたのに。尊敬する師匠が上げてくれたことに感謝。こうやって人の心を掴んでいくのか。急いでマルティンに連絡しようと、文章の下書きを始める。もうそこからはありがとう祭り。ジェラール、ホセルイスにも立て続けに感謝の言葉を送る。アベルは連絡先を知らなかった、ごめん。ホセルイスよろしく頼むよ。選手たちもマルティンの投稿を見たのだろう。一斉にフォローしてきた。選手の投稿全てにいいねをして、感謝のストーリーを作る。キャプテンのアイタンは感謝を丁寧に文章にして送ってくれた。しっかりスペイン語にして返す。Google翻訳は信用ならないので、DeepLを使う。今回は問題なさそうだ。そうこうしているうちに、マルティンから返信。その中にYou made us better team.と書いてあった。お世辞でも嬉しい。ストーリーにもチームに対する献身に感謝しますと書いてあった。自分がやったことなんて本当に何もないし、隣で翻訳機をかざし、メモを取り、質問していただけだ。むしろ、あまりに何も出来ないなと最初の方は無力感に苛まれた時もあった。感情を動かされるってこういうことなのですね。とんでもなくいい経験になった。ジェラール、ホセルイスからも温かい返信をもらった。ありがとう。ジェラールも誠実でできた人間だ。何を質問しても、丁寧に分かるまで説明してくれる。でも多分ラーメンは全部自分で食べたよね。振り返りはここまで。もっと書くと時間かかってしょうがない。明日から夜の帯同がないのでフリーである。せっかくなら遠出しようと思っていた。実は今日の朝にバレンシアに住む尾崎さんというサッカー関係者の方に連絡をして、お話を伺えないか連絡していた。尾崎さんは昨年夏にア式を観に来られていた。その際にお話を伺ったので、私のことは覚えてないだろうとは思ったがダメ元で連絡していたのである。号泣している間に尾崎さんから返信があり、なんとお時間を頂けることになった。半ば諦めていたので、急いでバレンシア行きの特急のチケットを取る。家から片道3時間半、滞在時間6時間弱。移動>滞在時間というまさかの強行日程が決定。1人で特急なんて乗れるのだろうか。まあでもチケット取ったし行くしかない。寝る前に荷造りをしてみた。お土産が重いし多い。これはヤバい。一旦見なかったことにしよう。ベッドに横になって寝る体制を作る。全く寝られない。カフェコンレチェのせいだ。カフェインって強力なのだな。荒と久々にやり取りして無理矢理就寝。


31日目

朝5:20起床。いくらなんでも早すぎる。寝る前に時計を見た最後の記憶が1:39。やべえよ。なんか少し気持ち悪い気がする。起きてとある出来事を思い出した。質問したことに対して、真っ向から否定されると、これから質問しづらくなる。否定するにしても言い方あるよな。質問された時は気をつけよう。人間的成長?朝から高田さんのインタビューを受ける。緊張して内容の薄いこと言った気がする。まあいいや。楽しかったし。そのあと高田さんとカフェに行く。昨日のストーリーの話になった。高田さんはチームの選手やマルティンからも私について話を聞いていたらしい。あんなストーリーを上げることはあんま無いですよ。選手もいい感じのこと言っていました。選手からも信頼関係を感じました。たくさんコミュニケーション取っていたし、1ヶ月を1番活かしていたと思います。全然心配してなかったですよ。そう言ってくれた。いやいや、全部マルティンとジェラール、選手たちのおかげなんですけどね。でも選手とは絆みたいなものを私も感じていたし、人と向き合うということを少しは実践できたのかなと思った。そしてマルティン、ジェラールがいい奴すぎるという話になった。マルティンはまだ現役で、スペイン5部でプレーする選手で、めっちゃうまいらしい。しかもあの感じで26か27歳くらいだそうだ。勝手に30歳くらいかと思っていた。貫禄半端じゃないもん。後6年後にあんな立派な人間になれる気がしない。マルティンの凄さを示す例として、高田さんがある例え話をしてくれた。日本は野球が世界でトップクラスに強い。そこに野球後進国から指導者として学ぶと言って、急にチームに参加してくるやつが来た。そいつは日本語が喋れません。そんな人にあんな親切にできますか?という話である。確かにそうだ。彼は初日からウェルカムな雰囲気で接してくれた。できた人間すぎて笑うしかないわ。昨日もアップの時間にずっと喋ってたの凄いと思いましたよ。監督ならあの時間色々考えることがあると思いますけどね。高田さんはこうも言っていた。そりゃそうだ。さすがに自分も試合後に聞こうとしたもんな。試合終わった後も負けについて語ってくれた。サッカー人としても、1人の人間としても彼は目標になった。その後は今後の人生相談みたいなことをして頂いたり、私にやってほしいことも伝えてもらった。