私が東京都リーグを運営する意味

都学連―正式名称は東京都大学サッカー連盟。ざっくり言うと東京都の大学のサッカーリーグを運営している組織。ざっくりいうとこれだけだが、40以上の大学が所属しているとても大きな組織で学生中心にリーグ戦の会場を集めたり審判の派遣依頼をかけたり選手登録の確認をしたりとさまざまなことをやっている。
幹事長―この都学連の運営に携わるだいたい40人の学生のトップに立つ人。


私は昨年の8月からこの幹事長という職をやらせてもらっている。これを書いている今は2月だからこの職についてちょうど半年が経った時でもあり、あと10ヶ月も任期があることに絶望している時でもある。


この半年間は本当にいろいろなことを経験できた。
各チームの監督が集まる場や、都学連の理事が集まる場で話す機会が何度もあった。大人の方と一緒に仕事をすることで社会の厳しさを学んだ。
どうすれば「より良い運営」ができるのか、仲間とたくさん話し合った。
サッカーに携わる大学生にカンボジアでの研修を提供したいと言ってくださった企業の方と実際にカンボジアに行き研修の下見を行った。
多分普通の大学生だったらできないようなことをたくさんさせてもらっていると思う。


けれども先ほど「絶望」と書いたように(書いてしまったように)、自分は幹事長という仕事が正直好きじゃない。そもそも優柔不断で、人のことを気にかけられるほど自分に余裕がなくて、人に嫌われるのが怖くて、打たれ弱い時点で組織のリーダーに向いてない。
でもどうせやるなら残りの10ヶ月は、今までの半年とは違うものにしたい。そう心から思うから自分が幹事長である意味を探してみたいと思う。



まずなぜ自分は幹事長を辞めたいと思ってしまうのか。


分からないことが多すぎたからなのかー
諸事情あって幹事長の仕事が何かもよく分からないまま急に幹事長になった自分は、全て手探りでやってしまっていた。だからこの半年は本当に分からないことに直面することばかりだった。
これを1番痛感したのは台風19号の襲来でリーグ戦を延期するか否か決めなければならなかった時だと思う。グラウンドを持っている部活が少ない都学連で延期を決定するのはかなりの英断だが(全試合消化できるだけのグラウンドを集めるのは本当に難しい)、最終節で昇格降格や順位決定が大きく関わっていたため延期を希望する大学も多く結論がなかなか出しづらかった。最終決定をするのはもちろん学生の私ではないが、学生の意見や各大学の意見をまとめて理事の方に伝えなければならなかった。

だけど全然その役目を果たせなかった。
選手の意見か運営的な問題かどちらを優先すべきか分からなかった。
「もっと頼れよ」と電話してくれた学連の先輩方のアドバイスは言っていることが皆違っていて誰の何を頼ればいいのか分からなかった。
1番身近でそばにいる自チームの思いを汲み取りたいと思いながらもどうすればいいのか分からなかった。
何が正解で、何が間違いか、さっぱり分からなかった。
なんで「人格から考え直せ」と怒られなきゃいけないのか分からなかった。


(この時引退試合、最終試合直前なのに話を聞いてくれた先輩方、泣きながら電話をかけても許してくれた広島に住むお母さん、本当にありがとうございました。そしてたくさん話を聞いてくれた、目の前で泣いても受け止めてくれた、涙でグラウンドに出られなかった時シフトを変わってくれたかなに心からありがとう。あなたがしんどい時、あなたを支えることのできる人になりたいです)


この時ほど激しいものはそうないけれど業務上の疑問が絶えない半年だった。

こんなに苦しんでまで自分がやらなきゃならない「理由」が分からなかった。



学生幹事内にある意識の差に甘えてしまったからなのかー
学生幹事には本当にいろんな人がいる。この仕事が楽しくて仕方ない人、やっていくうちにハマって将来もサッカーの運営に携わりたいと思っている人もいれば、大学から1人出さないといけないからとりあえず仕事をしている人もいる。こんな事情もあって1年でメンバーは半分以上変わってしまう。最初は頑張らなきゃ!と意気込んでいた自分も気づけば少しずつ妥協するようになっていた。
自分がこの仕事に情熱を捧げる「意味」が分からなかった。



どれだけ頑張ってもア式に直接的に貢献できないことが悲しかったからなのかー
同期スタッフたちがどんどん遠くなっていく気がした。部の中心で運営に携わっている子や、広報のエースとしてたくさん画像を作ったり企画を考えたりしている子、フィジカルのトップとしてデータを集計したりトレーナーをまとめたりしている子など皆部の中心として活躍している。
自分がア式のためにできていることの少なさに気づいては焦り、けど都学連の幹事長という立場からどうやったら部の発展に貢献できるのか見つけられない。むしろ立場上自チームに不都合な決断をしないといけない時もある。
自分が東大ア式として都学連に携わっている「価値」が分からなかった。


