エピソード0

 上田雄大(1年/DF/土浦第一高校)


 ア式に入って、2か月が経った。まだ、2か月しか経っていないのにfeelingsとかいうものを書くことになった。執筆を言い渡されたときには、「まだ早くないか」と思っていたが、執筆段階でもその気持ちが弱まることはなく、それどころか一層強くなっている。とりあえず先輩が一年生のころに書いたfeelingsを読んでみると、どうやら高校までのサッカー人生やア式に入った理由を綴るのが相場らしい。先輩たちと同じような感じで書こうと思っていた僕であったが、ここで逆張りの僕が現れた。「みんなと同じって嫌じゃない?」ってそう囁いてきた。そう言われてから3週間ずっと何を書こうかと考えていたが、結局締め切り当日まで何も思い浮かばなかったので皆さんと同じようにア式に入った理由を書いていきたいと思う。次回作はもっとオリジナリティ溢れる作品に必ずします。

 僕が、ア式に入った理由は「純粋にサッカーって楽しいな」と思えたからである。中高までの自分には、言い方を悪くすれば惰性でサッカーをやっている様な感覚が付き纏っていた。もちろんサッカーが楽しくなかったわけではないし、その選択が間違っていたとは微塵も思っていない。ただ、当時の自分に「なんでサッカーやっているの?」と聞いたら、「今までサッカーやってきたから」というしょうもない回答が返ってくる気がする。なぜ大学生になってサッカーの楽しさを再発見できたのか、それには高校時代の経験が鍵になっているように思う。小中の頃は周りの人よりも足が少し速かったという理由だけで無双していた僕だったが、高校の部活にはいって僕の自信は一気に失われた。先輩も同期も僕よりずっと上手く、何かを変えなければならないと直感した。技術が足りないなら何をすればよいのかと考えた自分なりの結論はハードワークするということだった。もとから体力には自信があった僕はとにかく走ることでチームに貢献することを思いついた。その結果、監督に中盤の選手として使ってもらえることが増えた。先輩と一緒にプレーでき、今までで一番サッカーを楽しめた1年間だったと思う。しかし、問題は2年生としての1年間だった。上手な1年生がたくさん入ってきた。それだけではない。僕の代は6人しかいなかったことと彼ら1年生の我の強いキャラクターも相まってばらばらの状態から新チームがスタート。当時副キャプテンだった僕はこのバラバラのチームをまとめるという役割を担う必要も浮上してきた。少し前のサッカーとのギャップに思いっきりやられてしまい、合宿では4日間、残り試合をカウントダウンし続けるという、サッカーに関してかなりネガティブな感情を持つようになってしまった。しかし、新人戦で鹿島高校に010という、サッカーの試合かと目を疑うスコアで負けたときにスイッチが入った。このままじゃ、ヤバい。そう思った僕は、「背中で見せる」を密かなスローガンにし、特にオフザピッチの準備・片付けなどで、今まで行動よりも言葉が先行していた自身を改め、先に自分が行動することを意識した。少しずつではあったが、チームがよくなっていく感覚がもてた。1年前とは違う楽しさを感じた。総体でも、ベスト16まで行けた。負けた時には後悔はなかった。高校で競技としてのサッカーを引退するつもりだった僕にとって、ある種の成功体験でサッカー人生を締めくくれたことは当時は最高であったが、大学に入って様々な団体、もちろんサッカーサークルも見学したが、しっくりくるものは何一つなかった。そこで、出会ったのがア式だった。初めてサッカーをしたときと似たような感覚を覚えた。やっぱり本気でサッカーしたいと思えた。そう思えたのはきっと、一度サッカーから離れてほかのものを見ることができたからだと思う。今度こそ、本当に最後のサッカーになるであろう、大学サッカー。4年後に、この選択は間違っていなかったと確信できるように、いまから一瞬一瞬を大事にしていきたい。

 と、ここまで自分がア式に入った理由を書いてみました。とりあえずこれをエピソード0として、僕のア式での物語のスタートとしたいと思います。

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