高田さんにバレンシアに行くことを伝えると、驚きを通り越して呆れているように見えた。本当にすごいっすね、、。そんなテンションだった。特急に乗り遅れるわけにはいかないので、出発。特急の出発駅に到着。入り口がたくさんありすぎてどこかわからん。駅員さんに聞きまくってようやく到着。これ早めについてなかったら危なかったな。周りの乗客はみんな大荷物。私ほどの軽装で向かう人はなかなかいない。あれ?この遠出舐めすぎている?少し不安になった。9割であれ。スマホに表示されているチケットには16号車と書いてある。何両編成なんだろ。まあ16だったら端の方か、そう考えて一か八か片方の端っこに陣取る。待てども待てども電車が来ない。出発予定の10分後に到着。目の前に止まった車両は11号車。11号車?じゃあ11両編成なのか?16は?疑問が次々と出てくる。隣の車両を見てみると13号車。12は?その隣からも14、15、16と続いていた。スペインは10の位でやっているのか?12は何でないん?ホテルに4階がないみたいなものなのか。席は広くて快適そう、九州へ行った新幹線よりよっぽど広い。隣は優雅に生活してそうな貴婦人。挨拶をして座る。結局15分遅れで出発したが、何もする元気が出ない。サッカーの勉強をするにも、液晶画面を見ないといけない。そんな気分ではなかった。寝たい。多分こんな特急に乗る人にスリはいないだろ。とはいえ周りの人はまだ寝る人はいなかったので、少しボーッとしていた。どんどん眠くなる。隣の貴婦人がルイヴィトンのバックを持っているのを確認して眠りにつく。ルイヴィトン持ちにスられたら本望だわ。一応腕を組んで、ショルダーバッグを、リュックのファスナーの上に足を乗っけてガードしながら寝た。40分ほど寝たであろうか。寝起きがいい。すっかり景色も田舎。海も見える。最高だ。いかにも外国と言える、ただ広い土地、どこまでも続くまっすぐな道路。勇気出して来てよかった。ただ、ここにもし住むと考えたら、すぐ老いてしまうのだろうな。刺激がなさそうすぎて、今の自分には無理だ。溜め込んでいた日記を書く。景色はずっと変わらない。でもなぜか飽きない。ディズニーのなんとかマウンテンに酷似した山があった。去年行ったディズニー楽しかったな。思い出して懐かしむってなんかいいですよね。たくさんの経験をすると、たくさんの思い出ができる。これだけでも経験する価値はあるな。やばい、こんなこと考えている暇ないや。溜め込んでいる量えぐいんだった。3日前のメモを頼りに感情を思い出しながら書く。景色と日記を交互に見ながら、結局バレンシアまでそれを続けていた。バレンシアについたのは13:30。遅れを取り戻すことなく、しっかりと15分遅れ。約束の場所までは歩いて30分。約束は2:00。電車を使えばもっと早く行けるが、街を見たい+電車賃を節約したいという気持ちで早歩きで行くことにした。途中で尾崎さんから連絡。仕事が入ったから長い時間取れない。時間早められる?とのこと。なぜ自分は電車を使わなかったのだろう。小走りで向かう、こんなせかせかしてんのこの街で私だけだ。そして暑い。24℃。ただでさえ暑いのに、小走りしたので、尾崎さんの元へ着いた時には汗がダラダラ。14:00ぴったりになる。突然爆竹の音。火祭りというらしい。この祭りのために各国からこの1ヶ月で200万人がバレンシアに来るらしい。確かにバレンシアは今のところめっちゃいい街だ。1時間ほどの時間を頂いた。尾崎さんの今の取り組みの話を聞かせてもらい。東大の状況も共有させていただいた。日本サッカー界の実態の話やスペイン人の学ぶ姿勢の話も聞いた。スペイン人はどの立場であれ、学ぶ意欲がえげつないらしい。尾崎さんはその刺激をモチベーションにして動いているそうだ。他にもよくいる日本の指導者の問題。それに付随して、スペイン人がチームを組んで、マネジメント業に取り組む意味も教えていただいた。いつかバレンシアに来なよ、そんな言葉もいただいた。全部教えてあげるよ、早く楽したいから。そんなことをおっしゃっていた。やはり凄い人間は寛大なのだろう。寛大だから凄い人になれるわけではないが、自分も寛大であろう。旭以外には。貴重で濃密な1時間を過ごした後はゆっくりと観光タイムである。歩いてすぐそこにあるメスタージャ(バレンシアの本拠地)をまず見に行った。この前までゲームで使っていたチームのホームスタジアム。なんか感慨深かった。ゴール裏の席が外から見えたのだが、高すぎるし急すぎる。足を滑らせたら死ぬんじゃなかろうか。観光名所を巡ろうと思い歩き始める。最初に向かうのはサンタマリア大聖堂歩いて25分ほど。途中の街並みも綺麗で、バルセロナよりもゆったりとした住みやすそうな街だなと感じた。街並みも綺麗で個人的にはバルセロナよりも好みかもしれない。思わず写真をたくさん撮ってしまった。