サッカーの地平線を広げる -23日目〜26日目-
岡部惇貴(3年/MF/武蔵高校)
23日目
起床。バイト。この流れは久々だ。ただ一瞬で終わる。昨日の日記を書く。最近書くことが多すぎて、全然書き終わらない。充実していると思おう。シャワーを浴びて、爪を切る。髭と違って爪は伸ばすわけにはいかない。そういや最近髭伸びないな。今日も勉強。ポジショナルプレーとは?監督のタイプなど。そのあと気づいたら人気曲をオルゴールの音で聴くコンテンツに見入っていた。気づいたら試合に行く時間だった。乗り換えがありえない速度で行われるGoogleマップのことだから、これは遅れるのだろう。さすが自分だ。もう誇って生きていくべきだろうか。今日の最初の観戦試合は初めていく場所だった。電車の乗り換えで死ぬほど長いエスカレーターに乗った。ずっと妙な匂いがすると思っていたら、前にいたカップルが2人でタバコを吸っていた。気づいたのはエスカレーターが終わる直前。日本のタバコと匂いが少し違ったので気づかなかった。自動受動喫煙再びである。その先にある電車は途中で2つの路線に分かれる電車だった。ホームに停車している電車はどちらに向かうのだろうか、ホームには何も書いていない。不親切すぎるでしょ。とりあえず乗車中を観察していると、違う方向に行く電車であった。半端ないって。観光客泣かせすぎるて。とりま乗ってみる性格なので、この表示を見つけられなかったら小遅刻が大遅刻になるところであった。下車して次の電車を待つ。到着した駅はすごい近未来的なかっこいい駅だった。複数のエレベーターがホール状の場所に会し、薄暗い灯りで照らされていた。どれに乗ればいいのかやシンプルに使い方がわからないので、写真を撮っているふりをして人を待った。救世主は青年。写真を確認して満足したフリをしてついていく(写真は本当に撮りました)。彼が乗って行き先ボタンを押しても何も起こらない。携帯を見ているフリをしながら彼の様子を伺う。彼はさも当然のように携帯を見ている。数秒後ドアが急に閉まる。タイミングを見て待ってくれる仕組みなんだ。日本にはない。これは楽しい。苦労して駅を出ると目の前にスタジアム。狭い入り口を3人のおじさんが塞いでいた。バリ入りにくいやん。え、どうしよ。まあ知らんぷりして入ろう。意を決して突入。待ち構えていたように、ウェイと言われ、チケットを提示された。待ち構えていたようにというか待ち構えていたのである。育成年代なのにも関わらず、チケット代を取るようだった。値段は1ユーロ、160円くらいである。高っ!って言ってやろうかと思ったけど、あぁウノ(スペイン語で1という意味)と言ってなんの見せ場も作れず払ってしまった。試合はリーグ首位のチームがずっと優位に進めていた。そのチームのFWがアズムンに似ていたこと以外あまり覚えていない。ハーフタイムに皓大から電話が来た。相当暇なようだ。まあ話すのはどうせア式のことと少々のプライベートな会話。ア式では練習終了後の集合の際、選手の誰かが練習についてなど話したりする。育成チームではその日、愛すべき留年生橋本大輝が発言していた。彼の発言は「いい練習だったと思うので、よかったと思います。来週から頑張っていきましょう」。これは留年する理由も分かる気がする。2024年にもなって小泉進次郎構文を使うなんて大したやつだ。愛すべきである。そしてビックニュースも聞いた。旭が合コンに行ったらしいのである。合コンに行く決心を固めてから1度諦めたかと思っていたのに。帰国が楽しみである。もうこれ以上内輪ネタを書いてもしょうがないのでやめます。実はこの日は朝に雨が降っていて、気温が上がっていなかった。さすがに寒すぎて日が当たる席に移動した。しかし日本は最低気温が1℃と聞いたので、なぜか嬉しくなって体感温度が上がった。帰国までには春になっていて欲しい。急いで次の試合に向かう。スタジアムの最寄り駅に到着。そこでついに初目撃したのである。それは無賃乗車。スペインではあるあるらしい。出口がセンサーなどなく、手で押して出るタイプの駅であった。正面から歩いてきてそのまま通過して行った。スペインを体験できた。スタジアムに着くと試合はすでに始まっていた。席につくと後ろからToshiki!という声が聞こえた。驚いて振り返るとそこには帯同チームの選手が数人。何もありえない話ではない、この試合は私たちが所属するリーグの首位チームの試合だからだ。気付いてくれて呼んでくれたのが嬉しかった。ていうかサッカー好きすぎやろ。ガチでサッカーしか娯楽ないんか。試合は首位チームが相手をボコボコにする展開。キャプテンが高校時代のキャプテンに似ている。センターバックでヒョロ長くて、キックが飛ぶ。そんなことはどうでもいい。彼らは中学生にも関わらず、ブロックがコンパクトで、そこからのカウンターが鋭かった。