目標

堀祐大朗(2年/スタッフ/長岡高校)


ア式蹴球部(サッカー部)スタッフ2年の堀祐大朗です。ア式にはスタッフが約35名おり、練習や試合における選手のサポートはもちろん、戦術の分析、広報、スポンサー獲得に向けたセールス、地域のコミュニティ活動、etc.を選手と協力しながら行っています!サッカーに興味がある新入生、2年生以上の方、大学を問わず大歓迎なのでぜひ一度見学にいらしてください!!

 

ア式に入ったきっかけと自分の目標

 

ア式のスタッフの特徴の1つにサッカー未経験でも活躍できるということがあると思う。大学に入って戦術を学んでチームにアドバイスを送っているテクニカルスタッフもいるし、サッカー観戦が好きでサッカーに関われることが幸せといっているマネージャーもいる。

 

私も大学までサッカー部に入ったことがなかったが、サッカーを見ることは大好きだった。特に地元新潟のプロサッカーチーム、アルビレックス新潟の熱狂的サポーターで、ゴールに涙することもある。将来はアルビレックスに何らかの形で関わりたい!社長になってクラブに貢献し感動を届けたい!とまで思っている。

 

この目標は中学3年の頃から公言している。目標は周りに言ったほうが責任が生まれる、また思わぬ出会いを生むと考えているからである。高校2年の時にはアルビレックスの社長になってレディースの強化をすることでなでしこリーグを活性化させジェンダー平等に少しでも貢献したいというスピーチを行った。さらに、社長を目指す上で組織の長としての経験を積みたいと考え、英語ディベート部の部長も務めた。

 

そして、受験期の1月、東大のサッカー部に林陵平監督が就任するというニュースを聞き、ア式蹴球部のことを知った。大学サッカーは自分の目標を達成するためのラストチャンスだと考えた私は思い切ってア式に入った。

 

ア式に入っての1

 

テクニカルスタッフとして入部して、新鮮な経験をたくさん積ませてもらった。対戦相手の戦術分析や、ア式の戦術提案、撮影、戦評、リアルタイム分析、データ分析などを通して、これまでなんとなく見ていたサッカーが頭脳戦でもあることに気づいた。対戦チームの弱点をア式がうまく突けると嬉しいし、分析を担当した試合では特に緊張して試合を見ていた。これまでサッカー部に入ったことがなかったので、スタッフではあるが11つ新しいことばかりだった。間近で試合を見たり、練習のサポートができることが喜びだった。初めて練習見学に行ったとき、選手と監督が一緒になって練習していたことは今でも鮮明に覚えている。

 

自分にとって学びの連続だった部活だが、次第にテクニカルとして実力不足を感じることが多くなっていった。これまでサッカーシミュレーションゲームで戦術を学んだ気になっていた自分にとって、スカウティング(対戦相手の戦術分析)というのは基礎がない状態での応用だったからである。先輩から戦術を解説していただき納得することはできても自分で分析することは難しい。断片的な知識を統合することに苦労していた。

 

1年の夏からスカウティング班に入って東京農業大学、山梨学院大学、帝京大学の分析を先輩と担当した。チームの先輩に少しでも貢献できるよう、そして足を引っ張らないよう、分析とはあまり関わらない部分(選手に見せるスライド作成や試合映像の切り抜きなど)を率先して行うようにした。帝京大学戦ではセットプレー担当を拝命した。自分の分析に自信がないから、たくさんの試合を見てできるだけ定量的に分析しようとした。

 

ただ、分析を担当している以上、そこには責任が伴う。ごくわずかではあるが自分の分析がチームを左右するわけだし、分析班にいて分析から逃げても自分の成長・チームの成長は見込めない。

 

チームの足手まといになっている中で、自分がどう行動すべきか。とにかく勉強して少しでも良い分析をする、テクニカルスタッフからは一旦退く、離れるとして別の役職につく、部活を一旦離れる。いろいろな選択肢を考えた。テクニカルの先輩方や同期のみんなにも相談した。皆さん優しくて、ア式はさまざまな活動ができるから自分のやりたいことをやったらいいとアドバイスしてくださった。また、グラウンドスタッフかテクニカルスタッフどちらかに所属していた方が部内で活動しやすいとも助言いただいた。

 

自分がやりたいことって何だろう?

 

アルビレックス新潟の社長

 

これまでアルビレックス新潟の社長になりたいと言ってきたが、それを言うだけで具体的な行動には踏み切れていない。確実にサッカーに関わる経験は増やしているが社長になるというレールに乗ったらそこから引き返せない気がして躊躇している自分もいるのが本音である。(社長を目指せると思っている自分が大変おこがましいが)

 

自分はなぜ社長になりたくて、社長として何を成し遂げたくて、逆に目標を妨げる、自分自身を引き留めるものは何だろうか?