目的地に到着。広場があって、めちゃでかい着ぐるみが子供について歩いているのが異様で怖かった。追われている子供は全く気に留めていなかった。彼は大物になるだろう。寿司ショップという名前が看板か暖簾に書いてあった店のメニューを遠くから見ると、寿司は存在しなかった。とんでもな。寿司への冒涜か?サンタマリア大聖堂を見ながら歩いていると、お姉さんが変なカメラをこちらに向けている。まさか私を撮っているとは思ってもないので、気にせず歩いていると呼び止められた。どうやら撮った写真を渡そうとしてくれているらしい。これは金取られるやつちゃう?ということで心苦しいがNOと言って、大聖堂の写真を撮っていた。すると、近づいてきて新聞みたいなものを渡してきた。なにこれ?よく見ると私の写真が載っている。どういう技術なのだろう。いい思い出だ。他にも写真を撮るか聞かれたが、1人で写真を撮ってもらうほどの勇敢な人間ではないので、断った。次は未来科学都市みたいな名前の、デザイン性抜群である建物群を観に行く。道のりを調べると徒歩40分。少し電車のほうが早いくらい。ほな歩くか。40分、ローラースケートで移動するおじさんや、建物3階か4階分まであるんじゃないかという巨大な人形が至る所にあるのを楽しんだ。バルセロナの街より道幅が広い一方、人通りが少ない。バルセロナは観光客が多いんだろうな。バルセロナよりもバレンシアの方が街としては好きかもしれない。しかし時間が経つにつれて人通りも少なくなっていく。気づいたら虚無。歩いているので、動画を見る訳にも本を読む訳にもいかない。まあしゃーないか。1人旅にはこういう時間はつきものなのかな。やっと目的地が見えてきた。噂通り大きく、複雑なデザインの建物が3つか4つ。周りには人はほとんどいない。目の前で警察が検問していた。何かあったのだろうか。確かに写真を撮ると綺麗だ。近づいて行くと人がたくさんいた。私が歩いてきた道路の下には巨大な駐車場。なるほど、徒歩でくる場所ではないのか。バス調べても出てこなかったけどな。出発点が悪かったのか。綺麗だったので、たくさん写真を撮った。こういう時にいつも思うが、写真上手くなりたい。もしくは携帯を変えたい。十分観光したので、特急で帰る駅に戻る。また徒歩と公共交通機関の時間がまたほぼ同じだ。バレンシアの交通網どうなってんの?電車は確かに出てはくる。しかし使える場所にあまりない。私の検索能力の欠如だと信じたい。観光しにくすぎるよ。まあ1度はバレンシアの電車にも乗ってみたかったので、最後は公共交通機関を使うことにした。結局その駅まで20分くらい歩くんですけどね。駅に到着。券売機と大乱闘を繰り広げ、やっとの思いで乗車。クレジットカード逆さに入れないと反応しないなんてことある?バレンシアの電車はとてもスタイリッシュだった。路面電車的な感じで、揺れもなく快適だった。とある駅に到着。その後も10分強、歩かなくてはならない。その間に闘牛場や大きく、いかにもスペインなデザインの駅があったりでその時間は楽しかった。目的地に到着する。セルジによると、バレンシアはパエリア発祥の地らしいので、是非とも食べたかったのだが、時間と場所がなかった。どこを調べてもやっていなかったり、微妙に遠かったり。仕方がないので、マックで疲れを癒すことにした。ホワイトチョコが入ったマックフルーリーとポテトを頼む。ここで結局サッカーを見てしまった、考えてしまった。逃れられない運命らしい。特急に乗車。帰りは窓際だ。嬉しいけど、夜だからなんも見えんやん。隣はめちゃくちゃシゴデキそうなキャリアウーマン。座るや否やパソコンを開いてデータな整理をしている。まあこの人なら寝てもいいか。行きと同じ体勢で寝る。歩いた疲れが出たのか45分寝られた。明日のことについて考える。チャンピオンズリーグの試合は21:00キックオフである。ほぼ1日予定は空いているのである。ジローナに行くか、タラゴナに行くか、時差ボケを治すことを考えて、昼のうちに寝ておくか。まあ明日の気分次第だな。どうせ特急のチケットは取れるし。そう思って日記の筆を進める。とんでもない集中力を発揮し、2時間書き続けた。昨日の出来事を思い出して嬉しくなっていた。それでもなかなか追いつかない。昨日も今日も濃い1日。文字数も多いし、単純に書くのに時間がかかるのである。全ては人に読むのを諦めさせるために。ここまで全て読んでくれた人はもうここで辞めてもいいんですよ?今日で31日目、1ヶ月お疲れ様でした。バルセロナに到着。安心感えぐい。里帰りの気分ってこのことなのだろうか。東京生まれ東京育ち。いまだにそれを感じたことはない。乗り換えをしているとめちゃくちゃ行きたくなさそうに抵抗して地べたを掴んでいるが、飼い主のとんでもない力で引きずられ続ける犬を見かけた。思わず笑みが溢れた。