「生徒諸君によせる」

泉澤輝(3年/DF/盛岡第一高校)


部室から出てイヤフォンをはめる
聴くのは3houseと決まっている
彼の曲を爆音で聴きながら帰るこの時間は至福のひと時
夜と3houseという組み合わせは、例えるならば白米と納豆のように
付け入る隙がないほど完璧なのである

しかしながら
またに煩わしいと感じることがある
音が大きすぎるせいだろうか
音量を下げてみる
あまり変わらない
いっそのことイヤフォンを外してみようか
途端に気分が戻る
聞いている曲は好きな曲のはずなのに
この気持ちは何だろう

そこでふと気づく
木の葉が擦れる音
鳥が囀る音
子供達の笑い声
この世は素晴らしい音で溢れている

哲理学作家のさとうみつろう氏は、100年ほど前に全ての音が純正律から平均律(12平均律)に塗り替えられたと述べている
もっと分かりやすく言うと、我々が今聞いている音の大半は不協和音なのである
つまり、私たちは日頃から不協和音を聴くことによって、言いようもない不安に駆られているのである
逆に、水の音や焚き火の音に癒されるのは、それらが純正律であるからということになる

音(振動)はかくも絶大な影響を持っているのである
ここで、振動にまつわる興味深い話をもう一つ紹介しよう
「シューマン共振」というものをご存知だろうか
これは地球の表面と電離層の間で起こる共鳴現象のことで、基本周波数が7.83Hzとされているこの周波数は、集中したい時に聴くことでお馴染みのα波と一致しており、生まれながらにシューマン共振にさらされている私たちはこの波長を聴くとリラックスしたり、集中したりできるのだ

面白いのはここからで、シューマン共振は地球が誕生してから続いている
そして、振動とは音に見られるように情報を伝える性質がある
つまり、シューマン共振には地球が誕生してからの歴史全てが記録されていると考えることも可能なのだ
俗に言うアカシックレコードというやつである

ここまでの話を聞いて、ほとんどの人は胡散臭いと思うだろう
今の時代に天動説や地球平面説をXで唱えようものなら即炎上することは言うまでもない
しかしながら、ほんの数百年前までは地動説を唱えようものなら文字通り炎上していたのである
チ。を読んだことのある人ならお分かりだろう

結局、陰謀論と人々の常識なんて紙一重なのである
どれだけ多くの人が正しいと信じているかに過ぎない
分かりやすい例がお金だろう
当たり前に使っている渋沢栄一も、日本を出ればただの紙切れなのだ

そして、科学を発展させてきたのはそのような常識を疑う姿勢なのである
天動説を疑う人がいなければ、地動説も発見されなかっただろう
トロイア戦争に疑問を持たなければ、トロイア遺跡も発掘されなかっただろう

このようにして、世の中の不思議を探求すると必ず行き着くのは宇宙誕生の謎である
「ビックバン理論」を理科で学ぶが、これも仮説に過ぎない
何もないところから大爆発が起きて宇宙が誕生したなどと、誰が信じられようか

そうしたことを常日頃考えていると、ある一つの仮説が思い浮かんだ
この世はマトリックス的な世界なのではないかと
私たちは1の世界を生きているに過ぎず、本当は2の世界が存在するのではないか
長袖が欲しくなってきた

この世はでっかいアドベンチャーなのだ
なぜ地球と太陽は絶妙な距離感にあるのか
なぜ地球の地軸は23.4度傾いているのか
なぜピラミッドは建設されたのか
なぜ日本は30年間も停滞しているのか
そんな謎がひとつでも多く解き明かされる日を心待ちにしている



ー完ー















ここまでで大半の読者が脱落してくれていることを期待する
念の為補足しておくが、私はスピってる訳ではないし、陰謀論者でもない
ただ少し好奇心が強いだけである

時を戻そう
ここからが本題である
が、その前に
自分のことをあまり伝える機会もないので、改めてこの場をお借りして自己紹介させていただきたい

名前:泉澤輝
全部音読みにすると「センタクキ」
画数が多い上によく「泉さん」と間違えられるのであまり好きな苗字ではないが
珍しいという1点のみ(全国に100人くらいしか居ないらしい)で全てのネガティブ要素を上回るほど好きな苗字でもある

出身地:岩手県盛岡市
県庁所在地でもある盛岡市の場所がわからないという人に度々出会うが是非小学校からやり直していただきたい
僕は盛岡という土地がとても大好きである
特に開運橋から見える岩手山の景色は最高だ

誕生日:9月13日
たまに金曜日になることがある

好きなアーティスト:3house、KANDYTOWN
冒頭でも登場したが、自分はハマった曲をずっとリピートするので
3houseの曲は今年7,000分も聴いていたらしい

自分はHIPHOPが好きだけど、これが中々周りと合わない
HIPHOPの良さはメッセージ性とリアルさであると思う
最近喰らったバースは
「ステージに上がったギャランティでステージを下げれた親父の癌」
そこの角から飛び出してくるのを待つのとは訳が違うのである
この曲もカラオケで盛り上がるから好きだけど

趣味:コミックシーモアで無料漫画を読むこと、ホストのドキュメンタリーを見ること
シーモアは思っても見ない漫画との出会いをくれる
最近ハマったのは「路傍のフジイ」「スキップとローファー」「獣王と薬草」
異世界転生ものも大概面白い

