サッカーの地平線を広げる -17日目〜19日目-

岡部惇貴(3年/MF/武蔵高校)


17日目

起床。朝からサッカーのことを考える。昨日の続き、自分の考えるサッカーについて。レバークーゼンの試合を見ながら、照らし合わせていく。難しい。スペースを基に全て考えるとどうなるのだろう。色々考えていたらすぐ昼食。
今日の日記のネタがなくなりそうなので、午後はショッピングモールに行くことにした。というのは嘘。日記のために生活するなんて、そんな人間にはなりたくない。いずれ内容が薄い日が来ても許して欲しい。セルジのあの悲しそうな表情を見たら早く行かなくてはと思った。これが本当の理由である(ユースの練習がないと聞いたのもある)。これからショッピングモール行くよ!そう伝えたときのセルジの表情は忘れられない。いや嘘、全然忘れた。ただ嬉しそうなのは確かであった。懇切丁寧に行き方を教えてもらった。もうひとつあるよ!と言って、ふたつ目の行き方も教えてもらった。こっちはちょっと歩くけど、乗り換えがなくて楽だよと言ってくれた。このような提示のされ方をした場合、ふたつ目を選ぶことが多いのではないだろうか。わざわざふたつ目を思い出したかのように伝えてくれて、いやひとつ目で行くよ、それは言えないかもな。幸い歩くのが好きな私はふたつ目の方が本当に良かったので、快くふたつ目を受け入れた。その行き方はサグラダファミリアまで歩き、そこから電車に乗るという方法。夜に行った日と同じ道を逆走、いや逆歩?しながら向かう。突然だが、この日記はfeelings担当係である星に毎日送っている。昨日の日記で星と旅行に行きたいが、彼女と忙しいから行けないと書いた。すると、どうやら星はシェア可能らしい。なぜかシェアをさせて頂いているみたいなことを言われた。どういう立場なんでしょうか。お言葉に甘えて旅行に行きたいと思う。こんな会話を星としていたら到着。ショッピングモールグロリエス。着くと地上にある店は二階建てで、日本との違いが見て取れた。敷地自体は大きくはなく、縦に広い感じだった。マック、バーキン、UNIQLOなど見慣れた店もあった。UNIQLOなんて池袋にあるのとなんら変わりなく、入る気も起きなかった。映画館で鬼滅の刃のスペイン語版の宣伝を見かけて写真を撮ろうと思ったが、携帯を出している間に次の宣伝に画面が切り替わってしまった。文具店に入る。めっちゃ長くて太い定規があった。何に使うんだろう。いくつか服屋にも入った。スペインのGUみたいな店は治安がやばかった。商品が落ちているわ、ぐちゃぐちゃにされたまま、重ねられて放置されていた。まあその店だけだったのでスペインというよりかはその店がやばいのだろう。IKEAにも入った。端にあり、入り口も小さかったので、逆に何が売っているのだろうと気になった。奥に続く続く。スペースが限られている分、有効活用しようとして迷路みたいになっていた。迷った挙げ句、逆歩して入り口から退散。そういえば今日はゴリゴリの月曜日、人も少ない訳である。日本ですら店員しかいない店は入りにくいのに、スペインではもっと入りにくい。ただそんなことは気にしない。どうせ喋れないのだから。いざ入店。日本にはいらっしゃいませ〜と呼びかける文化があるが、スペインにはそれに対応する言葉はないのだろう。強いていうならHola!であろう。スーパーのレジなどでは言われるが、ショッピングモール入店しただけのアジア人には声をかけてこない。素通りである。これは入ったもん勝ちだ。服屋で地獄楽のパーカー、妖怪がたくさんプリントされているシャツ、東京駅から京都駅までの道のりがプリントされたシャツなど、なぜか日本推しの服屋を見つけた。人気なのだろうか?各階に駄菓子屋がある。これで家族連れを呼んでいるのだろう。OYSHOという店があった。本当においしょと読むらしい。どういう意味なんだろう。最後にめっちゃでかいスーパーがあった。入り口付近に寿司。やはり高い。フルーツ売り場で苺を見ると安い。