これだけでサッカーが上手くなる方法

杓子定規な自分は、自己啓発本というものを敬遠してきた。
手を替え品を替え同じような内容が繰り返し書かれていて、読むだけ時間の無駄だという偏見を持っていたのだ。

しかし、希望の進学先に進めず留年までしてしまい、自分のキャリアについてゼロから考え直さなければならなくなったので、何か将来について考えるヒントとなるような本を探すべく、その偏見を振り払い本屋に出向いてみた。
しばらくブラブラしていると、経営・ビジネスのコーナーに『苦しかったときの話をしようか』といういかにもキャッチーなタイトルの一冊を見つけた。


“キャリアに悩むすべての人に役立つ本質的ノウハウ”

USJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」


著者は神戸大学経営学部卒で、経営危機にあったUSJV字回復させたマーケターだと書かれている。フィーリングで購入し、それでもまだハリボテなんじゃないかと半信半疑で読み進める。
著者曰く、キャリア戦略においては、人生を通して達成したい最上位の目的を立て、それを実現するための「資源」、つまり自分の強みをできるだけ早く見つけて伸ばしていくことが重要で、その強みを他者に伝えるためには、自分自身をブランド化することが有効らしい。



「ブランディング」という言葉はア式でも最近よく耳にする。ア式が対外的に活動する限りブランディングは必要不可欠だが、組織に限らず、選手として自分自身をブランディングすることも大事だ。

無論、試合に出るためにはメンバーとして選ばれないといけない訳で、そのためには自分の強みを認識してアピールしないといけない。
これを実際にプレー中に意識している人は少ないだろうし、結局上手いやつは使われて下手なやつは使われないと言ってしまえばそれまでだ。
だけど、選手の善し悪しが一意に決まることはない以上、自分自身をブランディングすることもまた技術の一つなんじゃないかと感じる。


では、具体的にどのように自身をブランド化すればよいか。
続けて書かれていることを要約すると、

ブランドの設計では、
1.参入する活動領域(ドメイン)

2.ターゲット

3.ブランドが持つ本質的な価値(ベネフィット)

4.そのベネフィットを提供する手段
を順に規定する。
さらに、ドメインの設定は目的と自分の資源を考慮して広すぎず、狭すぎない適切な範囲で設定しなければならず、またベネフィットに関してはそれを他者に信じさせる根拠となるドライバー(RTB :Reason to Believe)が必要である−−−


試しに、これを参考にサッカーにおける自分をブランディングしてみたい。

1.ドメインを広すぎず、狭すぎない範囲で設定するなら、ア式ではなくア式が所属するリーグ、あるいは目指すリーグになる。

2.ターゲットは監督・コーチ、そして観客である。

3.自分のベネフィットは、ミドルシュートやプレースキルである。

4.ベネフィットを提供する手段とRTBは、言うまでもなくそのプレーを実行することである。


やってはみたものの、ビジネスでキャリア成功に繋がるらしいマーケティング・ノウハウは、サッカーでのレベルアップに繋がる意外な打開策にはなり得そうにない。

それもそのはずで、いくらメタ的な視点で自己分析をしたところで、それによって自分の強みや弱点を把握したところで、結局はピッチ上で何を表現できるかが全てだ。
むしろ余計なことは考えず、一瞬一瞬のプレーに集中できた者勝ちかもしれない。いや、これは本当にそうだと思います。


選手としてこのチームにいるからには、公式戦に出て、勝利に直接貢献しなければ全く意味がない。
しかし、自分は全く公式戦に絡めていないのが現状です。


残された時間は多くないですが、もっとサッカーを観て、もっと考えて、もっとコミュニケーションを取って、もっと練習して、焦らず、それでも着実に、努力を続けていきます。



3年 門前佑太郎

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