ごちそうさま!/食後のペパーミントガム
御明竜蔵(4年/MF/渋谷教育学園幕張高校) ■ごちそうさま! 天神下の喧騒を、自転車でくぐり抜ける。細い歩道は人で溢れ、そこかしこに渋滞が発生していた。 今日は三連休の最終日、成人の日。共通テストが近いからか、湯島天神を目指す人の群れは一段と大きい。彼らを眺めながら、自分の成人式に思いを馳せてみる。 4 年も前の出来事なのに、あれからずっと学生のままなのはなんでだ。おかしいだろ。 なんかよくわからん色のよくわからんチェック柄のスーツに、後輩からプレゼントで貰った深紅のネクタイ。そして銀髪でオーダーしたはずが青く染まった髪。 あまり品のよろしくない事に定評のある地元の成人式でも、少し目立つ装い。 何を隠そう、ア式入部以前の自分である。 ―― 思えば、ア式に入部する気なんて無かった。部活は高校で懲り懲りだった。 ( 僕の高校時代については、僕の最初の feelings を参照されたし。下にある匿名コメントまで読むと、読後の味わい深さ 3 割り増しだ。自分も久々に見てみたら、嫌な思いを新鮮なままお届けされた。最悪。 ) 二度と部活なんて不自由な環境には戻らない、自分は自由に生きるんだと意気込んでいた。派手な髪色もその表れだったと思う。 それでも、“部活”に戻ってしまった。 ―― ―俺の一度目の人生は“腹八分目”ってとこだった ( 中略 ) こういう漠然とした渇きっていうのは厄介だぜ 僕の好きな漫画、『呪術廻戦』の台詞である。その中でも特に好きなシーンから引用させてもらった。 まさに僕の高校時代は“腹八分目”だった。やりきった自負も気持ちもあった。投げ出したい気持ちを何度も抑えて、最後までやり通してみせた。 それでもなお、どこかで自分は渇いていた。その渇きに蓋をして、日常を繰り返した。大学での孤独が大きくなるたびに渇きは強くなった。 そして、いつしかその渇きの正体に気がついてしまった。 僕にとって残りの“二分”は、渇きは、サッカーへの愛情だった。 ―― サッカーは楽しい。スパイクに足を通し、グラウンドに入った時の期待感。ボールに触れ、仲間とパス交換をした時の高揚感。 僕はサッカーが好きだ。好きだったはずだ。...