苺が食べたくなった。ハム売り場に行くと、でかいハムの元がたくさんぶら下げられていた。豚の足がリアルに残されていた。結構衝撃的である。匂いも強い。チーズと同じだ。匂いはキツいが、食べると美味しい。何も買わないわけにはいかなかったので、1.5Lの水を買った。めちゃくちゃ会計の列に並んでいた。平日の昼も暇なもんだなスペイン人。日本はつらいよ。想定よりも早めに終わった。練習場に向かう。道中で再び本を読む。『競争闘争理論』という本である。この本で述べられている日本の問題は本当に共感すべきところである。日本で読んでいる人は実感として掴めないのだろうなと思うと優越感を感じる。筆者の述べるところとは違う文脈ではあるが、深く共感する。疑問に思っていたことが腑に落ちる感覚があった。スペインに2週間ちょい来ただけの青二才に共感できるもんじゃねえと筆者も皆さんも思っているかもしれないが、許して欲しい。いつもと異なる駅からスタジアムに向かう。Googleマップで道のりを検索すると、目についたのは職業安定所。ハローワーク的なものだろうか。聞いたことがない言葉すぎて気になった。検索すると、日本でも公共職業安定所というらしい。ハローワークは公募されて名付けられた愛称だそうだ。平成生まれは知らないだろう。そしてもうひとつ目についたのが、ハイパーマーケット。スーパーマーケットの上があるのか。業務スーパーならぬ業務ハイパーができるのか。何が違うのだろう。ハイパーマーケットは、郊外にある大規模スーパー(倉庫型の店舗となっていることが多い)。
1. 大きな駐車場を備えており、売り場面積が2,500㎡以上
2. 食品を中心に衣料、雑貨など幅広い商品を取り扱う
3. 消費者自身が商品をショッピングカートに集め、出口となっているレジで会計する「セルフサービス」方式
というのが特徴らしい。日本では総合スーパーというもの(イオンなど)が存在するため、定着しなかったらしい。コストコくらいである。これは日記なのか?こんなことを調べたりしていたらスタジアムに17:00到着。この時間はまだ暖かい。日が落ちてから一気に気温が下がる。一つのことにハマるとずっとそれをやってしまう性格なので、先ほど感動した本を読みながら練習を見るという荒技をしながら、練習までの時間を過ごしていた。いざ練習。今日、マルティンはジェラールに練習を任せて、サブの選手たちと少し話をするそうだ。まあ練習中にほんの少し話すだけである。マネジメントに気を遣っている証拠である。マネジメントも勉強したい。今日も練習後ジェラールに駅まで送ってもらう。途中までマルティンも一緒だったので質問をした。Why are you so close?なんでそんなに仲良いん?彼らは話していて常に楽しそうで、信頼を感じる。コーチングスタッフは仲が良い方が良いだろう。この前これ書いたっけ?まあいいや、とりあえず返答。全体にコーチングの声が届くように、違う視点から観察できるように、違うところにいるんだ。だそうだ。????どういうこと?なるほど、発音が下手すぎて聞き間違えられたんだ。Why are you cross?みたいな感じで、なぜ練習中は反対側にいるの?と取られたのだろう。確かに彼らは同じところに立っていない。数人のコーチが話しながら同じ場所で練習を見ることがある。思い出してみると、確かに彼らはほとんどそのような姿は見せない。本当に信頼しあっているから為せる技でもあるだろう。拙い英語力のおかげでまさかの良い話を聞けた。スピーキングをやってこなかった自分に感謝である。そういえばもうひとつ説明不足で起きた事件があった。ジェラールは自分が練習を作る日はトレーニングを紙に書いて持って来てくれる。私のためにやってくれているのだろうか。それは分からないが、練習前に説明してくれるのがありがたい。ただ毎回その紙の写真を撮らせて欲しいというのを忘れて悔しい思いをしていた。今日は練習前のmtg時に、終わった後その紙の写真を撮らせて欲しいと頼めた。練習後、マルティンに写真を促されたので、紙を見せてくれるというと、ジェラールはえ?みたいな顔をして来た。ジェラールは自分と写真を撮ろうとしていると思っていたらしい。ジェラールの顔は見て分かるくらい赤くなっていたし、マルティンにバカ笑われていた。ごめんね。今日はホセルイス(ヨーダガムおじさん)とは別々に帰宅。夕食はピザ1枚。1枚は中々頑張る。明日はめちゃくちゃお土産を買う予定だ。少し本を読んで就寝。