抜け出しが抜群のFWがいて、戦術がチームにマッチしていた。チームのみんなはハーフタイムで大半が帰った、残った2人も後半途中に帰った。彼らは試合を観て何を思ったのだろうか。どのくらいの解像度で見ているのか気になった。試合後すぐにコルネジャのスタジアムへ向かう。昼ごはんにマックを食べようと思っていたのだが、時間を勘違いして、既に次の試合が始まるくらいであった。泣く泣くマックを諦め、途中でクロワッサンをひとつだけ買った。観に行くのはコルネジャの育成年代のトップチーム。今シーズンこのチームは調子が上がらず、引き分けを繰り返し、順位も下位に沈んでいる。そろそろ監督の立場も怪しくなってきているらしい。こちらに来てから複数試合、このチームを見ているがまだ引き分けしか見ていない。そんな中、今日は試合は0-1で最終盤を迎えていた。このチームが大好きになってしまったのであろう。終了間際、私は帰ることにした。このチームが負ける姿を見たくなかった。席を立った時、帯同チームの選手たちと目が合った。彼らに手を振りながら帰宅。そうか彼らは昼飯を食べてこの試合が見られるように早く帰ったのか。賢い。悔しすぎるのと次に観に行こうと思っていた試合が治安がよろしくない地域で行われることを考慮し、マックでやけ食いをすることにした。マックで公式アプリを開くと、前回ご利用店舗の欄に池袋北口店と出てきた。距離は10441.7km。改めてとんでもない場所にいるなと思った。ダブルチーズバーガーのセットを頼む。いつの日か電車でマックのアップルパイを食べている人を見てから食べたくなっていたので、購入。やけ食いだしいいだろ。日本と違ってダブルチーズバーガーには玉ねぎが形を保ったまま入っていた。マジか。あまり好きではないので、抜いておけば良かったと後悔。我慢して食べた。バンズのサイズとパティのサイズが合っていなかった。パティが飛び出しまくっている。間違いなのか?アップルパイは安定の美味しさ。開発したやつ天才。結局ここで2時間くらいサッカーの本を読んだ。この時にも信じられないくらいの快感を抱いたのだが、これは違う時に話そう。目指すは日常系ほのぼのfeelingsである。でもまあまさか2日連続で昇天しかけるとは思わなかった。とりあえず帰宅。10時くらいに日本からLINE、その人はスキーに行くために早起きしたらしい。そういえば今シーズン春休みをスペインで過ごしているせいでウィンタースポーツをしていない。テスト週間に困らされた雪、年末の九州旅行でダイキと荒と投げ合った雪だけである。スキーしてえと思いながら、夕飯。セルジがバルセロナの試合を観ている横でピザを食べる。セルジが連れてきた犬にめっちゃ吠えられて嫌われているっぽいけど、気にしない。いやちょっと悲しい。いや何もしてないよ?だからか。これ前も言った気がする。でもバディとは今仲良くやっております。部屋に戻ってから何をしていたのか忘れた。この日記は翌日の夜に書いている。メモをしていない限り覚えていない。忠実にいきたかったんだけどな。唯一覚えているのはなぜか手相を見ていたことだ。何かで目についてから自分の手相が気になってしょうがなかった。やはりひとつのことが気になると、止められない性格である。左手が先天的なやつで、右手が後天的なやつらしい。右手にますかけ線があった。非常に縁起の良い大吉相のマスカケ相の人は、天才的なアイディアを生み出したり、得意のコミュニケーション能力で多くの人を魅了し、人の上に立って強いリーダーシップを発揮する才能もあるらしい。1ミリも感じたことない。右手にあると以下のようらしい。右手は「太陽の手」とも呼ばれ、自分のそれまでの行いや努力が反映されるといわれています。 したがって、右手のますかけ線は行動や努力次第で強運を得られる可能性があることを示唆しています。 また、右手のますかけ線を持つ人には変わり者が多いとされ、味方だけでなく敵も作りやすいです。まあ君は何者でもないので、頑張ってくださいくらいに捉えておこう。右手にあるせいでカッコよさが全てなくなった。敵ができるのかー。しゃーない。全員に好かれるわけないしな。なんかの占い1回だけ行ってみたい。こんなことを思いながら、就寝。帯同はラスト1週間である。いっぱい質問しよ。
24日目
起床。日記を書く。これが次なるルーティンになりそうである。皓大と電話をしながらマンチェスターダービーを見る。シティうますぎて無理。飲みの予定とか立てていたらあっという間に昼。ついに来たか、日記が短くなる日が。そんな日があってもいいだろう。昼食。今日は量が多かった。最初に出てきたパスタ、皿がいっぱいに盛られていた。それを食べ終わると、もっと食べる?と聞かれた。もっと欲しいと言うと、皿いっぱいになって帰ってきた。作りすぎやん、さすがに。その上、目玉焼き、ポテト、魚など他にもどんどん出てきた。今日は豪勢だ。お腹いっぱいで部屋に戻る。本の続きを読みながら、母にお土産について相談すると、そこから怒涛のLINE。とても心配性なのである。なぜあの母からこの子が?というほどの違いである。
