サッカーの地平線を広げる -20日目〜22日目-

岡部惇貴(3年/MF/武蔵高校)


20日目

起床。8時きっかりに目が覚める。なぜこんな健康な人間になってしまったのだろう。守備の勉強をするためにシティチェルシーを観る。そんな詳しいこと書くつもりはないので、いつも通り自分の気になったことを並べる。ギャラガーの仕事量えぐい。チルウェルがキャプテンなんだ。いやギャラガーほんまえぐい。グストの1vs1の強さ異常。アケのアジリティどゆこと。10:30眠くなってきたので、一旦寝る。おかしくなっているね身体が。社会人ってこんなんなのかな。一人暮らし。朝起こされる。仕事に行く、疲れる、寝る。その繰り返し。社会人になると確かに友人との交流は減るだろう。同時に笑顔になることも減るだろう。笑っていられればいいや、と思っている私にとって、心の底から笑うことがない生活はしんどい。こりゃ1人で生きていけないわ。こんな自由に好きなことしているだけで、身体おかしくなってるのに、社会人になったらどうなるんだろう。まあ日本語が通じるだけマシか。11:00に再び起床。シティチェルシーの続きを見つつ、昨日のトレーニングのおさらい。またトレーニングの紙を写真撮らせてもらうの忘れた。次は指導者としての勉強。プレーモデル。トレーニングメニューの構築。コーディネーターの役割。スポーツの本質。楽しすぎるわ。14:00。昼食の時間。14:30から白石さんの送別会をカフェでやるらしいので、少し急がなければいけない。遅れるとは言ってあるが、もちろん早くは行きたい。ところが今日に限って昼食のスタートが14:25。セルジの友達も来ていた。友達が来る時は長くなる合図である。終わった、だいぶ遅れてくことになりそうだ。セルジにCLのチケットは取ったか?と言われた。なんか勝手に取ってくれもんかと思ってたわ。思い上がりすぎてたわ。そんなことを考えていると白石さんから連絡。まさかの15:00解散だそうだ。まあ確かに送り出すだけならそうか。白石さんを送別できなかった。最後に挨拶したかった。そう思いながら、CLのチケットの予約をしていた。思った5000倍簡単に取れた。テンションマックスである。流石にエグい。白石さんのことは一瞬で忘れかけた。すると白石さんから家に帰って来ているという連絡。良かった挨拶できる。一旦心を落ち着かせて無事挨拶完了。この話には特にオチも何もありません。日本人が礼儀を全うした話です。思い残すことなく出発。今日はダムの練習を観に行く。その前にメルカドーナでクロワッサンを2つ購入。メルカドーナによるためにわざわざ遠回りをした。メルカドーナにはその価値がある。遠回りをしたおかげででかい公園を散歩することができた。高台にあったので、眺めがとてもいい。公園の雰囲気が城北公園に似ていた。まあ大半の人は城北公園知らないか。公園が広すぎて迷った。道が複雑すぎる。歩いていると変なおじさんを見かけた。徐にマンホールの上で立ち止まると、マンホールを開け、中をじっくり覗き込む。流石に目が離せなかった。しかし彼はその場を動くことなく、覗き続けている。いかん、このままでは不審者が2人に増えてしまう。階段を登る途中でおじさんを凝視し続けるおかしなアジア人になってしまう。結局自分はやれなかった。彼は何を覗き込んだのだろう。これを知るには自分も覗き込まなければならない。練習には少し遅れて到着。大半は見られたのでOK。ダムの練習の間にサッカースクールが行われている。先週は皓大と電話していたので、何となくでしか見ていなかった。しかしよく見てみると面白い。スペースが限られている中で全部のチームが違う練習をしている(もちろん根本はほぼ同じ)。様々なケースのシュート練を見ることができた。勉強になる。ダムの椅子は尻が痛くなる。コルネジャはあんま感じないのに。ここはコルネジャに軍配が上がる。アンヘレスとメッセージ。リアクションを返すと、めっちゃ怖い顔のスタンプが送られて来た。思い出したくもない。顔は笑顔なのに虫歯で歯が抜けまくっているという狂気的な絵文字。こんな絵文字あるんや。怖。何で打ったら出てくるん。誰が使うん。思わずスクショしてしまった。スクールも終わり、ダムの先ほどとは異なるカテゴリーが練習を始めた。砂川さんと見ていたので、スペインサッカー指導者の仕組み、コルネジャのチームの謎、ダムの裏側など色々教えてもらった。そんな中練習ではダブルボックスというメニューに取り組んでいた。私はこの練習が好きではない。ゲームとして気持ち悪い。攻守においてゴール前であり、スペースが少ない。ゴール前の局面、シュートが上手くないのも関係しているだろう。どういう練習なのか?という問いをぶつけてみると、面白い答えが返って来た。そういう考えもあるのか。スペインにまできて勉強しているだけある。育成チームのあり方、課題なども聞いてみた。なんと実体験から語ってくれた。29歳にして経験もある。進路相談にも乗ってもらった。いろいろ選択肢を話してくれた上で、ヨーロッパに来てライセンスを取ったらどうだという話になった。もちろん今までに調べたことはある。その当時はぼんやりと見ていただけだった。なので記憶にも残っていない。だが具体的な目標ができた今、急に現実的な話になって怖くなった。スペインに来て3週間、私は友人がいないとやっていけないことは重々承知していたつもりではあったが、それは確信に変わった。大切な友人を持てたことは喜ばしいことである。ただ自分1人でやっていけないかもしれないという腹立たしさが湧き上がって来た。これが自分の限界なのかもしれない。ただ私は1度興味を持ったものは中々抜け出せないタチである。練習から帰宅した後、深夜3時までヨーロッパのライセンスについて、そこに挑戦している日本人について調べた。自分には荷が重そうだ。ただ夢に今すぐ挑戦した人は39%、安定をとってから夢を追いかけた人は0.008%。これが夢を叶える確率らしい。ソースは覚えていない。まあどうせこれも嘘なんだろう。ただ言わんとしていることはわかる。歳をとると挑戦できなくなる話もよく聞く。人生において背負うものが増え、自由に行動できないのだろう。どうしようかね。そんなことを考えながら、体力の限界を迎え寝落ち。今日は久々にコンパクトにまとまりました。