18日目

起床。今日はお土産を買いまくる日。白石さんと店を巡る。最初に向かったのがショッピングモールディアゴナル。昨日のショッピングモールよりは大きい。1人で見るよりもやっぱ人といた方が楽しい。1人の時間は絶対必要なんですけどね。再び服屋を見て周る。もちろんZARAにも寄った。買っても良いかなと思うものもあるが、スペインで買うものでもない気がして買わなかった。良い意味で生春巻きみたいな生地の服もあった。良い意味で。途中で苺が売っていたので、白石さんに苺安くない?という話をしたら、苺のケーキが家で出て来た話をされた。羨ましすぎるんですけど。チーズケーキも以前に出て来たらしい。マジで甘いもの羨ましい。それでもアンヘレスは最高である。最高である。エスカレーターを上がると、ハーゲンダッツの店があった。無性に食べたくなった。意外なことに白石さんも乗り気だったので、思い切って購入。値段は確かにとんでもなかったが、味もとんでもなく美味しかった。あれより美味いアイスに会うことは到底ないだろう。頼んだのはクッキー&クリームとストロベリーチーズケーキ。ストロベリーは必須であった。このショッピングモールにもデカスーパーが存在した。ショッピングモールあるあるっぽい。お土産がむずいという話で盛り上がりながら、色々探した。結局何も購入することなく出ようとしたその時。ピーーーという大きな音が鳴る。どうやら出てはいけないところから出てしまったみたいだ。レジとレジの間にある、ここから出てくださいみたいなスペースに騙された。レジに並ぶ客が全員見ていた。試合中に途中退席をさせられるくらい気まずい。気を取り直して日本食屋に向かう。スペインで日本食にハマるという状態に陥ってしまった。昼はうどんがあったりするという情報を得ていたので、期待は膨らむばかりであった。電車で白石さんが隣で寝ている。隣が知り合いだからできる技である。2日後白石さんがいなくなった時、外で決して寝られない生活が始まる。日本ってすごい。日本食屋、まめ虎に到着。店主のミゲルが迎えてくれたところまでは良かったが、一向にメニューを出してくれない。まだ他のテーブルの準備を続けている。完全に忘れられたような放置状態である。もちろん開店時間は過ぎている。さすがである。勝手にメニューを取ってきて見ていると、何かスペイン語で言ってきた。よく聞いていくと、そこにあるメニューは無いよということらしい。先言っといてくれや。めっちゃ楽しく選んでいたわ。ランチメニューはまさかの口頭での説明だった。日によって変わるならしゃーないか。どうやらうどんはないらしい。問題は2人とも全くスペイン語がわからないことであった。これはまずい。しかしさすがは日本食、料理名だけは分かるのである。万事OKかと思いきや、次は新たな説明が始まった。後でわかったのだが、コース料理的な感じらしい。お金がなくメインだけで済ませたい日本人vsセットだと説明したいミゲル、が開戦した。激闘の結果。我々はセットだということを理解した。ミゲルの粘り勝ちである。頼む個数のところで一悶着あったが、何とか頼み終わった。最初に来たのは味噌汁。感動した。本当に美味しい。好みの味付けだった。具もわかめで、1番好きな具であった。ミゲルやるやん。次に来たのが唐揚げ。これも美味しかった。野菜も横に添えられていた。そういえばスペインに来て野菜を食べるのはこの店だけである。なおき君の送別会で食べた時しか野菜を食べた記憶がない。やはり野菜がなくても生きていけるようだ。