これが駅で見られるのも、電車の中に平気で動物を乗せることができる国だからであろう。日本は厳しい。最寄駅に帰るまでの電車でポケットWi-Fiの電源が切れた。1日中お疲れ様。そしてついに最寄駅に着く。特急がバルセロナに着いた時の5倍は安心した。しかしその安心は一瞬で吹き飛ぶのである。家の前で鍵を開けようとした際、鍵が見当たらないのである。Wi-Fiもないので、セルジに電話もできない。この時ばかりは平井大の温かい歌声にも癒されなかった。全力で全て探しても見当たらない。でもこういうのってあるあるじゃないですか?そうもう一周目でなぜか見つかるのである。私の不幸を喜んだそこのあなたには申し訳ないが、ちゃんと家に帰った。家に帰ってセルジと少し会話。長旅だったね!と言っていた。そうか、これは長旅だったのか。確かに24241歩も歩いている。少々自分の感覚はバグっていることを再認識させられた。2023年は多種多様な人と出会って、様々な感覚が鍛えられ、人間として成長できた。バルセロナからバレンシアの日帰り旅行を長旅と思わない感覚は要らなかったかもしれないけど。じゃあ明日は少し大人しくしておこう、そう思った。セカオワのタイムマシンのアルバムを聴きながら、日記を書きいていたが、寝落ち。進まないな。アルバムめっちゃいい。好きな歌しかない。やっぱいいですね。最近浮気して他のアーティストばっか聴いていてごめん。


32日目

起床。わりかしゆっくり寝られた方かな。今日はゆっくり。昨日の疲れを癒そう。とりあえず日記を書き、荷造りをする。Xを見ていたら、ア式の新歓アカウントが自分の過去のfeelingsを紹介しているのが、急に目に飛び込んできてドキッとした。携帯の中に急に自分が出てきて気持ち悪かった。バイトのアンケートに答え、時間を意識的にゆっくり使う。荷物をまとめて、お土産を買いに行く。王家御用達のチョコレート屋に行き、地元の雑貨屋による。その後、竜蔵と電話した。こんな感じだったな。その電話で何度人格を否定されたのだろう。もうやめよう。とあることで大爆笑。1ヶ月以上ぶりくらいに全力で笑ったので、脇腹が痛くなった。人生初の痛みだ。40分弱電話していたが、そんな長かった気がしなかった。次に向かったのはカタルーニャ広場。デモの日に通ったところだ。アフリカ系の露店商人たちは今日も存在していた。この前より客が集まっていた。なんでこれがそんな人気なのだ?もちろんそんなことはわかるはずもなく通り過ぎる。カタルーニャ広場に来たのは、日本食レストランに来るためである。我慢日本食をしているが、海外の日本食店は基本日本食の味はしないという噂を信じてやってきた。注文したのは豚骨ラーメン。プレートには箸。長い、菜箸やんけこれ。てか久々に箸持ったわ。どうやら見た目に対するこだわりは高くはないようだ。盛り付けが綺麗とは言えない。チャーシューは美味しそうだった。いざ実食。うん、麺の味しかしない。スープが絡んでいない。しかしそれは勘違いであった。スープを飲む、薄すぎる。なるほど、スープが絡んでないのではなく、そもそも味がしないのだ。白石さんたちが日本食ではないって言っていた理由がわかった気がする。まあそんなこと言ってもしょうがない、店員さんには日本人はいない。こんなもんだろう。日本で食べるパエリアと本場のパエリアは違う。お互い様だ。じゃあミゲルすげえな。ちなみに予想は当たっていてチャーシューは美味しかった。ご飯も食べ終わり、店で座りながらこの後のことを考えていた。試合まで6時間。ジローナ、タラゴナは特急料金かかるしな。そうだ、モンセラートに行こう。そこは現在地から片道2時間ほど。景色が美しい、キリスト教の聖地みたいな場所だ。1時間ほど観光すれば、ちょうどいい時間に帰ってこられる。善は急げ。店を飛び出した。改札にいかにもヤバそうなやつが立っていた。これはまさか。予感は当たった。私が改札を通った瞬間に背後にから一緒に入ってきた。thank you、そう震えた声で呟きながら、彼は先に進んで行った。犯罪に加担してしまった。早くスペインから逃げたい。一方その駅で良いこともあった。スペインでは駅でよく人が歌ったり、演奏したりしている。毎日1人以上は見ていただろう。帰る前日にして、今までで1番素晴らしい演奏に出会った。ジブリに出てきそうな曲をアコーディオンで奏でていた。おじさんの表情も良かった、アコーディオンだけであんな素敵な音出るのだな。乗り換えて高速鉄道に乗る。そこで絶望的な事実に気づいた。充電コードを家に忘れたのである。あるのは満タンに充電されたモバイルバッテリー。彼1人では何もできまい。1人では生きていけないよという教訓か。違うか。残り37%、これから行ったことのない場所に向かうのに。これもまた一興。荷物を軽くしたかったので、今日はiPadもパソコンも持っていない。