久遠の道に 標の光
甲斐田健太(1年/MF/ラ・サール高校)
ア式に入ってはや半年、Feelingsを書く時がやってきた。
Feelingsの存在はかねてから知っており、いくつかの作品を読んでいるので大体どんな感じかよくわかっている。書いた人がどういう人生を歩んできて、普段何を考えているのかが少しわかるようになる気がしている。
面白い文章や戦術論を語るのもまた一つだが、自分の持ち合わせている文章力と頭脳を考慮すると、おとなしくこれまでの人生を振り返り、少しでも自分のことを知ってもらう方がよさそうな気がする。
面白い文章や戦術論を語るのもまた一つだが、自分の持ち合わせている文章力と頭脳を考慮すると、おとなしくこれまでの人生を振り返り、少しでも自分のことを知ってもらう方がよさそうな気がする。
現時点での自分のサッカー人生を振り返ってみて、その要素は何だろうかと考えたとき、小学校3年~5年よりも、大部分を占めているのは、ラ・サールであった。
そう、私はあのラ・サール出身なのである。
こう書くと、かつて類い稀な文章力で旧ツイッター民に衝撃を与え、現在のア式にもその名を轟かす自称「Y」さんを思い出す人もいると思われるが、ラ・サール生がみなあのような優れた文を書くわけではない、ということだけここでは伝えておきたい。
何が大部分を占めているのかははっきりとはわからない。ただ、鹿児島、カトリック、男子校、スマホ禁止の寮、といった具合の説明をするだけで伝わるであろうカオスさが、それまでの平和な人生に一時のバグをもたらすような力を持っていたのだと思う。
考えてみれば、ラ・サールでの6年間はサッカーにあふれていた。朝起きて学校に行き、授業が終われば部活をする。暇な休日は朝起きてサッカーをし、昼飯を食べたらサッカーをし、コンビニでアイスを食べ、夕方からの*日曜サッカー部に備える。テスト期間さえ、一日の終わりにはサッカーをし、学校の先生に叱られれば寮に戻って廊下で*スリッパサッカーをし、それもダメなら部屋でサッカーダイジェストを読む。サッカーの実力が時間だけで決まるとしたら、全国大会に進めるんじゃないかと思ってしまうようなストイックぶりである。(まさか、映画やラウワンに飽きてサッカーくらいしかすることがなかったというわけではあるまい)
*日曜サッカー部…平日はそれぞれの活動に従事し、日曜にサッカーをする人の総称
*スリッパサッカー…スリッパをボールに見立てて裸足で行うラ・サール寮で人気の遊び。明確なルールがないので怪我人が出る。
一方で、部活においては、それなりに真面目にやり切ったと思っている。
最弱ラ・サール軍団も、勝てないフィジカルでの勝負をあきらめ、フットサル仕込みの個人戦術を活かして、県内最弱のレッテルをはがしつつあり、強豪相手には、例の神頼み戦法(YさんのFeelingsより)を駆使して善戦した。結果的には、神への信仰が少し足りなかったということになってしまったが。
結果的に、ラ・サールでの6年間はサッカーを純粋に楽しむことができた。
それは、ラントレや筋トレといった「苦行」がなかったからかもしれないし、高校サッカーでは珍しく、監督が「フットボールの戦術」を教えてくれたからかもしれない。いずれも、頭ではわかっているが体がついてこない、という今の状況に直結しているのだから、ラ・サールでのサッカーは経験は、良くも悪くも生きている、と言えよう。
そんな風にのびのびとサッカーをしていた私が、サッカーを嫌いになるはずがなく、大学に入っても、吸い込まれるようにア式に入部していた。ピッチ外活動に加え、ア式のサッカーの戦術的要素は少なからず魅力的であった。もしラ・サールで戦術の魅力に気づいていなかったら、もしア式のサッカーがボカンボカン蹴るだけのサッカーだったら、もし東大に入れてなかったら……
基礎の重要性を身をもって感じたのは新入生練が終わったころ。技術、スピード、キレ、体幹、筋力、すべてが不足していると思った。みんな自分が想像していたよりずっと上手くて、そんな環境に身を置けることが幸せだと思った。
一方で、話をしていたりプレーする中で、今まで学んできた戦術がア式と合ってそうだなというのは実感している。これからもここを自分の強みにしていきたいし、あくまで理想だが、「頭で勝つ」選手になりたいという気持ちは昔からある。
高校でのサッカーは完全燃焼だった。
ただサッカーがしたくてア式に入った。思った以上にきつそうだった。
しかしそこでまだうまくなれる可能性を見つけた。
それなら、やってみるしかない。
今年は「基礎能力を上げて試合に絡む」を目標に頑張ってみようと思う。
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