21日目


起床。3時に寝たので起きたのが10時半。8時くらいに一回起きた気がするけど、二度寝したのかな?あんまり記憶がない。その時にこのこと日記に書き忘れたなということを思い出したが、起きたら忘れていた。忠実に書けなくて悔しい。今日はバイトの依頼が来ていた。嬉しい。もう2月は終わったのか。確かに慣れたら1週間が早く感じる。明日でスペインに来て4週間目に突入である。普通に日本に帰りたい。日本食と日本の不自由ない生活のレベルの高さを知った。もちろんスペインも最高である。サッカーに関してはマジでスペインにずっといたいくらいである。3月に入って初日ということで、今月やりたいことを整理してみる。全部サッカー関係である。読みたい本、文献、見たい動画。あげたらキリがなかった。教育学、心理学から考えた指導、技術トレーニングにおいて大切なことについて勉強。次は正体について。次は再びチェルシー対シティ。結局ギャラガーエグい。チェルシーの守備組織の穴になりかねない部分を無理やりカバーしている。ニコラスジャクソンってウイング的なのもできるんだ。ってこんな話をしたいわけではない。気づいたらずっとサッカーになっている。日記にはあまり書きたくないのに。今はサッカーを知れるのが楽しい時期なので、この思考のサイクルが楽しい。しばらくしたらサッカーの沼にハマり、サッカーの奥深さに絶望し、サッカーが嫌になる時期が来るのだろう。好きと嫌いを繰り返して成長できればいいかな。

そんなこんなで昼食。初日に頂きますってめっちゃ日本語で言ったら、ボンプロベーチョと言われた。なるほどスペイン語ではそういうのか、そう思っていた。今日も言いかけたが、何故だか急に綴りが気になった。bonなのかvonなのか。するとなんとプロベーチョは召し上がれという意味だった。衝撃すぎてボンの部分を調べるのを忘れていたことを日記を書きながら思い出しました。ここに来てから3週間、召し上がれ〜と言いながら食べていたのか。セルジ、教えてくれよ。本当にごめんなさい。今日から言うのやめます。勝手に1人で気まずくなった。あとなんか日本食を食べた日に野菜食べてないって言ってから昼に出てくるようになった気がするんですけど。セルジこのメモ盗み見てないよね?そのセルジが体調悪そうだった。心配である。としき、もっと食べたいだろう!と言って肉を押し付けて来た。いつもならそんなことないのに。食べるのも苦しそうだったし、なんなら残していた。大丈夫かな?