昨日は持っていたのに。一度読み終わった本を持ってきていたので、その本を読み返し、まとめる作業を始めた。スペインの電車だからなのだろうか、すぐ眠くなった。周りを見ると意外と寝ている、自分も寝よう、寝過ごしたらそん時はそん時だ。ハンドバッグを抱え込みながら寝る。20分寝た、スッキリ。起きたら風景はすっかり田舎になっていた。バカでかい太陽光パネルが設置されていたり、これまたバカでかい畑があったり。いかにも外国の田舎っていう感じである。景色はとにかくどこも綺麗だった。乗り換え地点に到着。スペイン版箱根湯本駅みたいな風景だった。家がスペイン式になっただけで風景は本当に箱根湯本駅である。喉が渇いたので飲み物を自販機で買おうとお金を入れる。欲しい飲み物のボタンを押しても一向に出てこない。返金ボタンを押すと、勝手に両替されて、大量の硬貨が帰ってきた。財布が重くなっただけであった。駅員さんにこのチケットで次行ける?と聞く。いや無理よ、それバルセロナ市内だけやし、専用のチケット買って。と言われた。堂々と違法乗車をカミングアウトしただけになった。早く逃亡したい、さすがにもう逃げられないか。専用のチケットを買って、ケーブルカーに乗り換える。ここまで箱根を忠実に再現しているとは。そのケーブルカーからたくさんのキャンピングカーが並ぶ駐車場が見えた。いつかキャンピングカーで旅したい。どんどん山を登って行く。山の上から見ると、雲の影になっている場所だけ暗くなっていた。そんなこと当たり前なのだが、雲の影の全てを捉えることができて感動した。この謎の感動は文字では伝わらないのだろう。そんなでかい影の全てを一度に見たことがなかったからだろう。目的地に着くと、そこには観光が終わった帰りの人々がケーブルカーを待っていた。数が多すぎてなんか少し気味が悪かった。全員こちらを見ているのである。4時に来るやつなんて基本いないので、ケーブルカーの中は数人しかいない。私の周りには誰もいない。動物園の動物はこんな気持ちなのだろうか。これは確かにストレスかもな。とりあえず降りる。ノリで来たので、何を見れば良いのかわからない。とりあえず検索。残り24%。やっぱ検索やめよ。そんな広くないので、歩いて全て回れそうである。とりあえず右に進む。レストランと眺めがいいポイントがあった。これ以上進むと全然違うとこに行く恐れがあったため、戻る。ここにも屋台があった。観光地価格だ。少し高い。山の下から競技自転車で上がってきたっぽいおじさんがいた。どんな体力してるん。バケモンやん。出発点に戻って左に行く。レストランがあった。各国の料理を提供しているらしく、国旗がズラッと書いてあった。その中に日本国旗も入っていることを確認した。誇らしい。まあ内容は違うのだろうけど。嬉しくなり、歩くスピードを上げて、道を進んで行った。高台に出ると最高の景色だった。1人でここに来ている観光客が自撮り棒を持って撮影していた。マジでなんで持ってこなかったのだろう。ずっとバックの中に入ったままである。早く輝にはYouTube始めて欲しい。教会(聖堂?どっちか忘れた)の中にある黒いマリア像が有名らしい。しかし中に入るチケットを購入していなかったので、拝めることはない。中に入らないと意外と観光地と言えど、暇なのである。これで全て巡りきった、と思う。とりあえず綺麗な場所で写真を撮る。モンセラートは岩に囲まれた窪みにあるので、建物の写真を撮ると岩が映り込む。その迫力は半端じゃない。人差し指みたいな整え方をされた木も映り込む。とても日本にはないような景色である。岩に囲まれていない、眺めが楽しめる方を見ると、一軒の建物が目につく。それは太陽光パネルをつけた店だった。観光地の眺めがいいところにそれは無しにしてほしい。階段を降りて、レストランに向かう途中、謎の入り口があった。普段なら何かわからない場所に足を踏み入れることはないのだが、今回は何か心が惹かれた。恐る恐る中に入って進んでいくと、そこは本と雑貨を売る店であった。正規の入口でなかったために、なんの案内も置いてなかったようだ。すると店の奥から日本語が聞こえる。モンセラートの歴史を説明するビデオが中では上映されているようだ。入れないようになっていたため、有料なのだろう。ビデオは観えないが、音声は聞こえたので携帯を見ているフリをして、盗み聞きしていた。1時間ぶり3度目の犯罪か。それに気づいたのか店員さんが近づいてきてチケット?みたいなことを言っていた。私に言われたのかと思ってドキッとしたが、他の客に言っているみたいだ。でもあの声量は私に聞こえるように言っていたのだろう。すごすごと外に出て、レストランに向かう。右方向にあったレストランに向かっていたのだが、入ってみると実際はカフェのようなところだった。飲み物だけとりあえず買おう。