無力
俺が好きなものには“無力感”を感じられるものが多い、というか“無力感”を感じられるものが好きだ。 いやちょっと違った。“無力感”を感じることが好きだ。 “無力感”というのは言葉のまんま、「今のおれは“無力”だ」という感覚 この世界において俺がいることの影響は良くも悪くもほぼ0であるという感覚 こう言葉にしてみるとだいぶ年寄りくさいが、たとえば一日の暇を与えられたとして、一日中何をするでもなくごろごろしていたいと考える人は少なからずいるはずだ。 何もしないこと、そして自分の存在の小ささを感じることは俺にとってかなりの幸せだ。 言いかえれば、日々充実しているより、日々すっからかんの方が幸せだ。 まるで出家でもしそうな思想だ。 なんでこんなふうに考えるようになってしまったのか。 鹿児島で生まれ育った俺が、東京に出てきて毎日いろいろな刺激を受けて生活するようになった反動だろうか。 願わくば早いとここのごちゃごちゃした大都会を離れて田舎でゆっくり暮らしたいものである。 さて俺の価値観の話はこれくらいにして、サッカーの話に移ろう。 最近、練習や試合の中で、“無力感”を感じることが多い。 先日の京都遠征も結果は散々だった。 ・・・ いや、としきと違って“無力感”の話はサッカーに繋げようがないな。 日頃は“無力感”を好む俺だが、サッカーにおいては全くの別志向だ。 自分が納得するプレーができないことが幸せだったりすることは決してない。 試合に負けていいと思えることなどあり得ない。 力がなければ試合には勝てないし、試合に出ることすらできない。 一日ごろごろしてても力はつかない。 引退までの4カ月は、“無力感”とは決別して、残された約3000時間を密度濃いものにしていきたい。 この夏休み、筋トレ、体のケア、ビデオによる反省など、練習時間外をどう過ごすかによってチームの成長度合が大きく変わる。 特にCチームにおいてはビデオを観て動きや判断の精度を高めていくことが非常に大事だ。 出来る限り多くの人間で一緒に見る機会をつくっていこう。 俺から声をかけるようにもするが、誰からというわけでもなくみんなが自発的に集まってくるようなチームの雰囲気ができればいいなと思う。 4年 GK 生活指導係 早田