土日は1日中試合を観ることになるので観光はできない。なので今日少ししとくか、昼食後に思った。G大阪対町田ゼルビアを観ながらどこに行くか考えていた。やっぱJリーグは慌ただしいな。結局カサ・ミラとカサ・バトーリョというガウディが作った建築物を見に行くことを決めた。一応世界遺産だ。電車で一本、まあ時間もちょうどいいだろう。アパートから出る際、エレベーターに乗るのだが、途中でお爺さんが乗って来た、オラ!とりあえず挨拶。何と人当たりのいいお爺さんだろう。ドアを開けるとグラシアス!と言ってニッコリしてくれた。極東の大学生の荒んだ心を少し朗らかにしてくれた。こんな雰囲気のお爺さんになりたい。目的の駅に到着。上りのエスカレーターが稼働していない。そこをみんな歩いて上がるので流れに乗る。止まっているエスカレーターを使うのはすごい違和感。足が変な感じがする。皆さんにも体験してみてほしい。日本にいたらそんなシーンないかな。そこから少し歩いて到着。人が集まっていたのでわかった。人が集まっていないと分からなかったかもしれない。確かに他の建物とは違い、美しさは2つともあった。だが何だろう、この納得のいかなさは。まずひとつは周りの建造物も素敵な雰囲気を醸し出しているせいで、世界遺産なのにも関わらず、圧倒的な存在感を示せていないからであろう。何よりの理由は私がお金をケチって中に入らなかったからであろう。中も素敵らしいので、次行った際には入ってみたい。バルセロナにはどうせもう1度くらい来るだろう。ケチったのもあるし、チケットを取るのもめんどくさかったというのもある。練習を見た勝ったというのもある。やはりできない理由を探すのは簡単ですね。やる理由に目を向けられる人間になりたい。まあCLのチケット取って、飛行機を変更して、Wi-Fiとスーツケースのレンタル期間延長して、いくらかかるんだよって話ですよね。ただ本当にケチった訳ではないですよ。現実的な判断して中に入らなかったのである。そういえばスペインの信号事情について話していなかった。スペインは基本信号無視OKである。赤でも車が来ていなければ歩行者は渡る。車は流石に信号無視しないかな。日本にいる時、車と歩行者が同時に来た時に安全に通行するために信号がある、だから車が来てない時は別に渡ってもいいのでは?と思っていた私はスペインで育ったのかもしれない。ただスペインはチカチカに厳しい。車が青になった瞬間、歩行者がいようがいまいが発進してくるのである。赤よりチカチカの方が危ない。ただスペインに来てから信号無視はしていない。信号を守る国のプライドが許さなかった。今日の日記にぶち込んだのはチカチカで恐怖を感じたからである。チカチカが終わるくらいに発信して来た鬼せっかちな奴がいた。スペインはせっかちな人が多いかもしれない。電車のドアは手動で開けるのだが、電車が止まるくらいの時にボタンを連打、レバーを回す、日常茶飯事である。こんなに働いている姿を見ないのに、面白い国民性である。また今日は出かける際にスリ対策でいつも持っているハンドバッグを置いて来た。もう煩わしくてしょうがなかったのである。リュック1つで街に出た。信号待ちなどで後ろからやられるかもなと思ったので、対策方法を編み出した。止まっている間は体を揺らしておくのである。そしたらスリもファスナーを開けるのに苦労するだろう。リュックを裂かれたら終わりだが、そんなことを観光地でしてくるやつはいない。そこまでの覚悟で襲ってくるならあっぱれである。世界遺産からスタジアムに向かう途中でガビによく似た少年とすれ違った。絶対そっくりさんでテレビ出てるやん。そんなレベルだった。本物だったりしないかな。また電車に乗った際、席が空いたので座った。すると隣のおじさんが魚の水槽を洗う時の匂いがした。日記を書いている時にはどんな匂いか忘れてしまったが、薫った時は間違いなく水槽の匂いだとピンと来たことだけは覚えている。衝撃すぎた。席を立って移動するわけにもいかないので耐え忍んだ。コルネジャのスタジアム近くのメルカドーナに寄る。どハマりしている。もう立派なメルカドーナーである。ショッピングモール的な場所にあって、少し探すのに苦労したが、メルカドーナーなのですぐ見つけられた。2Lのオレンジジュースとパンを2つ買って350円ほど。安すぎ。炭酸のないオレンジジュースをやっと見つけた。これも嬉しい。スタジアムで美味しく頂きながら練習を見る。なんか流れで皓大と電話。今日の記録は2時間14分。帯同チームの練習が無ければもっと続いていただろう。とにかく同期がヤバいという話をした。なんか責任を感じる話も少しあった。申し訳ない。たわいもない話もして2週間後に呑みに行く約束をした。それをモチベに頑張ろう。あと彼のおかげでいつか私に印税が入るかもしれないらしい。楽しみである。