飲み物コーナーを物色していると、無性にファンタが飲みたくなった。喉を痛めてきたあのファンタである。観光地価格に面を食らいつつ、購入。一口目は最高に美味しかった。心なしかいつものファンタより炭酸が少ない気がする。なんでだろ。標高が高いからかな。店を出ようとすると警備員がそこに立って、入店してくる客に、後5分っすよ、本当に入ります?と聞いていた。危な、もう少し盗み聞きしていたら飲み物ないまま帰る羽目になっていた。そうなっていたらしんどかったな。次に近くにある絶景ポイントに向かう。外国の絶景ポイントなだけある。落ちたら確実に死ぬような場所なのに柵なんて一つもない。膝の高さくらいの石垣しかない。調子に乗った若者など、今までに落ちたんじゃないだろうか。まあとにかく絶景である。近くの地形も全て見渡せる。街がどのくらいの大きさなのか。道がどのように通っているのか。全てわかる。軍師ってこんな景色を見て戦略を練っていたのだろうな。何を考えるんだろ。キングダムに出てきそうだ。見終わって、ゆっくり電車に向かう。改札口、切符を入れても入れない。これは帰れないか?駅員さんに説明して、切符を渡す。彼女は切符をじっくり見て、フリーズ。何この時間。帰れなかったら試合観られなくなるんだけど、全然泣き叫ぶよ?すると、数秒後ちょっと待っていてと言って改札口を開けてくれた。満面の笑みでグラシアス。本当に感謝。電車に乗る、残り10%、耐えそう。行きにあまり進まなかった、本を読み、まとめるという作業をひたすらした。乗り換え時に、スペイン版の大場を見かけた。彼もまたいい子そうだった。進んでいくと、昼のジブリおじさんがまだ演奏していた。5時間やり続けているのかな、体力バケモンなん。乗り継いだ先の電車にはスペイン版大自然のロジャーがいた。正確には頭の形と髪型がR指定で、顔のパーツがロジャーだった。なぜだろう、いつもより周りがよく見える。家に到着。残り2%なんとか耐えた。家で充電しながら準備していると、セルジが、まだいんのかい、遅くね?早よ行きやと言ってきた。いや確かにそうだ。観客の数はこの前よりだいぶ多いだろう。チケットは完売と聞いている。なんでこんな余裕ぶっこいていたのだろう。夜ご飯を買ってから行くかと思っていた自分がバカみたいだ。そしてダッシュで家を出た。そこからは急ぐ急ぐ。全てのエスカレーターを無視して階段をダッシュし、常に早歩き。マジで暑い。汗ダラダラである。その甲斐あって、予想よりはだいぶ早く着いたのだが、指定された入り口が今いる場所と反対側であった。食べ物も見ながら、右回りで行こうと思ったが、進んでいくと道が閉じられていた。恐らく同じ境遇の人々が警備隊に通してくれと言っていたが、警備隊は首を横に振るばかり。引き返して、急いで向かう。ほぼ一周することになってしまった。もう早歩きではなく小走り。途中で酔った現地民にワンッと大声で通りすがりに威嚇されたが、完璧なスルーをかました。後から自分に言われていたと気づいたくらいである。気持ちよ。とりあえず目標のゲートに到着。そこは長蛇の列。意外と進みが早かったが、ある時ぴたりと止まる。全然動かない。誰か荷物検査引っ掛かっとるやん。長いって。同じ列から隣の列に割り込みする輩も出てきた。そのおかげで、先頭は進まないが後ろは前に進んでいた。日本人のプライドを持って割り込みはせず、じっと耐えた。そしてついに自分のターン。詳しい荷物検査。ボディチェック。この前より綿密だな。まあ試合の規模も違うし、そんなもんか。係員は私の荷物の中に日本のパスポートを見つけると、ああ日本かと言ってすぐに通してくれた。心配だよスペインが。日本にもヤバいやつはいるって。でも日本人が海外で凶悪事件を起こしたのは確かに聞いたことない。日本人でよかった。アップはもう始まっている、とりあえず入場。席は一階。この前とは雰囲気が全て違った。この前はコーナー後ろの3階。どこかテレビで観ているのと似たような感覚であった。しかし今回は選手がすぐそこでアップをしている。写真を撮ってから席の場所を確認しに行く。おっと?列番号を確認しながら進むと、どんどん前に。到着したのはまさかの最前列。ここは自分の席か何度も確認した。この1ヶ月全ての運がいい気がする。ゴールパフォーマンス見たいな。もう逆にアップは見ない。我慢バルサ。ラストイベリコ豚を食べるために売店に並ぶ。並んでいる途中にみんなが歌い出した。声量が尋常じゃない。耳とれるかと思った。列がまじで進まない。これは間に合わないな。入場の部分は外せない。席に戻ると自分の席に誰かが座っている。いやこのレベルの試合でもあるんかい。話しかけてチケットを見せると素直にどいてくれた。そいつは後ろの空いている席に移動した。ヤバすぎやろ、倫理観どうなっとるんや。後で来た、その席の所有者も困らされていた。そして入場。