ホストのドキュメンタリーは切り抜きを見てハマった
特にMio Yashiro TV
これの更新を楽しみにしながら生きていると言っても間違いではない
冬月グループは売掛の禁止を公言しているが、実際のところどうか分からない
「明日、私は誰かの彼女」みたいな世界がまだ蔓延っている世界だと思う
そんなものをエンタメとして消費していることに罪悪感を覚えつつも
そういった刺激を抜きにしても、非常に面白いコンテンツであるのは間違いない
みんなイケメン

まだまだ書けそうだが、長くなったのでこの辺で終わろう
ここまででさらに脱落していることを期待する

ここからが本題である
長ったらしく書くと思うが、初めに要約しておくと
「来年も頑張ることを決断しました」という話である

今シーズンを総括すると非常に充実したシーズンであった
怪我による長期離脱はなく
Aチームを経験させてもらい
育成チームのキャプテンも任せてもらった
皓大ありがとう
特に育成の後半の方は、育成レベルならまぁ負けることはないだろうと思えるくらいの感覚だった
グルージャ盛岡のチャントも歌ってもらえた

だからといって、全てが順調だったわけではない
特に代替わりしてからの約1ヶ月は相当苦しかった
こんな事を言うと怒られそうだが、自分はAチームでプレーすることやリーグ戦に出ることにあまり執着がない
楽しくサッカーをすることが何よりも大事なのだ
もちろんサークル的な楽しさとは違った意味の楽しさである

そういった意味では育成チームは非常に有意義な環境とも言える
自分にフォーカスできる上に、毎週90分の出場が確約されている
しかしながら、育成でのサッカーは自分の中では今シーズンである種の完成形に達しており
漫然ともう1年を育成でプレーするのは無意味に思えた

てつさんのサッカーは特性「不思議なウロコ」を持ったミロカロスに火炎玉を装備させるようなもので
上手くハマればリターンは何倍にもなる
歌、よしもん、荒とかがその類であろう
ここで言う不思議なウロコとは俗に言うセンスのことだと思う
スラムダンクで言えば沢北、仙道、流川

逆に、私のようにセンスとは無縁の脳筋野郎は火傷状態でダメージを食う上に
物理技の威力が半減するというデバフがかかるのだ
念の為補足しておくが、これは批判などでは全くなく、個人的な問題である
これは全て自分の実力不足が招いた結果であり
センスが無いなりに努力することを放棄した私の問題である
こんな感じでネガティブのどん底でオフを迎えたわけであるが
そこから来シーズンへの決断に至ったのにはいくつかの要因がある

まず、最後の1年サッカーに打ち込まなかったら絶対に後悔すると思ったこと
大学最後の1年と言うこともあっていろんな事がよぎった
海外に行ってみたい
地方へのボランティア活動に参加してみたい
これらは入学前から抱いていた、所謂「大学生活」である
しかし、これらは後から如何様にでもなる一方で、大学サッカーの最後の1年は取り戻そうと思っても不可能なのである

正直、コンコルド効果みたいなところもあるかもしれない
大学でも部活でサッカーをするという道を選択した時点で他の道を進むという選択肢はほぼなくなったと言っていい
そして、その道もここまで来たら引き返すことは出来ない
それでも、それならそれで最後までやり切ってやろうじゃないか

次に、発想の転換である
流川でなくては試合に出られないのだろうか
決してそんなことはない
彼らが鯛ならば、私は鰈である
「監督が理想とする選手」と「試合で勝つのに必要な選手」は必ずしも一致しない
自分は前者になるのは難しいであろうが、後者になれる可能性はゼロではないはずだ
泥臭くやるしかないのだ

そして最後は、都学連を辞めるという決断をした事である
都学連を辞めた以上、サッカーに集中しないでどうするのか
それに、都学連で一緒に仕事をした彼らと公式戦の舞台で戦いたいと言う気持ちから目を逸らすことはできなかった

以上のような経緯を経て、私はもう一度プレーする事を決意した
困難な道のりであることは言うまでもない
残り1年もない
新入生も入ってくる
それでも、決断した以上やるしかないのだ

最後に、私たちの先人でもある宮沢賢治の詩を引用してこの文章を終わりたいと思う
先の見えない世の中であるが、多分なるようになるのだ
人生の80%は偶然によって決まるらしい
ならばその80%に身を委ねてみようと思う
そして、残りの20%は確かに自らの手で掴み取るのだ

中等学校生徒諸君
諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である
諸君はこの時代に強ひられ率ゐられて
奴隷のやうに忍従することを欲するか
今日の歴史や地史の資料からのみ論ずるならば
われらの祖先乃至はわれらに至るまで
すべての信仰や特性は
ただ誤解から生じたとさへ見え
しかも科学はいまだに暗く
われらに自殺と自棄のみをしか保証せぬ
むしろ諸君よ
更にあらたな正しい時代をつくれ
諸君よ
紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君は此の地平線に於ける
あらゆる形の山嶽でなければならぬ
宇宙は絶えずわれらによって変化する
誰が誰よりどうだとか
誰の仕事がどうしたとか
そんなことを言ってゐるひまがあるか
新たな詩人よ
雲から光から嵐から透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ
新しい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい重力の法則から
この銀河系を解き放て
衝動のやうにさへ行はれる
すべての農業労働を
冷く透明な解析によって
その藍いろの影といっしょに
舞踏の範囲にまで高めよ
新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変へよ
新しい時代のダーウィンよ
更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って
銀河系空間の外にも至り
透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ
おほよそ統計に従はば
諸君のなかには少くとも千人の天才がなければならぬ
素質ある諸君はただにこれらを刻み出すべきである
潮や風……
あらゆる自然の力を用ひ尽くして
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ
ああ諸君はいま
この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
透明な風を感じないのか
2024年12月31日 イーハトーヴより
 

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