 

1年の秋から冬にかけては大学のOBの話を聞いたり社会人の方に質問したりしながら自分の将来について考える期間が続いた。

 

その中で自分を見つめる大きなきっかけになったのがあるサッカークラブのインターン面接だった。元々はア式以外でもサッカー経験を積みたいと考えインターンを志望したのだが、期せずして目標についてアドバイスいただけることとなった。

 

特に、社長として成し遂げたいことをクラブの方と話し合うことで自分がなぜ社長になりたいか少し明確になった。テクノロジーでサッカーをより良くしたい、とかアルビを強化してアジアの大会に出場させたいなどといった目標が誰にでも言えることと感じたのに対し、サッカーを通じて人の交流の場、居場所を作りたいと言う夢はとても納得がいった。

 

もともとは人見知りで大人数での会話が得意でなかった自分にとって、サッカー観戦、アルビファンというのは自分のアイデンティティになっていた。皆が楽しそうに話しているのを見て羨ましいなと思うこともあったが、自分の居場所がないわけではなくて、アルビについて語っているときは自分の素を出すことができた。

 

サッカーをプレーする人も、最近見るようになった人も、さまざまなバックグラウンドを持つ人がサッカーを通じて交流して居場所を作り、自分が何者か確立できる。そうした経験の機会を少しでも提供したい。他のスポーツや芸術にもそういったコミュニティとしての機能があると思うが、自分はサッカーを通して自分と同じような悩みを持った人に何か活動したい。

 

助っ人外国人がゴールを決めて涙する姿。チーム全体で勝利を掴んでスタジアム全体で喜び合う光景。サッカー部で日々目にする練習風景。そうした瞬間を多くの人に味わってもらうことを通じてダイバーシティ&インクルージョンに貢献したい。

 

自分が今社長を目指している理由の一部にはそう自分が公言したから、というのがあるのかもしれない。これまでいろいろな方に目標を応援してもらったし、面白いねと言ってもらった。だから引き返すのも失礼だしそんな気持ちを持ったまま突き進むのも失礼ではないか。

 

しかし、そんな風に自分の過去の発言やサンクコストバイアス(もったいなくてやめられないという考え)に左右されるのではなく、自分が何をしたいかを真剣に考えて将来のキャリアを決めたい。

 

サッカー経験がない、試合観戦に行った経験も相対的に少ない(幼い頃はスタジアムの大きな音が苦手だった)、性格的に社長向きではない気がする、こうした目標を阻む思考を乗り越えられるような信念を持ちたい。そのヒントを見つけるために2年目はグラウンドスタッフとして部活に関わることにした。

 

社長になるだけが目標達成の手段ではないかもしれない。スポンサー企業の側からクラブをサポートできるかもしれないし、Jリーグの方に関わってアルビレックス新潟だけでなく幅広い地域のコミュニティ創造を支援することも考えられる。別の目標が見つかってそちらに力を入れることもあり得る。

 

ただ、目標に左右されるのではなく、自分が目標を左右する。そうするに値する信念を持つ。これが目標の如何に関わらず大事なことだと思うし、これまで応援してくれた方への最大限の誠意だと私は考える。

 

ア式スタッフとしての今後

 

グラウンドスタッフの活動はより練習面で責任を伴う。テクニカルからグラウンドスタッフに役職を変えたのは後ろ向きな理由もある。だからこそサッカー部に関わる上での自分の信念をはっきりさせる、そのために自分自身を見つめる。そうした先にチームでの信頼があると思う。よりピッチに近いところからサッカーに関わって自分が何を目指すのか考え続けたい。

 

また、グラウンドスタッフとしても戦術に詳しい方が練習を活性化できると自分は考える。サッカー部にいて戦術初心者のままでは悔しいし、これまでさまざまなことを特にテクニカルの先輩から教えていただいたので、戦術に詳しくなることが今年の目標である。

 

サッカーが大好きでプレーに夢中になっている選手は本当にかっこいい。自分はもしかすると方向性が違うのかもしれないが、信念を持つことができれば助け合えると信じている。

 

テクニカルスタッフとしての1年、そしてグラウンドスタッフとしての経験がきっと自分の将来につながるはずだ。

 

最後に、こうした悩みを持てることは何より幸せなことである。家族の意見を押し切ってサッカー部に入ったわけだが、こうして右往左往している自分をいつも応援してくれ、アドバイスをくれる家族には感謝しかない。

 

残りの大学生活、真剣に過ごして将来は周りに少しでも貢献できる人になりたい。これからはア式に貢献していこう。

コメント

  1. 多様な人材が集まる部活、素晴らしいと思います!

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