今や自分の目覚ましとなっているバルサのチャントを聴き、チャンピオンズリーグのアンセムも聴く。生で聴くとやっぱり迫力がある。鳥肌がたった。試合が始まる。席で座ってみると、ちょうど選手と同じくらいの目線である。前半はバルサの自陣側。ビルドアップのシーンが数多く見られた。ビルドアップを1人でやっていたのが17歳のクバルシ。彼と全く同じ目線の高さで見られたのは興味深い経験だった。前半途中のフェルミンへの一本のスルーパス。思わず笑ってしまった。確かに裏に抜け出すのは見えたが、自分にはひとつタイミングが遅れたように見えた。しかも、あれを出して、しかも完璧に通す技術。あと15年はDFラインにいてください。それとクンデへのサイドチェンジ。これは同じ目線で見ていたけど、自分にはそのパスコースを見えなかった。お前となんか比べるな、そう思ったでしょう。でもトッププロがいかに異次元なことをしているか、自分の感覚で分かったことが嬉しかった。試合は前半の早いうちに2点先行。こんな気持ちいいゲーム今季のバルサにはないかもしれない。決めた瞬間は1人で来ていることを忘れて叫んでガッツポーズした。周りもみんなしていたから、浮いていなかっただろう。ギュンドアンはマシンのようにプレーが正確。45分は一瞬であった。もう席を取られるのは嫌なので、ハーフタイムも席に居続けることにした。後半、次はチャンスを作り続ける16歳ラミンヤマルが目の前に来る。その対面はマリオルイ。ヤマル相手に頑張るマリオルイかわいい。ネタ枠だと思っていてごめんね。コーナーキックでギュンドアンが近くに来た。意外と顔がでかい。後半途中、チームに3点目が生まれる。いかにもバルサらしい崩しからの得点だった。こんな崩し、最近のバルサでは珍しい。今日見られてよかった。3点目でしっかり喉が逝った。痛い。あとはヤマルのゴール待ちである。スーパーな股抜きで相手のファールを誘ったあと、16歳はこっちを見て観客を煽ってきた。何度も言うが、チームを引っ張るのは16歳と17歳である。ヤマルもあと15年は頼むぜ。その頃には私は35歳か、どうなっているのだろうか。試合は3-1のまま終了。気持ちよく日本に帰れる。試合後はすぐに帰らずに勝利の雰囲気を楽しんだ。シャビ監督も挨拶に来ていた。写真も撮り終わり、外に出る。激しい爆発音。熱いサポーターは首領蜂騒ぎである。この前見たグラナダ戦では地下鉄が人数制限をかけられていたのでバスで帰ることになった。今回の観客は50301人。もちろんこの前より多い。どうせ電車には乗れないので、バスで帰ることを考えていた。しかし地下鉄の入り口は人もまばら。すんなり入れた。電車も混んではいたが、満員という感じでもない。この前はなんだったのだろう。0時直前に最寄り駅到着。夜ご飯をコンビニで買おうとしたのだが、そのコンビニが0時までらしい。走る。到着すると客も普通にいて、全然閉める気配はなかった。夜遅い時間に来るアジア人なんて滅多にいないのだろう。店主と思われる男性と目を合わせて挨拶。多分向こうは覚えてくれている。スタジアムでご飯を買わなかったので、最後に豪華にいこうということで、爆買い。バナナ2本、ハム2種類。美味しいオレンジジュース。それでも650円くらい。夕飯にしては安い。スペインでこのコンビニのバナナには助けられた。日本とクオリティが変わらない、数少ない商品である。家に到着。セルジと挨拶をして部屋へ。アンヘレスは寝ていたのかな。時差ぼけを少しでも減らそうと仮眠程度の眠りで済まそうと思っていた。荷造りも終わっているので、暇極まりない。でもアンヘレスとセルジに手紙を書かないといけない。とりあえず日記を書く。内容を濃くしすぎてほんとに進まない。将来見返すときのためだ。頑張ろう。恐ろしいことに気づいたら寝ていた。


33日目

起床。時計を見ると6:20。時間がやばい。6:45に出るつもりであった。フライトは10:25。空港には8:00の予定で考えていた。顔を洗って、歯を磨いて、服を着替えて。そして手紙を書き始める。時計などは見ずに、一心不乱にやることをやる。全てが終わったのが7:05。まあオンラインでチェックインも済ませているし、なんとかなるやろ。アンヘレスにもセルジにも別れを告げたかったが、背に腹はかえられぬ。アンヘレスはちょっと起きていた。だいぶ寝ぼけていたが、日本に行くと言ったら、なんか驚いて何か言っていた。その後、ありがとうと伝えると返事はなかった。セルジからはメッセージが来ていた。返信して外に出る。もちろん小走り。スーツケース重すぎ。階段無理。なんとか運んで電車に乗る。大分遅れたおかげで目的地まで直接行ってくれる神のようなバスに乗れた。バスからコルネジャのスタジアムがある場所が見えた。お世話になったので、とりあえず合掌した。