次は魚の上に紫の玉ねぎが乗っかり、ピリ辛のソースがかかった料理。セビーチェというらしい。日本食屋かと思っていたので、創作されてしまったかと失望しかけたが、どうやらペルー料理らしい。口コミを見ると、確かに日本食とペルー料理を提供しているようだ。言われてみるとペルーみたいな味がした。次はメインかとドキドキしていると、頼んだ覚えがない天ぷらが出てきた。恐る恐る食べてみるとネギの天ぷらであった。かかっていたのはソース、天つゆの美味しさを教えてあげたい。いよいよメイン。私は豚丼を頼んだ。出てきたのはおしゃれタイプの豚丼。かわいいサイズである。これもまた味は最高。この店にはアヤコさんという日本人の方が働いているらしく、今は日本に帰っているらしい。おそらくアヤコさんに習ったのだろうが、この味を出せるミゲルは天才なのではと思った。というのま他の日本食店は全然日本食の味がしないらしい。そもそも店員が中国人の時点でおかしいのではあるが。帰るまでに1度挑戦してみたい。白石さんはカツカレーを食べていた。カレーの匂いも懐かしい。ふと思って白石さんと話していたのだが、定食は日本だけの文化なんだろうか。コース料理的な提供のされ方だったので、気になった。どうやら定食のはじまりは、江戸時代。参勤交代をする武士のために定食屋が生まれたそう。そのときの食事は、ご飯、汁物、主菜、漬物をセットにしたもの。現在と同じような構成だったそうだ。そして実は定食は「一定+食事献立」の略らしい。驚き。まあ確かに定食だけだと意味わからんか。結局定食は日本だけの文化らしい。作ったやつナイス。以上、明日には忘れる豆知識であった。メインを食べ終わると、私たちはミゲルに会計を頼もうとした。するとミゲルはデザートがあると言ってきた。先日夕食に来た時はデザートでしっかりお金を取られたので、NOと言った。ミゲル大困惑。ずっと何かを伝えようと喋っていた。繰り返す言う言葉だけをGoogle翻訳にかけてみると、含まれているという単語だった。なるほど、確かにコース料理の出し方をしていた。危うくデザートを逃すところだった。チョコレートケーキを美味しくいただき、今度こそ会計。スペインあるあるなのだが、値段がわからない。ドキドキの支払い。まあそんなもんやな。2400円くらい。日本食ならその価値はある。次はスペインの有名な百貨店、エルコンテイングレスに向かう。道中で白石さんの高校時代の話を聞く。強豪校のAチームに在籍していたらしい。とんでもない理不尽話を聞いた。話のレベルがおかしくて笑うしかなかった。今はそこまで理不尽な環境ではないらしい。百貨店に到着。中に入って最初の感想は暑い。地下に行くと巨大なスーパー。お土産をいくつか購入。オリーブ、なんとかティーなど。そのままブラブラしているとお土産に有名なチョコレート屋があった。試食をさせてくれる店で、私は買わないつもりだったので気まずかった。白石さん買ってくれ!その想いが通じたのか、彼はまんまと購入。まあ多分スペインには気まずいという感覚は無さそうだから気にしすぎだ。次は高級スーパーへ。色々見て回っていると、白石さんがパスタを見て声を上げた。何事かと思ったら、社会人時代、このパスタを日本に持ってくるのに大変苦労したそうだ。すごい話だ。フットサルの試合も休むほど働かされていたらしい、少し恨みが垣間見えた。次に向かったのはお土産であるあるらしいスーパーのメルカドーナ。ここでは沢山買いたいものがあったが、どこに何があるかわからない。店員に聞こうと思ったが、暇そうにしている店員がいない。というかレジ以外に店員がいない。仕方ないのでお掃除ロボットに乗っている店員に話しかけて、これどこにある?と聞くと、少し驚いた顔をしながら、伝えてくれた。もちろん1ミリも分からなかったが、イスキエルダ(左)という単語は聞こえた。サッカーで勉強したことが役に立った。あとはジェスチャーで何となくわかった。ちょうど読んでいる本にジェスチャーの重要性みたいなものが書かれていた。