今日も練習に向かう。電車に乗ると再び水槽の匂い。今回は微かに香る程度である。しかし今度は隣の席はお姉様。そんなわけない。まさか自分かと思ったが、ここだけで感じるなら違うであろう。お姉様大丈夫そ?今日もメルカドーナでクロワッサンを購入。水も買う。レジに並んでいる際、ベビーカーに乗った赤ちゃんと目が合った。ニコッと笑いかけると、目がガン開きのまま見つめ返してきた。なぜか恐怖を感じた。あれは大物になるわ。目キマってたもん。メルカドーナからスタジアムに向かう途中、綺麗な夕日が見えた。その瞬間、帰りたくないな。その言葉が頭に浮かんできた。いやそんなはずない。正直言うと帰りたい気持ちの方が強い。もうだいぶ勉強した。帰って友達と遊びたい。日本の食べ物を食べたい。思いっきり笑い合いたい。そんなことを最近思っていた。バルセロナに生活しながら、これが達成できれば、ずっとこっちにいてもいいのだが、無理がある。サッカーは本当に最高なんですけどね。勉強はこっちでしたい。ただ私は友人の方が大事だし、1人では生きてはいけない。それほど強い人間ではない。なのになぜ、帰りたくないと思ったか?それは単純にあのチームが好きだからである。帯同チームの雰囲気は最高。いい奴しかいないし。マルティンとジェラールにもっと学びたい。まあ後スペインの景色が綺麗ってのもあるかな。その夕日はとんでもなく綺麗だった。立ち止まってしまうほどに。まあでもスペイン語ができるようになってこっちで友人が作れたら来てもいいかな。こんなことを思いながら、練習を見学する。するとアジア人が指導をしている。あのサラサラ長髪金髪イケメンがいるチームである。覚えているだろうか?あのチームの第2監督は確かにアジア人だった。彼がトレーニング1とトレーニング2を担当していた。仲間意識なのだろうか、なぜか嬉しかった。マルティン達に合流。ジェラールに最後の週よな?、帰るなよと言われた。私が来てからチームは全勝。もし次勝ったら負けるまでいてくれということだった。マルティンも頷く。嬉しいけど無理や。その後、彼らは1人の選手を呼んで面談のようなことをしはじめた。出て行った方がいいかと思って、外で待っていた。その選手はサブの選手で、チーム内では確かに難しい立場に置かれていた。こういう対話って日本ではあまり見ないな、人数の問題もあるだろうが。1人の人間と対話することがいかに重要かを考えさせられた。これもマネジメントだ。月曜日の練習前はミーティングから始まる。マルティンが長めに話すのだが、大体何言っているかわからない。次の試合に向けて話していることくらいは分かる。次はホセルイスが話し始めた。2人とも話終わって練習かと思ったら、ファルという選手がトシキはいいのか?と言った。マルティンはそれを聞き逃さなかった。英語でいいからなんかあるか?と言われた。話もほぼ分かってないし、準備もしているわけないので、本当に思っていたことを話すしかなかった。私は君たちがとても好きだ。ここでみんな嬉しそうな顔をしてくれた。一昨日の試合はとても感動した、少し泣いてしまったよ。マルティンが訳してくれた。みんな笑っていた。そんなかよ!みたいなことも言っていた(気がする)。だから、今週の試合ではもっと泣かせて欲しい。そう伝えた。すると拍手喝采。実際にはそんなことないだろうが、自分にはそう聞こえた。ロッカールームから出る際、みんなハイタッチしてくれた。耐えたあ。みんないい奴らすぎるよ。気分よく練習見学。ボール拾いの足もいつもより軽い。練習後、マルティンとジェラールも含むチーム全員が輪になってダウンしている様子を思わず写真を撮ってしまった。笑顔あふれる素敵な写真である。いつものようにジェラールに車で送ってもらった。そこで今日のトレーニングについて質問をした。その中で、自分のサッカー論の根源に来るスペース認知について、トレーニングで思わぬヒントをもらった。やはり人との会話は何が得られるかわからないからすべきである。私はサッカーの話になると積極的になれる時がある。それ以外の興味ないことになると、途端に人に興味をなくして、話す気が起きなくなる。なんとかしたいものだ。駅に到着。この駅発の電車に乗る。ホームには誰もいない。ということはこの電車は貸切か?このまま誰も乗ってこなかったら電車の最後尾から先頭までダッシュで駆け抜けたろ。スペインの電車は号車ごとにドアで区切られていない、走り放題なのである。この微かな野望は、目に生気のないおじさんの登場によって打ち砕かれた。