帯同チームの練習。今日はセットプレーを入念に行なっていた。過去2戦の相手とは異なり、かなり手強い相手らしい。セットプレーも重要になってくるだろう。ところがDFの対応がひどい。特にフリーキック。ジェラールも声を上げ、何度も指示をしていた。心配になる出来であった。その後は様々な要素を入れたシュート練習、ミニゲームで終了。スペイン人指導者の練習には驚かされる。そんなんどうやって思いつくんという練習がたまに見られる。シュート練習はまさにそうだった。刺激になる。練習後は今日もジェラールに駅まで送ってもらい、帰宅。今日は何故かディエゴと2人。彼は3年前にチリから来たらしい。スペイン人かと思っていた。やっぱ学びにくる指導者は多いんだな。3年でこの地位についているディエゴは多分めちゃくちゃ凄いやつだ。ディエゴと別れ帰宅。ボカディージョを平らげ、日記を書く。昨日のを書いていなかった。飛行機のフライト変更もエラーでできなかったので、日本時間の9時から受付しているエミレーツの電話にもかけないといけない。今日も夜は長い。明日は朝からバルサの育成年代を見に行くのに。結局寝たのは5時過ぎ。日程修正だけでいいと思っていたのに、飛行機キャンセルしなきゃいけなくなった。まじでミスった。夢は簡単には実現してくれないらしい。



