初志貫徹

後藤優果(2年/スタッフ/高崎北高等学校)

私が初めてサッカーに出会ったのは、まだ保育園に通っていた頃だった。田舎の保育園は校庭が広く、子どもたちが思い切り体を動かすのに十分な環境が整っていた。気づけば私は毎日のようにサッカーボールを追いかけて過ごしていた。男子の中に混ざってボールを蹴っていても一番うまいと思えるくらいの自信さえあった。卒園式で一人ずつ将来の夢を語る場面では、迷わず「もっとサッカーが上手くなりたい！」と叫んだことを今でも覚えている。

小学校高学年、ずっと我慢していたけど男子と混ざってサッカーをすることに耐えられなくなった。試合中、男子が気を遣ってるのはわかっていたし中学生になると体格差はさらに出るだろうし。もともと結果を残せてる訳でも上手い訳でもなく、ただただサッカーが好きという理由だけで続けられてきただけだった。中学は女子サッカー部はなかったし、クラブチームでやる気力もなくもう少しで卒団式という時にやめてしまった。

中学高校は、サッカーからかけ離れた生活を送っていた。初志貫徹とは程遠い日々を過ごしていたと思う。いつも自分にとって楽な道、楽しい方を選んできた。それはそれで悪いことではなかった。友達にも恵まれて、笑って過ごせる時間はたくさんあったし、後悔があるわけでもない。しかし、連日流れるコロナの影響で大会がなくなったという報道。画面の向こうで悔し涙を流す知りもしない同世代。大会がなくなり、なんにも感情が動かなかった自分が嫌になった。思えばあの時サッカーを続ける方法なんていくらでもあった。男子のせいにして逃げたのは自覚していた。

いつの間にかそんなことも忘れ、大学一年も終わる頃。バイトで知り合った酒井さんが東京大学ア式蹴球部を教えてくれた。マネージャーをやるような性格でもないし大学生になって部活というものに抵抗があった私は入る未来を想像できなかった。でもあの時逃げるようにやめたサッカーをマネージャーとしてだけどちゃんと綺麗に終わりにしたかった。ずっと楽な方楽しい方を選択してきた私にとって好きだったサッカーくらい最後までやりきりたかったのだと思う。

入部して3ヶ月、思ったよりマネージャーは大変と感じるが、この素晴らしい環境でマネージャーとして所属できることに感謝している。いつ行っても真面目に取り組んでいる選手たちを見ると私も頑張ろうと思えてくる。2年生の6月という遅くて微妙なタイミングで入ったにも関わらず快く受け入れてくれるみなさんのおかげで、毎日が楽しくなった。このまま初心を忘れずに最後まで続けて頑張りたい。