静かに席に座り、日記を書き始める。しばらくすると大きな家電を抱えた、美しいとはとても言えない男性が息切れしながら乗ってきた。私の隣に座った彼はしばらく1人で喋っている。ヤバめ素人である。喋りが落ち着くと次はマックのポテトを食べ始めた。なんでスペインの電車ってこんなにマックを食べる人がいるの。いい匂いがお腹を刺激する。まじで腹減った。お腹が空くので見ないようにしていると、気づいたらバーガーまで食べ始めている。羨ましすぎる。仕方ないから気にせず日記を書いていると、彼は私と同じ駅で降りるようである。少し前に家電を抱え、フラフラしながらドアの前へ向かって行った。どうやらその家電は電子レンジのようだ。乗り換えるためにスタスタ彼を横目に進む。両手で抱えて本当に大変そうだった。乗り換え先のホームにつき、椅子で休んでいると彼が階段を降りてきた。持ち方が進化しており、肩に担いでいる。随分と楽になったのか口笛を吹いていた。そんな出会いをしながら、帰宅。夕食は超巨大卵焼きみたいなものだった。お好み焼きソースとかあれば美味しそうだな。流石に何もかけないのは飽きると思ったので、なおき君に前もらったケチャップをかけた。大いに役立った。最近日記が溜まりがちなので、今日の分を書いて寝よう。書き終わって疲れて就寝。思ったより長かったな。
25日目
起床。昨日は日記書いた後もダラダラしていたら寝るのが3時くらいになった。にも関わらず、起きたのは8時半。この時間に起きてしまうのである。1時間くらい再びダラダラ。この時間ってなんなんですかね?そこからサッカーの勉強を始める。最近この時間が楽しくてしょうがない。いわゆるブーストモードである。今日は正対について捉え直す。再び1時間やったところで眠気。抗わずに寝る。眠りが浅いからなのか、ディズニーやUSJにありそうなアトラクションの夢を見た。しいて例を挙げるなら、USJのハリーポッターのやつである。少し落ちる感覚も味わえるタイプのアトラクションだった。面白いことに寝ているのにも関わらず、その感覚を感じた(気がした)。しかも今自分は寝ていると理解している状態である。これはヤバいのではないか。そこで目が覚めると寝てから11分しか経っていなかった。しかし目は醒めたので再び勉強。キックの仕方などを学んだ。スペインのジュニア年代のサッカーについても見た。そんなことをしている内に昼食。サラダと唐揚げ、ファルファッレというらしいパスタ。この黄金のセットである。2日に1回はこれ。サラダをおかわりしたところ、アボカドが入っていた。今まで気がつかなかった。今までアボカドを食べたことないので恐る恐る食べると、恐ろしいほどの無味。ただ食感だけがある感じだった。アボカドってマグロの味がするんじゃないんか。食事中に足元で音がするので下を見ると、昨日めちゃくちゃ吠えてきた犬が尻尾を振りながら椅子に前足を乗せてこちらを見ている。かわいい。昨日の姿はどこへいった?受け入れてくれたのだろうか。残念ながら犬を飼ったことがないので、彼(もしかしたら彼女)が何を求めているかはわからなかった。ずっと目を合わせてニコニコしていた。そんなことがありつつ秒速で食べ終わると、急いで家を出た。というのも本日はとある場所でパーソナルトレーニングが行われるのである。チーム練習でも自主練でもないトレーニング。15:45に終わると言われていたので、急ぐ。到着予定は15:00過ぎ。珍しく予定通りに到着。しかし入り口がわからない。仕方ないのでグラウンドの外で、中が見えるところで我慢。すると目の前で子供たちの体育の授業が始まった。目線はトレーニングを見ているものの、完全に不審者である。何も悪いことはしていない。堂々としていよう。15:45と聞いていたが、終わったのは16:20ほど。まあいっぱい見られたしいいでしょう。さて、することがなくなった。少し横にあった公園のベンチでぼーっとしていた。濃い3週間だったな。後1週間しかないのか。本当に来てよかったな。気づいたら周りは子供たちに囲まれ、サッカーボールが飛び交っていた。世界一平和な空間だったかもしれない。昨日も思ったが、スペインはどこでも景色が美しい。公園の景色もスペイン人にとっては日常なのだろうが、私には感じるものがあった。スペイン人が東京に来ても美しいとは思わないだろうし、心は穏やかにならないだろうな。非日常を感じるにはもってこいだけど。東京ってヤバい街ですわ。ずっと公園にいるわけにもいかないので、バスクチーズケーキを食べに店に向かう。1人で買えるだろうか。久しぶりに武蔵の後輩と連絡をしながら向かう。乃木坂46の布教についての布教をされた。彼はア式に清楚系マネージャーとして入部するかもしれないらしい。本当にやめてほしい。到着。長蛇の列。これは流石に無理である。