元の予定だと電車の駅から10数分歩かなくてはならなかった。着いたのは8:10ほど。最初からこの予定で良かったのでは。まあそんなことは気にせず、荷物を預けに向かう。荷物の重さを計りたかったのだが、機械が見つからなかったので、突っ込むことにした。まあ耐えやろ。行きと明らかに重さが違うのは気づかないふりをする。行きの成田空港は時間が設定され、一斉スタートで混雑していたが、ここはチェックインしていれば荷物を預けるのはいつでもいいらしい。ほぼ待たずに受付まで行けた。パスポートを出すと、成田に行くんか?と言われたので、Yes,Narita!というアホ返答をすると、OK、行っていいよと言われた。え?荷物の重さはからんの?預ける荷物は規定超えていた気がするし、手荷物に至っては計りにも乗せていない。これが日本の信頼、スペインの雑さか。ありがたいことに8:24、暇になった。朝ごはんを食べようと空港をとりあえず一周。まあ行く場所はもう決まっているんですけどね。そうバーキンである。はるき君が食べたいと言っていたバーキン。彼は空港で食べていたので、私も3週間以上我慢して空港で食べようと決めていたのだ。イートインで頼んだはずなのに、お持ち帰りの袋で出てきた。朝なのでとても空いていた。これまた朝活している気分になってテンションが上がった。セットで頼むと、飲み物が巨大でスレスレまで入っていた。最高やん。今日も頼んだのはファンタ、昨日のより炭酸が強い。紙ナプキンの入れ方が雑すぎて面白い。その割にバーガーはめちゃくちゃ綺麗にできていた。マックとはここが違う。食べやすいし、何より美味しい。食後は硬貨を使おうと思い、水とお菓子を買った。検査場で水を捨てられた。そうだダメだったのだ。忘れていた。悔しい。また、ベルトを外すのを忘れてゲートで止められた。ベルトを外して通っても何故か止められた。厳しいチェック入るんかなと思っていたが、日本から来たというと、軽いチェックで済まされた。これマジでちょろい。輝くらいちょろい。実はこのとき私は死ぬほど焦っているのである。飛行機の経験がなさすぎて、搭乗券に書いてある搭乗時間が搭乗開始時刻なのか、搭乗終了時刻なのか分からなかった。10:25発の飛行機で、9:40搭乗時間と書いてある。後から冷静に考えたら、そんな早く搭乗が終わるわけないし、周りにはゆっくり移動する日本人もちらほらいた。ただ人は不安に駆られる時、そんな冷静になれないのである。バックをとって足早に検査場を去ると、次はパスポートをチェックするところに来た。この時点で9:30。少し混んでいて、5分くらい待った。その間に検査場にベルトを忘れたことに気づいた。ただ取り戻しに行く時間はない。ゆるゆるのズボンを引き上げ続け、私の番。日本のパスポートを差し出してニコニコしていると特に止められずに、スタンプを押してくれ、どうぞ、と言われた。はい、最強。あざす。史上最速ではなかろうか。このスピードで全員やってくれれば5分待たされないで済んだのに。ゲートを抜けると猛ダッシュ。後5分しかない。よりによって、搭乗ゲートは1番端。猛ダッシュの結果40分ぴったりに着いた。スペインに来て1番走った。大量の人を見つけ、安心する。その中には興国の生徒も。謎の縁を感じた。彼らは成田に到着して、そこから新幹線で大阪に帰るらしい。大変やな。他にもちらほら日本人がいて安心した。そういえば、30分前に皓大から学習院戦の相談をしたいというメッセージが来ていたので、急いで電話をする。遅れてごめんね。皓大の勝ちたいという気持ちは本物だ。凄い伝わってきた。10分ほど話すと、飛行機に搭乗する時間になった。電話を切る。1ヶ月ぶりに会うのが楽しみだ。飛行機に搭乗して席を探す。なんと1番前の窓側。足元のスペースが広い。なんでいい席なのだ。1人だと空いたところに入れてもらえるから、こういうことが起きるのか。席に座るとドッと疲れが出た。やばい、寝られる。ただ日本は今18:30。時差を戻すために寝るわけにはいかない。トランジットをするアブダビまではたったの6時間。4時〜10時まで練習を同じ場所で座って見ていた私なら余裕である。この時のための6時間だったのか。エティハド航空なので、案内を見るとアラビア語が書いてある。これ字汚いやつ生きていけなくないか?文字が複雑すぎるわ。いよいよ飛び立つ。飛行機が滑走路に入り、速度を上げる。この瞬間はやっぱ怖い。あ、浮いた。海に近いバルセロナは一瞬で見えなくなった。終わったのだな。もっと疲れた。1ヶ月気を張り続けていたのだろう。そりゃ寝られないわけだ。ここまでは飛び立つ時のリアルタイムの気持ちでした。日記のスタートもスペイン到着のところだった。離陸したので、日記も終わります。

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