確かに言葉より雄弁かもしれない。結局辿って行った先に目当てのトリュフサルサは見つかった。ついでに同じところにあったパエリアの素も見つかった。驚いたことにこのスーパーではクロワッサンが0.4ユーロで売られていた。今度絶対買おう。最後に向かったのがオリーブオイルの店。スペインはオリーブオイルが有名なので、お土産にと考えていた。お洒落な店で一瞬入りにくさを感じたが、謎の日本人率の高さも相まって、すんなり入店。中から日本語が聞こえてくるほどの日本人率であった。その店ではオリーブオイルだけでなく、チョコレート、石鹸、リップクリームなども売っていた。種類があり過ぎて選ぶのに時間がかかった。いっそのこと全部買ってしまおう。そう思えたので、悩む時間は終わった。意外なことに白石さんはもっと悩んでいた。先に会計の列に並ぶ。2つ前の爆買い中国人と1つ前に並んでいた卒業旅行と思われる大学生2人組がパスポートを見せて、何やら手続きをしていた。困った、パスポートを家に置いてきた。ドキドキしながらレジに向かうと、何もなく商品を手渡され終了。本当に爆買いした人たちが税金のなんかでパスポートを見せていただけなようだ。心配の9割は起こらないらしい。堂々と生きよう。帰るついでに家の近くにあるメルカドーナにも寄った。先ほどのメルカドーナに売っていなかったものを探すためである。例えばパエリアの素。さっき買ったのとまた異なる種類のものを探していた。それはまさかの液体。しかも1L入っており重かった。お土産を買い過ぎて荷物の重量オーバーになるのではないかという心配がよぎった。一旦買うのをやめて整理しよう。そう決めて出ようとした。すると目の前に現れたのは生搾りオレンジジュースの機械があった。こんなもの別に日本にだってある。ただ心がくすぐられる。心が1度くすぐられたらもうやることは決まっている。私という人間を知っている人たちはよくわかるだろう。しっかりと購入。ボタンを押している間だけジュースが出る仕組みだったので、指定の容器ギリギリまで入れた。ギリギリまで入れ過ぎて、蓋周りがベタついた。味はこれまた最高。日本で飲んだやつより美味しい。それを片手に一旦帰宅。荷物を確認してみるととても重い。終わった。帰れない。まあ何とかなるでしょ。行きも本当は手荷物の重さがオーバーしていたが、日本ですら良いですよって言われたし。スペインがダメっていうわけないわ。これからコルネジャのスタジアムやチャロックに行く元気はなかったので、家から1番近いエウロパというチームを見に行った。グラウンドに着くと見えた光景はカオス。1つのグラウンドに17チームが練習している。基本全部小学生だが、人数が集まると迫力が違う。スペースも人数も同じようなので、それぞれ皆似たような練習をしていた。次は女子チームや中学生。見ていると興味深い練習が多い。面白そうな練習メニューはメモをするようにしているが、今までの中でその数がダントツで1番だった。その後に行われた違う中学生の練習も沢山メモをした。また来週も来よう。気づいたら23時である。帰宅時間を22:30とホストマザーに送ったのに、23:00になっても練習が終わりそうにない。23:00になりそうという連絡はしたが、さすがにもっと遅れる訳にはいかないと思い、練習を途中で後にした。来週は最後まで見よう。5分で帰宅し、夕食を取る。時間はもう0時である。エウロパのスタジアムで斜め前のお爺さんがソシエダ対マジョルカを観ていた。スペインカップ準決勝である。結果が気になり見てみると、何とまだやっている。もう0時を回っているのに。どうやって帰るのだろう。昨日の日記も書かなくては。スペインで何かに追われているのは自分だけではないだろうか。そう感じるほど、奴らはゆったり生きすぎている。日記を書いていたら寝落ち。


19日目