諦めて散歩に予定を変更。はるき君がまだいた頃に4人で散策した道をまた歩いた。あの時、1ヶ月は途方もなく感じていたのに、気づいたら後1週間である。もうスペインを1人で歩くことをなんとも思っていない。大体店は見たので、次はどうしようか。サッカーの練習を観に行ってもいいが、せっかく街に出てきたんだし。お土産のチョコでも買いに行こう。調べると目的の店へは20分もかからずに着くらしい。よく思い出した。店を見ると誰もいない。入りづら。どうせ有名店だし英語使えるっしょ。よく考えてみると入りづらい要因は入って何も買わないで出て行く時の気まずさだけなので、なんの問題もない。試食があったので食べる。これは美味いぞ。なんだか深みを感じる。いい店なだけある。本当に美味しい。自分も食べたくなってしまった。お土産を早々と決め、自分にも1番安いミルクチョコレートを購入。生憎持ち合わせが無かったので、もう一回来るだろう。試食してホワイトチョコレート買おう。そして今日も練習見学へ向かう。バスに乗る。バルセロナのバスは東京のバスより大きい。1.5倍くらいかな、これを運転する人は本当に尊敬している。曲がる時に道に乗り上げそうになるのにはヒヤヒヤしたけど。あれ練習とか公道でやる時に事故ったりしないんですかね。チョコを食べて刺激されてしまったお腹は11:00まで持たない。スタジアムの近くのスーパーへ。最初に見つけたバナナを買うか、次に見つけたハムを買うか、究極の選択に頭を悩ませた。最初に見つけたものが本当に欲しければ、次に見つけたものを欲しいと思わないだろう。ということは私はハムが食べたいんだな。ということでハムが勝利。ハム単体で買う人は他にいるのだろうか。レジにいる店員さんに渡すと、今まで言われてきた、オラ!が無かった。渋いおじさんだった。無愛想な感じでレシートと共にボソッとグラシアス。スペイン人にもこういうタイプいるんだ。なんか逆にかっこよかった。真面目な職人気質なのであろうか。きっと彼はモテるのだろう。知らんけど。7時から練習を見始める。ハムを食べながらアップを見ていた。数分経った後、眠気に襲われた。寝られてないし、歩き尽くしていたから疲れたのであろう。まずい、外で寝るわけにはいかない。授業中によくある、完全には寝てはいないけど、何もしてない、聞いてない、見えていない、覚えていないの状態であった。数分後なんらかのきっかけで目を覚ますと、何か盗られていないか確認。まあ必要なものはあるから良しとしよう。竜蔵はスリにあってほしいとか言っていたけど、あわずに終わりそうだわ。11時まで練習を観て帰宅。なぜか今日はめっちゃ寒く感じた。最後の最後で風邪かと思ったが、家に帰るといつも通り。あ、シンプルに寒かっただけなのね。身体も疲れてそうだから、勘違いしていた。そういえば帰った瞬間、あの犬に吠えられた。忘れてしまったのだろうか、昼の記憶を。夕食をいただき、YouTubeを開く。セカオワの新曲のMVが出ていた。何もせずにじっくり見る。泥棒と虐待を受けていた子供の映像であった。詳しくは実際に見てほしい。胸が痛くなって、泣きそうになった。なんとか耐えた。セカオワ、さすがだわ。よくこんな歌書けるわ。寝るテンションではなくなってしまったが、明日は朝に予定があるので無理やり就寝。
26日目
起床。今日は朝から砂川さんとカフェで話す。先週の木曜日、たくさん面白い話を聞かせていただいたので、今日も楽しみである。9:00に家の前のカフェ集合。将来の話、日本とスペインの違い、日本人の可能性、日本人には何が必要なのか、日本食の話、ビジネスの話など話した。気づいたら12:42。え?話しすぎじゃない?3時間半以上話していたとは思えないくらい一瞬で過ぎていった。砂川さんは仕事もあるだろうに。ありがたい。また新たな可能性をくれた。自分の人生はベルギーかポルトガルかアクセンチュアにあるのかもしれない。あ、デュッセルドルフって可能性もあった。長田と竜蔵と輝には説明しておかないとダメだな。家に帰宅後、話の余韻でなんかぼーっとしていた。そういや朝カフェめちゃくちゃありだな。もっと早く気づけばよかった。カフェコンレチェも砂糖を3袋入れたら普通に美味しかった。カフェラテが飲めるようになったのは人生においてでかい。この1ヶ月の1番の成長かもしれない。これでもうカフェに堂々と行ける。
昼食。今日は違う味のパスタ。うまい。今日も食事中にあの犬が前足を椅子に乗せてきた。ついには私の足に乗せてきた。かわいい。でも、昨日帰ったら吠えてきたよね?グルルルルゥゥゥって言っていたよね?昼と夜で人格(犬格)変わるん?人間の表と裏みたいなものだろうか。犬はこうして両面を見せてくれるが、人間は裏を隠す。怖い怖い。まるで何かあるみたいですけど、別に人間関係の拗れはないつもりです。無いよね?