22日目 


起床。4週間目突入。終わりも見えてきた。また色々やらなきゃいけない環境に戻らなくてはならない。友達がいた方がいいみたいなこと言った気がするが、1人で自由気ままに生活するのも悪くない。いやこれは春休みだからか。バルサの中学生を観に朝から出発。電車に乗ると隻眼の杖をついたお爺さんが乗ってきた。帽子も被っていて雰囲気がすごい。何かの黒幕に出てきそう。降りる駅はどこかと液晶画面を見ると、全然違う場所にいた。終わった。そう思ったが駅に書いてある表示を見てみると合っている。液晶が壊れていたのである。やり方がえげつない。放っておけるのもスペインクオリティである。周りを見渡すと確かにその液晶を見ている人は困惑し、周りを見ている。この人たちも観光客なのだろうな。かわいい奴らだ。バスに乗り換える。スペインも日本と同じく降りるボタンを押して降りる。なので降りる地点の前に、ボタンを押した。反応しない。このままでは確定で終点行きである。幸い他にも降りる人がいたので助かったが、次このバスに乗ったら抜け出せないのかもしれない。ただ初めて1人で異国で過ごす時間を持つと学ぶものである。まあとにかく現地人を見ること。真似をしておけば問題ない。観察眼は磨かれている。少しは淘汰から遠のいたかな。そしてバスを下車。私を降ろしてくれたバルサの服を着た少年についていく。その格好絶対バルサ行くよな?心配も他所に彼は真っ直ぐグラウンドに向かってくれた。警備員に話しかけられずに入場。コルネジャの服を着ていたので、なんとなくエンブレムを隠した。隣のグラウンドでバルサとコルネジャの小学生の試合がやっていたが、無視して奥のグラウンドへ向かう。バルサの新中2だと思われる目当ての試合に到着。確かに上手い、一方で身体能力の高さも目立った。試合もロースコアに落ち着き、締まったゲームであった。そこからバスでコルネジャに移動。バス内で猫ミームの音楽が流れてきた時はなんとも言えない感情になった。本当になんとも言えなかった。到着。バス停からスタジアムまで歩いていると桜が咲いていた。スペインでも桜が観られるとは。すると前から葉巻を吸いながら歩いてくるおばちゃん。イメージとしてはセニョール・ピンクが葉巻を咥えているような感じである。スペインに来てから1番ファンキーな人間にあったかもしれない。コルネジャのU17の試合が行われていたのだが、お腹が空きすぎてメルカドーナへ。土日は試合をずっと観ているので朝も昼も何も食べられないがち。この前食べたいと思っていた焼きそばを食べよう。そう思って焼きそばを手に取るとめちゃ冷たい。流石に温めたい。周りを見渡すと奥に電子レンジが見えた。完璧だね。気づいてよかった。クロワッサンも取って会計。電子レンジの場所に行くと並んでいる。まあ土曜日の昼なんだから混むよな、しゃーない。そう思っていたが、とてもありがたかった。なぜなら電子レンジには取手がなかったのである。開け方がわからん。観察。ボタンで開くタイプでした。ありがとう並び人。電子レンジの隣にフォークを見つけた。危な。手で食べる羽目になるところだった。何も考えてなかった。スタジアムに移動。試合を見ているとスタジアムの近くで発煙筒が焚かれていた。外国だ。青い煙がモクモクと空に上がる。さも先日見たレバークーゼンの試合である。ハーフタイム、前のおばちゃんがタバコを吸い始めた。風下にいた私は自動受動喫煙状態である。タバコの匂いはあまり得意ではないので、席を移動。すると、そこの目の前にいた中学生くらい?の子たちがブロスタをしていた。懐かしすぎる。ゲームは世界共通である。次の試合中に私の斜め後方に激アツいサポーターおじさんが出現した。大声で審判に文句を言ったり、プレーに関して何か言っていたり。日本に居たらめちゃくちゃ浮いて怪訝な顔で見られるのだろうな、そう思った。すると周りのスペイン人も振り返って彼の顔を見る。中には怪訝な顔もするおじさんも居た。ちゃんとこちらでも浮いていました。マナーは守りましょうね。ようやく帯同チームの集合時間。めちゃくちゃ酔っているお兄さんに絡まれかけながら、マルティンたちに会いに行く。選手の集合までは時間があるので、マルティン達と試合を観る。チームスタッフは4人。マルティン、ジェラール、ホセルイス、後は仙人みたいなおじさん。ワンピースでいうとドンチンジャオである。マジで似ている。彼がムードメーカーみたいである、彼らはずっと笑い合っている。雰囲気が良すぎる。私が同期といるような感覚なのだろう。客観的に見ると笑いすぎだろとなるのですね。やはり指導者が楽しむ、これをスペインは大切にしているようである。その後、選手と挨拶する。するとホセルイスとチンジャオがロッカールームから出ていった。なんとなくついて行くと、スタジアム内にあるカフェでコーヒーを飲み始めた。私もカフェコンレチェ(ほぼカフェオレ)を奢ってもらった。ありがとうチンジャオ。実はこれまた私はコーヒーが得意でない。なのになぜカフェオレを頼んだのでしょうか。理由はスペインのカフェのメニューでそれしか知らなかったからである。カフェではクロワッサンしか食べてこなかったが、白石さんがよく頼んでいた、カフェコンレチェだけ知っていた。