ブームから文化へ

 2019年、日本のスポーツ界での大きな出来事といえば、やはりラグビーW杯が開催されたことだろう。予選を勝ち進み、史上初めて決勝トーナメントへ駒を進めた姿に日本中が熱狂した。御殿下サッカースクールで子供たちがサッカーが終わった途端に夢中でラグビーをする様子を見ていると、ラグビーブームの大きさを実感する。

 W杯が終了した後もラグビーブームは止まず、選手がテレビやイベントでまさに引っ張りだこといった状態である。先日行われたパレードには、平日にも関わらず約5万人のファンが集結し、大きな盛り上がりを見せた。


 
 そんなラグビーブームの影で、数年前から日本で着々とブームになっているスポーツがもう一つある。それはフィットネスだ。

 昨年は筋肉は裏切らないが流行語にノミネートし、テレビでは筋肉体操やアニメ「ダンベル何キロ持てる?」が話題となった。また、最近エニタイムなどフィットネスジムが増えたなと感じている人も多いのではないかと思う。

 ビーフ佐々木クラシックという日本で行われているフィットネスの大会では、4~5年前は30人程度の参加者しかいなかったのが、今年は総勢800名以上が参加し世界でも有数の盛り上がりとなった。

 しかし、スポーツとしてのフィットネス、例えば個人的に好きなボディビルやフィジークは理解されていないことが多いように感じる。ボディビルの話をしても、あれは筋肉付けすぎ(褒め言葉)と返ってきたり相手にされないのがオチだ。

 そこで、よりボディビルに親しみを感じてもらえるように、ボディビルダーをサッカー選手にも例えながら少し紹介したいと思う。

 楽しい、楽しくないではなく、楽しもうとする心が大切であり、ぜひ読んでいる皆さんもご協力願いたい。そして自分自身がにわかファンであり、知識に間違いがあるかもしれないことを断っておきます。




 最初に紹介するのはロニーコールマン(左)とジェイカトラー(右)である。






 こんな筋肉を持った人が実際に存在するのかと衝撃を受ける人もいるだろう。すばらしく大きい胸、肩、腕、僧帽、腹筋、脚、そして血管や大腿四頭筋の筋がこれでもかと浮き出ていてすばらしい絞りである。

 2人はフィットネスの世界最高峰の大会であるミスターオリンピアにて1位の座を争った戦友である。ロニーコールマンはミスターオリンピアを8連覇し、幾度となくジェイカトラーの優勝を退けた。そして2006年とうとうジェイはロニーを破り悲願の初優勝を成し遂げたのだ。時代を築くことができるすばらしい体を持った2人が、同じ時代で戦い1位の座を奪い合ったのである。サッカー選手に例えるならば、まさにバロンドールを取り合うメッシとクリスティアーノロナウドといったところである。




後ろから見たバックダブルバイセプスのポーズでは、二頭筋(力こぶ)の盛り上がり、背中のボコボコ感、広背筋の広がり、クリスマスツリーのすじ、脚のサイズの凄さがわかる。そしてロニーといえばこのグルーツ(おしり)にも特徴がある。右のジェイと比べてもその大きさは一目瞭然だ。さらにグルーツは1番絞りが難しく最後まで脂肪が残りやすいと言われているが、ロニーのグルーツに入った筋を見ればこの写真の彼のコンディションがすばらしいことがわかる。





 3人目に紹介するのはウィリアムボーナック、1番好きなボディビルダーである。


2012年にプロになり、今年のミスターオリンピアでは準優勝を果たした。上の写真からもわかるように彼の大会でのコンディションはほんとにすばらしくかっこいい。



そしてこの背中、肩、腕の筋肉の立体感、グルーツの絞り、ハムストリングの筋、特徴的な髪型が好きな理由である。弱点がなく、非常に完成度の高い体をしている。

 特徴的な髪型をし、攻守において弱点がなく非常に完成度の高いプレーを見せるポールポグバに例えられるだろう。





 4人目に紹介する選手は山岸秀匡選手である。



 日本人選手で初のIFBBプロボディビルダーで、日本人で初めてミスターオリンピアに出場した。プロになるためには、IFBBという団体公認のアマチュアの大会で好成績を収める必要がある。そしてミスターオリンピアに出場するには、プロの大会で好成績を収める必要がある。ミスターオリンピアに出場することは本当に狭き門であり偉大なことなのである。

 46歳になった現在も最前線で活躍し、今年の韓国プロで優勝を収めミスターオリンピアへの10度目の出場を決めている。2016年には、あのターミネーターでお馴染みのアーノルドシュワルツネッガーが始めた大会アーノルドクラシックで212の階級で優勝するという快挙を成し遂げた。

 身長は168cmと大柄ではないが、その筋肉量からビックヒデという愛称で親しまれている。

 サッカー選手で例えるならば、52歳となった現在も現役でプレーし、見事J1昇格を果たした、そしてキングカズという愛称で親しまれる三浦知良選手であろう。




 そして最後に紹介するのは、ボディビルダーではないが、僕自身のボディビルへの見方を変え、ボディビルがかっこよくて、如何に凄いか、見てて如何に楽しく興奮するかということを教えてくれたYouTuber「ネック」である。

 彼の動画は自分自身は映らずに、ボディビルの映像とそれを解説した声の動画である。


一見、どれも同じに見えてしまうボディビルダーたちの身体が、誰のどこがすばらしいポイントなのか、どこに注目して見るとおもしろいのかというのを分かりやすく解説してくれている。そして、ネック自身のボディビルへの溢れんばかりの愛が解説している声からダダ漏れになっているのもおもしろい。

 ネックの動画はボディビルに全く興味がない人でも、いち動画コンテンツとして楽しめるのでぜひ暇なときにでも見てほしい。

 ネックを例えるのならば、様々なサッカークラブのプレーモデルを分析し、それを分かりやすく解説してくれる、さらには僕自身のサッカーへの見方を変えサッカーの面白さを改めて教えてくれた、我らがヘッドコーチ山口遼といったところか。


 締め切りが迫っていて、フィジーカーやJBBFの選手、スポーツモデルの選手、パワーリフター、筋肉YouTuberなど多く人に触れることが出来なかったのが心残りである。


 ただ、少しでもこれらの競技に親しみを感じてもらうきっかけになれば幸いである。




やるか、やるか
3年 嶋崎 駿介


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