コルネジャのユースのトップチームに日本人が体験練習に入るということで、見学に行く。年齢はユース選手たちと同じ、強豪大学への進学が決まっている高校3年生らしい。見学した結果、日本とスペインの違いを再び考えさせられる結果となった。ポゼッショントレーニングには難なく参加。しかし次のトレーニング、対人に勝てない。相手ありきのトレーニングを積んできたものたちと相手を想定しないトレーニングを積んできたもの。その差なのであろうか。守備においての怖さも違った。ボールを奪うという意識。これは日本に帰ってから考えさせられそうだ。練習終了後、帯同チームの練習会場へ向かう。しかし練習は20:30から。時間がある。まあ既にやることは決めている。近くにあるIKEAに行くこと、ア式部員へのお土産を買うことだ。まずはIKEA。マジででかい。私はこういう雑貨屋をなんとなく見るのが好きである。いや好きになった。雑貨屋を楽しめる年齢にまで成長した。大きくなりましたわ。昔の自分ならフードコートでずっとゲームをしていただろう。到着。でかい店舗にしては小さい入り口。目の前におじさん。入り口近くのおじさんにいい思い出ないんだよな。嫌な予感。今回はスルーして入れると思ったその時。彼は急に叫んだ。もちろん聞き取れない。自動ドアが開き、入るまであと1歩だった私は多分遠くから見てもわかるくらいビクッとした。振り返るとこちらを見て、ニヤっとしている。なんじゃこいつ。睨み合いの末、会話は生まれないので無視して入る。宮本武蔵と佐々木小次郎が対峙した時くらいの緊張感はあった気がする。今回は心配が当たった。1割が出てしまったようだ。スペインでは入り口近くのおじさんには気をつけた方がいい。入店して最初に気づいたことは格好を間違えたことである。コルネジャのジャンパーにア式のジャージ。IKEAでは浮くだろう。しかし、異国で怖いもの知らずになってしまったので、胸を張って歩く。基本立ち止まらずに歩きながら眺めた。モデルルームみたいな場所ではこんな部屋に住みたいなと思ったり、ベッドの下に勉強机があるタイプの2段ベッドに憧れていたな、なんてことを思い出した。馬の毛のラグを見つけた。カーペットみたいなもの。石井の引越し祝いにどうかと思ったが、249ユーロ、ざっと40000円である。将来の国家公務員の彼にとっては端金でも私にとってはそうではない。買えない悔しさを噛み殺す、ことはなく通り過ぎる。待っていましたフードコート。手に取ったのはチーズケーキ。多分バスクチーズケーキではないけど、もういいや。クロワッサンもひとつとって会計を済ませる。IKEAで1人でケーキを食べた。しかも異国で。めっちゃお洒落やん。QOLが上がったところで1階へ。お洒落な電球の装飾を見て、良いけど多分掃除せんなと思った。そうだ、自分はIKEAで1人でケーキを嗜めるほど大した人間ではなかった。IKEAの最後の倉庫の迫力に圧倒されながら通り過ぎる。あの空間は何故か好きである。ソフトクリームを食べて次に行こうと思ったその時、携帯がなった。こんな時間に誰だろう、日本は深夜3時よ?まあ皆さんもお気付きであろう。皓大である。今日はいつになく真剣な話だった。私には大切な友人が1人いる。彼は大学で同じクラスになり、私が彼を無理やりア式に引き込んだ。このプログラムへの参加を後押ししてくれたのも彼だ。彼はとてつもないバイタリティの持ち主で、よくもそんな動けるなと尊敬している。そんな彼はこの所、思うところがあるようだ。その話を聞く。彼の考えを聞くと、申し訳なさを抱いた。電話をしていたら時間も一瞬、すぐ練習である。ちなみにお土産は電話中に買いました。今日を入れたら練習はあと2回、練習前はそんなことを忘れていた。練習後にそれを思い出した。このチームの練習に参加することが日常として当たり前になってしまっていた。今日も明るく挨拶をした彼らをもっと見ていたい。そんな気持ちになった。帰り道、最寄駅まで歩いているとガスマスク(のようなもの)をつけたあまりにもガタイが良すぎるおじさんのランニングとすれ違った。薄暗い道だったのでなんだか恐怖を感じた。一瞬でこのセンチメンタルな感情は吹き飛んだ。インスタを見ると、第2監督のジェラールはミラノに行っているらしい。そんなのありなん?