起床。本を読む。実は対してこの本は分厚いわけではない。本を読むのが早い人って得だよな。つくづく思う。中学生の頃だろうか、速読教室(5日間くらいの講座)に行ったことがある。はっきり言って全く役に立たなかった。何より面白くない。苦痛でしょうがなかった。そもそもあんな飛ばし読みみたいな読み方で文意を理解できるのだろうか?私という人間は何かをしているとすぐに違うことを考えてしまう。また、分からないことはとりあえず飛ばすということができない。だから本を読んでいる時は以下のような思考をする。「なるほど、そういうことか、ではこれはどうなんだ?」「そうか、じゃああの時のこれはこういうことか?」「は?どういうこと?」というのがよくある3パターンである。最初の2つはもう本とは関係なことを考え始める。最後はシンプルに理解力が不足しているので、小難しい本を読むと頻発する。普通にこの理解力不足はどうにかしたい。でも感覚でわかった気になるよりは、少し考えた方がいいのかもな。また脱線した。とまあこんな具合で、これらが入れ替わり立ち替わり起こるので、中々進まないのである。こんな人間が速読なんて向いているわけない。難しい本を速読なんてできるわけないだろ。早く読むことより、理解することの方がよっぽど価値が高い。と信じている。まあこれほど遅いのはゲームしながら、本の内容をメモしながらやっているっていうのが本当のところなんですけどね。昼食。毎日スペイン唐揚げを食べている気がする。セルジがチャンピオンズリーグのチケットの話をしてくれた。1番安くて80000円とか言っている。エグすぎやろ。これはさすがに見られないかな。今日はすぐに練習には行かなかった。残りの本を読み終えた。この本の筆者はどのような人生を辿って来たのか。そんなことを調べているうちに何故か将来のことについて考えていた。直近で言えば選手を辞める辞めない、就職活動をするしないなどということである。就職活動をしないことももちろん不可能ではない。だがそれなりの準備を要する。ただ将来やりたいことはなんとなく定まった。後はそこから逆算していくだけだ。ただ最短距離で向かう気はない。最短距離で向かうなら間違いなく今すぐ選手を辞めるべきである。ただ人生に厚み欲しいよね。先日も書いたが様々な経験をしていきたい。だからこそ難しい。この前の日曜日だろうか、砂川さんの人生的なものを聞いた。めちゃくちゃ楽しそうだった。今までもこれからもサッカーに関わって生きていく、サッカー人として最高の人生である。人生最高ですね!みたいなこと言ったら、そうだね、でも捨てているものも沢山あるよ。そう言っていた。29歳でスペインでニートしているってやばいっしょ。そう自分で言っていた。確かに。そういえば社会人チームに入ったらしい武蔵サッカー部の同期のチームを発見した。なんか事業みたいなこともやっていた。彼がそんなことやるなんて信じられない。担がれているだけなのかもしれない。でも意外とアホそうだけど考えてそうなやつなので、きっとそんなことはないんだろう。同期に刺激を受けたが、部屋で1人で考えているだけでは答えが出るわけないので、練習に行く。メルカドーナの0.4ユーロクロワッサンを食べようと買いに行く。家から少し離れているので、歩いて行こうとするも、練習場の近くで買った方がいいことに気づき、方向を変える。結局隣の駅から電車に乗ることにした。その間にもいくつもカフェがあり、何度も誘惑に負けそうになった。もちろん日本男児なので耐えた。駅に到着。地下鉄なので、階段を降らないといけない。すると突然叫び声が聞こえた。周りを見渡しても誰が声を出しているのか分からない。気にせず階段に向かうと、声の主はその階段にいた。それは地上から見えないわけだ。タバコを吸いながら喚き散らすオレンジ髪の女性。もちろん1人である。水ダウでいうところのヤバめ素人というやつである。気づいて引き返すのもおかしい。階段にはすでに足を踏み出している。やばいこっちに向かってくる。心臓をバクバクさせながら、横をすり抜ける。耐えた。昨日も述べたが、心配の9割は起こらない。今回も9割の方であった。考えてみると、スペインに来て3週間弱。ヤバいやつは沢山見て来た。