誰のためにこの仕事をやっているのか見えづらかったからなのかー
先述したように東京都リーグには40以上の大学が所属している。ア式以外の人は正直知り合いじゃないし、自分が作っている資料を何人の人が読んでくれるのかなんて分からない。そのうえ自分がやっていることがどれくらい部の成長につながるのかも見えない。
この人たちのために頑張りたいっていう具体的な「ビジョン」が分からなかった。



こうやって見ると今の自分に必要なのは「目標」とか「存在意義」だと思う。
自分が幹事長をやる理由はなんだろう。
自分が幹事長である意味はなんだろう。
自分が都学連に所属する価値はなんだろう。
自分は都学連を通してどうなりたいんだろう、何がしたいんだろう。



ここからは私なりの結論。(かなりそれはそう。ということを述べます)








2019シーズン気づいたこと。

運営側にいる時の自分の立場からすれば、消化していかなければならない18試合中の1試合だけれど
東大ア式に所属している自分の立場からすれば、信じられないぐらい多くの人が準備や努力をして、何がなんでも勝とうとしている1試合だということ。


全力で試合に向けて練習し考えている選手がいる。
チーム全体の士気をあげる主将がいる。
メニューを考え勝利に導くコーチがいる。
戦術面、フィジカル面など選手を支えるスタッフがいる。
自分が出なくても試合運営を手伝ってくれる選手がいる。
応援してくれるたくさんの人がいる。

この1年で一生忘れないものをたくさん見た。
うまくいかなくない時の苦しい雰囲気。
帝京に負けた時の先輩の涙。
最終節、試合終了の笛の音がグラウンドに鳴り響いた瞬間。
双青戦で辞めるかもと言っていた同期が新人戦で決めたゴール。

勝つことの難しさ、勝てることの喜び。
ゴールが決まった時なぜか泣きそうになること。
弱いと言われ続けていた同期の活躍が、信じられないぐらい嬉しいこと。


別にア式だけじゃない。
すべてのチームで、程度の差はあれ、多くの人が勝利に向けて戦っている。


東京都リーグという場所でサッカーに関わる1000人以上の大学生の力になりたい。4年間しかない、ほとんどの人にとって本気でサッカーをやる最後の機会になる大学サッカーを最高のものにしたい。そのために運営側ができることを全力でやらないといけない。

しょうもないミスをしないのはもちろん。
グラウンド提供や審判員確保など、運営への協力を求め続ける。
伝えるべきことのみを明確に伝え、情報を早く開示することで、伝達の漏れがないようにする。
できることはきっとまだたくさんある。



それと同時に学生幹事がもっと運営しやすい環境を整えること。
選手として公式戦に出ながら関わっている人もいれば、チームの仕事をやりながら都学連の仕事をやっている人もいる。
一緒に運営を頑張っている皆にも、チームがあって、そのチームの勝利のために全力を尽くしている。
業務の効率化を図ること、やるべきことと別にやらなくてもいいことを見極めること、運営のマニュアル化を進めること。もっと多くの人が自チームと両立しやすい運営体制にすることが求められていると思う。


都学連は普通の組織じゃない。
運営に関わる学生にはチームがあって、都学連主体で活動できる人はほとんどいない。
皆で目標を考えようとか、毎回の幹事会のテーマを決めようとか、私はそれがこの組織に合っているとは全く思えない。
目標は皆違っていいと思う。チームの運営が第一で、その次に都学連を頑張るでも全然いいと思う。目標を立てるとするのなら、各個人が目指すものを見つけてくれたらそれでいいし、揃えようとしても押しつけになるだけな気がする。

でもそれを判断するには自分のコミット率が足りてない。
学生主体を名乗っているのだから、各委員長と自分がしっかり連絡をとって全体を見なければならない。全体を把握して大人の方や、各大学と連携をとっていかないといけない。


グダグダ書いてしまったけど、まとめれば
「東京の大学でサッカーを頑張る人の力になれる運営体制を作る、学生幹事が運営しやすい環境を整える」
これが私の目標。


自分がどうなりたいかはまだ分からない。これから見つけていきたいなと思う。
でもあと10ヶ月、自分が幹事長だからできることを達成するため、自分がやる意味を見失わないように走り抜けていきたい。




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2年スタッフ 大槻春歌

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