日本じゃ聞いたことないよ。日本でももっと旅行に行くから休みますとか簡単に言い出せる雰囲気があれば良いのに。自分が会社、もしくはチームを作った時は家族と旅行行くので休みますとか全然ありな感じにしよう。率先して休もう。サッカーや仕事より大事なものは間違いなくある。この環境が羨ましい。電車の中でマックの匂いを感じた。絶対誰か持っている。スペインに来てマックにハマるとは思わなかった。マックの匂いセンサーがとてつもなく研ぎ澄まされている。帰宅。そういえば今日1日中セカオワの「タイムマシン」聞いていたな。全然歌詞覚えてないけど。今日の夕食は懐かしのインディカ米。今日は硬い系インディカ米。少し口の中が痛かった。味付けは美味しかった。夕食後、部屋でYouTubeを流しながらレバークーゼンの試合を見る。如意棒に興奮しすぎて電球を割る狩野英孝を見て、ここ1ヶ月で1番笑った。そしてスピッツの「ロビンソン」のカバー動画をひたすら見た。結局そこで行き着いた、弾き語りを投稿している高校生の歌を聴きながら、試合を観ていた。めっちゃ歌上手い。カラオケ行きたい。それでも手持ち無沙汰だったので、日記を書きながら見る。皓大の電話の部分に差し掛かる。以下、本当のfeelingsのようになります。
電話をしている時も申し訳なさにかられたが、夜布団に入ってよく考えると自分は最低な人間であることが段々と分かってきた。これは試合を観ている場合ではない。パソコンを閉じる。私は彼に謝らなければいけない。私は彼の優しさに頼り切っていた。彼をア式に誘う際、私は一緒にプレーしたいと言って誘った。彼はそんな言葉を聞いて入部してくれた。この熱い言葉があったから、入部したんだよ!と直接言ってくれたこともある。その時は嬉しかった。しかし現実はそう簡単ではない。彼はずっとAチームでプレーしている。私は育成チーム。まず一緒に練習するのに1年弱、そこから一緒にリーグ戦のメンバーに入るまでに1ヶ月。その試合は交代で入った時には先発だった彼はもうベンチにいた。そこから3週間後、ついに同じピッチに立った。とは言っても本当に立っただけ、プレーはしていない。自分が出たのは後半のアディショナルタイム。残り2分くらい、自分の頭上を飛び交うボールを眺めていただけ。1タッチもしていないのではないだろうか。その後私は怪我をした。そのままリーグ戦は中断期間に入り、夏オフに入った。怪我の期間、サッカーの試合を観て、それについて考える時間が楽しかった。サッカーを知っていく感覚が楽しかった。こうしたらうまくいくのでは?という持論ができてきた時、それを追求したい、試したいという気持ちでいっぱいになった。強化ユニットとして、たくさんの指導者の方々の話を伺ったことで、将来のことも考えるようになった。人生20年のうち14年を捧げてきたサッカー。こんなにハマるものは人生できっと出てこない。しかも14年目にして更に沼に入り込み続けている。好きなことを仕事にできたら最高だな、そんなことを思い、1ヶ月半ほどほぼア式を離れることにした。夏オフ終了直前(というか始動初日)に方々に連絡した。この時、ここで選手を続けたらもう道は閉ざされる。そんな強迫観念にかられていた。決してそんなことないのに。また、週6で練習するあの環境に戻るのも嫌だった。サッカーのこと以外何も考えられなくなる、あの日々が。練習でうまくいかなくて落ち込む、あの日々が。この夏オフの期間は間違いなく人生で1番悩み散らかした時間だった。人にはあまり相談しなかった。したら止められる気がしたし、人と話せる精神状態ではなかった。同期の数人と高橋先輩にだけ相談した。後から沢山の人に相談すべきだったと言われたが、その通りである。ア式にはとても優秀な人が多い。頭ごなしに否定する人間はいないであろう。相談すればよかった。まあ決断は変わらなかっただろうけど。1度思ったら、決断を変えられない人なので。前置きがあまりにも長くなりすぎた。まとめると、彼とプレーしたいと誘ったが、なかなかプレー出来なかった。これからも自分次第でチャンスはあるにも関わらず、自分からそれを捨てたのである。もちろん彼にもこの決断をするにあたって相談した。ア式の中で1番信用していると言っても過言ではないから。結果として、彼は私の行動を応援して、アドバイスもくれた。