繋ぐ

4年 大矢篤(MF/FCトリプレッタ U-18)


 卒部feelingsまで執筆エネルギーを溜め込んでおく予定だったけど、まさかのこの時期に担当が回ってきてしまった。せっかくの機会とポジティブに捉えて、昨季を振り返り文字に残しておきたいと思う。

怪我でまだ今季リーグ戦に出れていなかったし、気合を入れ直すためにもちょうどいいタイミングなのかもしれない。




昨年、自分たちの力は1部で全く通用しなかった。そのリベンジは、1部でしか果たせないと思うし、いつまで経ってもこの悔しさは残るだろう。だけど、後輩たちにあの厳しく刺激的な舞台を残すため、1年での1部復帰を絶対に成し遂げなければいけない。今年は、2部の全てのチームにリスペクトを払った上で、自分たちが残せる最善の結果である「優勝」を必ず達成したい。


今まで良くしてくださった先輩たちも、そしてもっと上の代の偉大なOBの方々も、きっとこんな思いで最後の一年を戦ったのだろうな、と思う。どんなに人が入れ替わっても、”受け継がれる意志„は止まらないのだろう。


そして、それこそが部活の良さなのだと思う。4年間という限られた活動期間のなかで、自分が組織に残せること、自分が楽しめることを、両立しながら行なっていく。そして、4年間で結果や形に残せなくとも、その意志を後輩に託していく。同じ意志や目標を受け継いで、違う性格や能力をもつ人間が実現を目指して活動を続けていくのはとても美しいことだと思う。


サッカー部なのだから、ピッチ上で紡がれた想いが受け継がれていくのは当たり前かもしれない。だが、様々な活動に力を入れている近年のア式なら、ピッチ上の11人に限らず、ピッチ外でもそんな場面はたくさん多くあると思う。


例えば、5年以上前に上手くいかず、無くなってしまった東大トレセン。横のつながりが薄い進学校の生徒たちの交流の場を創出して、文武ともに刺激を与え合う機会にして欲しいという想いが背景にあった企画だ。1年の頃の自分は、当時の担当者であった森本さんから話を伺い、改善してこれを復活させようとした。だが、コロナで2、3年次はなかなか動けずにいた中で、新2年の希一が主導して実現に向けて進めてくれている。10年間以上あった想いをどうにか今年結実させ、持続可能なイベントとして残せたら、と思う。



完全に脱線してしまった。

ここまでで言いたかったことは、部活は4年間で構成員が全て入れ替わるという制約を持つからこそ、”受け継がれる意志„を持って発展していく稀有で面白い組織だということ。4年生になって、引退が近づいている中で、その面白さをより実感している。新入生やスタッフ含め部員全員が、0→1で新しい意志を生み出すも良し、誰かから意志を受け継ぐもよし、ア式という器を使って何かを達成しようと挑戦してくれればいいなと切に思っている。




もう提出していい感じの空気ではあるが、メインテーマのはずだった昨季の振り返りはやっぱりしておきたい。

お時間のある方はもう少しお付き合いください。




なによりも印象に残っているのは、2021年10月27日の大東文化大学戦。


この日、自分はベンチに入れず、応援席で試合をみていた。そして、チームはこの試合も勝てなかった。


仲間が挨拶に来る。メガホンを叩き続けた手の痒さが、コロナで満足に声出しもできない歯痒さが、挨拶をする側じゃなくてされる側の自分が、なんとも虚しく無力感に苛まれた。


この敗戦によって、残り2試合を残して東大ア式の最下位が決定し、目標の一部残留を果たすことはできなかった。




昨季はとても長いシーズンだった。

24試合もあったから当然長いのだが、やはり悩んで苦しんだ時間がほとんどだったから、その長さはより際立って感じた。


頼もしい先輩たちについて行くので必死だった1、2年の頃とは変わって、昨季始動時にはチームを引っ張る立場として十二分に責任と覚悟を持っていた。1年の頃に歯が立たなかった1部リーグで、結果を残す1年間にしようと意気込んでいた。


だが、シーズン当初から結果が出ない。

毎週、今週こそはと思って試合に臨み、勝つために自分のベストを尽くす。シーズン序盤から時間が経つにつれ、勝ちに近づく試合は増えていくが、肝心の結果がついてこない。


そんな中でやっと勝ち点3を得たのが前期の学習院大学戦。本当に嬉しかったし、ここから上昇できると思ったが、結果としてはその逆になっていく。


コロナの影響でチームとしても練習・試合ができない期間が続き、個人としても小さな捻挫を繰り返すようになる。結果的にみると、学習院大学戦以降、東京農業大学に引き分けた後に10連敗。本当に情けない結果。


連敗中のメンタルはボロボロだった。負傷離脱中の焦り、復帰してもチームの流れを変えられずに無力感を感じ続ける日々。シーズン途中に副将という立場を任され、ちょっとでもチームの雰囲気を良くするために出し続けていた声も、空元気の要素がますます強くなっていった。

そんなネガティブな感情を抱いていたから、当然自分のプレーも「なんか上手くいかない」と思うことが多くなっていった。


そして10月27日、ピッチで戦えないままに降格が決定し、目の前が真っ暗になった。今までサッカーをやってきた中でも、一番苦しい瞬間だったかもしれない。




そんな去年の経験を経て、ア式で自分に残された時間は残り半年弱になってしまった。

何か大きな結果を残したい、と野望を抱いていた1年生の頃の自分が、現状を見たら大きく落胆するかもしれない。結局、1部と2部を行ったり来たりのままか、と。


だけど、あの日の感情を味わってから、もっとサッカーを楽しめるようになっていった気がする。

試合だけじゃなく、練習でさえもサッカーができるありがたさを感じるようになったし、素直にもっと上手くなりたいと思えるようになった。小中高大と、様々に魅力的な環境で、長い間サッカーをやらせてもらってきたが、この年齢になってもまだまだ上手くなれると確信している。



繰り返しにはなるが、今までたくさんの貴重な出会いと経験をさせてもらったア式において、自分がピッチ上で残せる結果はただ一つ。1年で1部に復帰させ、後輩たちにあの厳しい舞台を残すこと。

だからこそ、もっとサッカーを楽しんで、上手くならなければいけない。そして、自分の出せる全てを出し切って、チームを2部優勝に導きます。



学生生活ラストイヤー。こんなにもサッカーに時間を割くことができるのも今年で最後だろう。

今までお世話になった方々への感謝を忘れずに頑張ります。今年も応援よろしくお願いします。





ONE PIECE16巻

”受け継がれる意志„と同い年

4年 大矢篤

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