多分英語は通じないので、メニューを見せてくれなんて言えないし、何より待たせたくなかったので、必然的にそうなった。砂糖を入れまくったら意外と飲める。マルティンも合流し、笑いながら飲んでいた。試合前よな?飲み終わり、ロッカールームに向かう途中にチンジャオが英語で話してくれた。帯同チームのとある選手がバルサにステップアップするらしい。確定なのかスカウトが来ているのかは分からないが、そういう未来があるらしい。その彼は確かに上手い。こういうレベルなのだな、バルサって。冗談をいつも言っているマルティンが真剣な顔でフェイクではないよと言っていたので本当だろう。凄いところで学ばせてもらってるわ。さてアップも終わり、試合前。先週追い出されたベンチ、今週はどうするのだろう。ジェラールに聞くとWe will try again.みたいなことを言われた。なんかかっこよかった。もちろん何もするなと言われているから座って、ただひたすら座って試合を観ていた。メモも取らないし、リアクションもしない。めっちゃ寒かった。あのアツい試合で1人だけ。先週とは違っていろんなものが見れた。ハイプレスに行った結果不安定な部分もあったが、なんとかスコアレスで前半を終える。マルティンが熱くミーティングをしている。さっきおかしくなるくらい大爆笑をしていた彼はそこにはいない。この試合、DFが前に出てプレスをかける形を採用しているのだが、少しタイミングが遅れ気味で、周りのカバーも遅れ気味になるという現象が出ていた。スペイン語なので詳しくはわからなかったが、1週間やってきたことの確認、そして何より勇気を出すこと、それを熱く語っていた、のだと思う。選手にとってメンタルはプレーにおいて非常に大事な要素である。バルセロナに来て1番に学んだのはその部分である。マルティンとジェラールはその部分に非常に長けている。最高の指導者を近くで見られてよかった。後半も目立たないようにベンチに座る。続く一進一退の攻防、どちらも前線でボールが収まらず、中盤でボールが落ち着かない展開が続く。試合は40分ハーフの80分制。スコアレスのまま終盤。70分を過ぎたころPKを獲得。大盛り上がり。流石に審判も見ていなかっただろう。思わず片手でガッツポーズをしてしまった。キッカーはエースのファリ。力強いキックを左隅に沈める。ベンチから全員飛び出してゴールを祝う。私は座ったまま拍手。この時点で格別の喜び。残り数分。DFの枚数を5枚にして守備を固める。攻め込まれ続ける中、相手のコーナーキック。前の判定に対して不満を見せていた選手達の隙をついて相手が早いリスタート。なんとこれがゴールに。盛り上がる相手ベンチ。ペットボトルを蹴飛ばすコルネジャのベンチ選手。それもそうだろうコルネジャは今季負け無しの上位チーム。引き分けで終わるだけでも価値がある。試合は80分。残るはアディショナルタイム。試合再開後から全力でプレス。ここで見せてくれたのが推し選手のアマドール。中盤でボールを奪うとドリブルで左サイド深い位置まで侵入。逆サイドにクロスを上げる。折り返したところを混戦の中で押し込む。歓声に沸くスタジアム。私は立ち上がって両手でガッツポーズ。マルティンたちと抱き合う。人生の中でも有数の喜び。私はすっかりこのチームが大好きになってしまったようだ。当然のように涙が出てきた。慌てて拭く。脳汁が溢れ出て昇天しそうだった。キックオフの後すぐに試合終了。スタジアムも大盛り上がり。チームの雰囲気も最高。試合後に選手全員とハイタッチした。ロッカールームでももちろん大盛り上がり。マルティンも混ざって、喜んでいる。ペットボトルを蹴飛ばした彼もそんな行いは忘れているだろう。ちなみに蹴飛ばしたペットボトルはすぐに自分で拾いに行っていた。可愛いやつだ。最高の瞬間すぎて思わず動画に収めてしまった。なんとなくストーリーにも上げた。スポーツは素晴らしい。興奮冷めやらぬ中、次の試合も観戦して帰宅。スペインではLUUPのような乗り物が普及している。子供たちは個人のキックボードを持っている子もいる。試合が終わるに合わせてブイーンという音と共に帰っていくのである。あれ欲しい。逆に自転車はほぼ見ない。レンタルで何箇所かに置いてあるだけである。日本とキックボードと自転車の立場が反対なのである。帰りは明日どの試合を観にいくか、来週はどの試合を観にいくかをずっと考えながら帰った。本当に朝から晩までどこでもやっているのである。人々の娯楽もサッカーなので、スペインにラウンドワンを作ったらバカウケするのではないだろうか。家に帰って夕食を食べる。その後飛行機の変更をした。元々夜に帰る予定だったのだが、昼に帰れることになった。カラオケでも行って家系ラーメン食べたろ。インスタを見ると何件かフォローリクエストが来ていた。こんな時間に誰だろう。見てみると帯同チームの選手たちだった。鍵垢なのにどうやって見つけたのだろう。まあでも認められたようで嬉しいものである。毎日笑顔で挨拶しているといいことありますね。中には動画ちょうだいって英語で言ってくれるやつもいた。テンションが上がって町田とガンバの試合を少し見たところで体力切れを起こして寝落ち。気持ちよく眠れた。

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