多分この時にスペインに行くことも相談していたと思う。海外志向の強い彼はそれももちろん応援してくれた。本当にありがとう、マジで助かった、頑張るわ。それくらいにしか思っていなかった。もう精一杯すぎて自分のことにしかベクトルが向けられなかったのである。スペインに行くことを決めてから、チームに復帰して半年ほど、育成チームでのらりくらりと過ごした。ここでもベクトルは自分。サッカーを知れれば良いやと思っていたし、試合に出たい、勝ちたいなんて感情はなかった。育成チームもAチームの成績も完全に他人事。しかし、10月に皓大がコーチになってからは皓大とグラウンドでも話せるようになって楽しかった。育成チームというチームが好きになったし、成蹊リーグを本気で勝ちたいと思った。周りに指示を出すようになったし、試合も気持ちを入れて取り組んだ。この頃はそれがサッカーを知りたいに勝っていた気がする。しかし冬オフが訪れ、その気持ちも途絶える。サッカーを知りたいが自分の1番のモチベーションになってから、確実にうまくなった気がするし、チーム全体が前よりも見えるようになった。周りを気にしなくて良くなったので、自分も精神衛生上、とても良い状態であった。というかプレイヤーに復帰してから、今この瞬間までずっと良い。性格も明るくなった気がする。サッカーに疲弊していた自分はいなくなり、行動力もアップ(し過ぎたかも)、笑顔も増え、人として考え方も成長した気もした。この実感はおそらく全てあっているが、こんな良い事づくめではない。次の敵は罪悪感である。Aチームは必死に勝利を目指し、セカンド、育成は必死に試合出場を目指す。そんな中でこんなエゴの塊みたいな選手が所属していても良いのか。オカピさんはそんな選手がいても良いんじゃない、とは言ってくれたものの、確信には至らず、そこは見ないようにはしていた。だからどこから漏れたのか知らないが、Aに上がる気ないでしょ?と誰かに言われても、いやいやそんなことあるわけないやんみたいな嘘をついていた。特にこの問題に厳しそうな彼の前では言えなかった。そんな半年を過ごしていた。育成チームとAチームでは練習時間が異なる。彼とはあまり話す機会が無かった。1月某日、部室で彼と会った。今岡部はどういうモチベーションでサッカーをやっているの?そう聞かれた。深く考えず、正直に答えてしまった。サッカーを知るためだ。桑原さんの指導も気になるから、Aチームでやってみたい気持ちも出てきた。そう言った。なるほどね。彼はそう言っただけだった気がする。2月9日、期末試験の後、彼に頑張れよ、死ぬなよと言われた。なんて答えたかは覚えてない、だがきっと満面の笑みで旅立ったんだろう。岡部がア式から離れて行くようで寂しいけど、岡部はしっかり自分の道を進んでいる、自分が後押ししたし、応援したい。彼はそう言ってくれていたらしい。「ア式から離れて行くようで寂しい」。この言葉は去年の夏に相談した時も、半年間育成で自由気ままにプレーしている時も、1月某日の部室でも、スペインに旅立つあの日も、私が楽しそうに言わないでくれた言葉なのだろう。もうお分かりであろうが、この半年、自分のことしか考えていなかった私は彼との約束が頭の中から抜けていたのである。この事実に気づいたのが、今日、今、この執筆中であった。気づいたその瞬間に高校生がKiroroの「未来へ」を歌っていた。いやほんとに、ドラマかい。「ほら足元を見てごらん これがあなたの歩む道 ほら前を見てごらん あれがあなたの未来」らしい。彼の思うところを聞いた時にやる事は1つだと思った。彼との約束を果たすために、彼の重荷を共に背負うために。スペインでの素晴らしい経験も彼がいなかったら体験できないままだっただろう。そんな彼に甘えてきた自分のできる事は限られているかもしれないが、彼のために、ひいてはア式のために、ア式で選手を続けることを決めた。自分の発言には責任を持たなくてはいけない。それができなかった申し訳なさと彼の優しさで涙が出てきた。そんな朝5時でした。どんだけ泣けばいいんこの1ヶ月。なんかめっちゃ腹減った。身体おかしいのに何してるんやろ。就寝。
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