絶対なんて絶対ない

「どうやって勉強してたんですか??」




東大生なら誰しもこのような質問を受けたことがあるだろう。




それに対して皆さんはどのように答えるのだろうか。勉強方というものは難しいもので、どんな人でも実行することができ、やればやるほどテストの点数が上がる絶対的なウルトラCなど存在しない。




だからこそ受験生は入試で高得点を獲得し合格する、という目標のために、自分にとって最適と考えられる学習計画を立て、勉強する。模試などで随時自分の現状を確認、評価した上で計画を改善し、継続的に成績を向上させる。




計画→実行→評価→改善。いわゆるPDCAサイクル。まともに受験勉強をしようと思ったら、意識しているかどうかは別としてこのサイクルを回していくことになる。塾や参考書はそれを助ける手段に過ぎない。絶対的な勉強方が確立されてない以上、自分にとっての最適解を探し続けなければならない。頭のいい人はこれが上手い。




こんなことを言っておきがら、大学生になった自分は勉強においてPDCAサイクルを回さなくなった。勉強は嫌いではないのだが、資格試験等を受けるつもりは無いため、気が向いたら興味のある授業の勉強をして、興味のない授業は単位を獲得するためにテスト前にまとめて詰め込んでぎりぎり帳尻を合わせている。




学生の本分は勉学にあるためあまり好ましく無い事態ではあるが、今は勉強に代わり、筋トレを考案する際にこのサイクルに直面している。




筋トレは最低限守るべき原則があり、それは少し勉強すれば分かる。サッカーをするための筋肉はサッカーをすることで身につくが、最大の効果が得られるとは言えない。フィジカル面での向上を望むのであれば競技練習と並行してベーシックな筋トレを行い、筋力ベースを手に入れた後、得た筋力を競技に生かすためのパワー系トレーニングやプライオメトリクスを行うべきだ。




このような原則は存在するものの、絶対的に確立された、あらゆるチーム、選手に適用できる筋トレ計画というようなものは存在しない。だからこそ立てられた計画は状況に応じて修正され続ける必要がある。




ア式では計画を立てる所までは出来ていたのだと思う。部のdrop boxには偉大な先輩方が作成したと思われる筋トレの資料がいくつも残されている。かなり勉強しないと作れないものだ。しかしそれらは今の代に引き継がれて実行されていない。計画を作成し、全体に周知する所まではよかったものの、実行、評価、改善のプロセスは踏めなかったのかもしれない。そしていつの間にか計画もなかったことになったのかな。選手は高いモチベーションのもと各々勉強し筋トレに励んでくれていたが、体系化され最適化されていたとは言い難い。




だからそれを変える。ネットや本の情報、トレーナーの意見、チームと選手の状況を踏まえ計画を作成し、実行する。筋トレの記録は毎週チェックし、問題が見つかれば改善する。東大ア式の選手にとっての最適解を探し続け、フィジカル面で継続的に向上するための仕組みを作る。いきなり全部やろうとしても上手くいかないだろうから少しずつ、じっくり、やれる範囲を増やしていくつもりだ。




ポジションや個人のプレースタイルに合わせてメニューを変えるべきか?リーグ戦をトップコンディションで臨むためのピリオダイゼーションは?慢性的な怪我で筋トレできない部位はどうする?などなど、計画の土台のためにまだまだ勉強しなければならないことは多い。信頼されるに足るようフィジコ全員がチームのために勉強を進めなければならないのは明らかであり、現在進行中だが、最も重要なのは選手の協力だ。




評価は選手からの報告が無いと不可能である。また、評価、改善というプロセスを設定している以上、こちら側の言うことが絶対に正しいから従えと言うつもりは無い。疑問に感じたことは伝えて欲しいし、不備がある場合はその都度改善されるべき。全員でこのサイクルを回す必要があるのだ。




筋トレ管理に限らず、干渉されるのは面倒だと感じるかもしれないが、どうかフィジコに協力して欲しい。必ず選手のためになるから。




ゆっくり急ぐ
新3年
石川

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