だが、日本と違い大抵のスペインヤバいやつは1人で完結している。日本の方がヤバいやつは少ないかもしれないが、他人に迷惑をかけることは多いかもしれない。つまり、日本の方が質が高い。さすがクオリティの日本である。どんな部門でも質は負けないんだろう。何の話だこれ。たださすが数はスペインである。電車に乗り、椅子に座っていた。とある駅で1人の男の子が乗って来た。乗るや否や、私の目の前に来て威嚇。文字通りの威嚇である。どんなもんかわからない人は松本人志 威嚇でYouTubeで検索して欲しい。もちろん彼の母は何も言わない。威嚇を受け、攻撃が下がっていた私に間髪を容れず、彼は次の攻撃を繰り出して来た。椅子の横にある手すりによじ登り、上から睨みつけてきた。これで防御も下がった私は席を譲らざるを得なかった。こんなやつは地面に立たせておくより、座らせて大人しくさせた方がいい。なんか彼の掌の上で転がされたような気がしてならない。その証拠に、グラシアスも無しに食い気味に座って来た。成功体験を与えたことで、再び繰り返すことになるだろう。譲らない方が良かったのだろうか。人を育てるって難しい。まあ懸命な判断であったということにしておこう、彼はその後席で大人しく本を読んでいた。
目的地に到着、やっとパンが食べられる。大体64円くらいで食べられるでかいクロワッサン。普通にめちゃくちゃ美味しい。ついでに甘いパンも買った。2つ食べて約128円。メルカドーナ最高。練習場に着くとまさかの誰も練習していない。コルネジャの別のチームが練習していると思ったんだけどな。日記を書く時間ができたのでよしとする。最近、思考まで書いているので時間がかかる。さっき文字数を見たら36400文字だった。書きすぎだろ。超大作やんけ。中学生チームが練習を始めた。もう技術がしっかりしているから、試合への準備的なものが中心となっているようである。と思えば2vs1のような基本的なメニューもしていたりする。帯同チームの練習開始。今日はアップの強度が高く、めちゃめちゃ走らされていた。その後は人数が少ないため、限られた人数でずっと崩しの練習をしていた。パターンも挟みながら、色々な想定をしていた。人数少なかったからこの練習をしたらしい。相手がどんな形かわからないけど、選手の対応できる状況を増やすイメージ。だけど、相手が予想した形で来るかわからないことは伝えた。ということだった。グラウンド全体が使えたり、22人いればゲーム形式もしたいし、リアリティが欲しいということだった。良いこと聞けたわ。ただ英語がパッと出てこない。聞きたいこともあるんだけどな。また後で文章で聞こう。今日はホセルイスと途中まで帰宅。意外にもスペインの電車に全く詳しくなさそう。乗り換えで路線図をじっくり見ていた。Googleマップ使えばいいのに。ホセルイスとはここでお別れ。1人になり、椅子に座って電車を待っているととんでもなく疲れていることに気づいた。まるで部活後のような疲労感。今日はほぼ外に出ていないのに。積み重なった系疲労であろう。そりゃあ毎日6時間も寒い中グラウンドにいたらそうなるか。今日は早く寝よう。早く寝ても起きちゃうから意味ないのか。そういえば最近また起きちゃうな。楽しく生活しているはずなのに身体はそうではないらしい。サッカー面だけで言えば本当にこの上ないんだけどな。帰宅。いつも通り遅い夕食。いつもと違ったのはセルジが起きていたことだ。待ってくれていたのだろうか?CLのチケットの話をしてくれた。1番安いのが24000円、次が40000円。眺めは全然違うね。みたいな感じだった。普通に感謝しかない。決めた。40000払って、飛行機の日程も変更して観る。さすがにCLは観たい。興奮冷めやらぬ中部屋に戻り、日記を書く。昨日のも滞納しているので、寝られない。早く寝ようと思ったのに。今日の分を書きながら寝落ち。

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