失った熱を、もう一度

エイシー埜亜ミチオ(1年/DF/横浜翠嵐高校)


はじめまして。一年プレイヤーのエイシーです。初めてのfeelingsでは自分の今までのサッカー人生を振り返ってア式に入部しようと思った経緯を書こうと思います。ア式に入って9ヶ月ほど経ち、いろいろなことがありましたがそれは次のfeelingsで書こうと思います(次のfeelingsのネタが少なくなってしまうので)。色々思い出しながら書いたので、少しまとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

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あれは、まだ幼稚園生のとき。偶然、近所の小学校の横を車で通りかかった。校庭に目を向けると、そこでは地元のサッカークラブが練習をしていた。夕暮れの校庭を駆け回り、夢中になってボールを追いかける自分と同じくらいの年齢の子たち。その姿を見た私は、親に「あそこでサッカーがしたい」とお願いをした。


その頃の記憶は、今となってはほとんど残っていない。何をして過ごしていたのか、どんな日々を送っていたのかも曖昧だ。それでも、あの校庭でサッカーをする人たちを見て、自分もあの輪の中に入りたいと思ったことだけは、不思議なほど鮮明に覚えている。振り返れば、あの瞬間が、私とサッカーとの長い付き合いの始まりだった。


クラブに入ったばかりの頃は、ただボールを蹴ることが楽しかった。上手くなりたい、試合に勝ちたいという思いよりも、仲間と一緒に走り、ボールを追いかけることそのものが純粋に楽しい。私が入った当初は少なかった同学年の仲間も、少しずつ増えていった。気の合う仲間と肩を並べ、コーチの指導を受けながら練習に励む。その時間が、当たり前のように日常の一部となっていった。


練習のない日でさえ、私たちの頭の中からサッカーが離れることはない。放課後になると公園に集まり、誰からともなくボールを蹴り始める。気がつけば時間は過ぎ、空が暗くなり、ボールを追うことさえ難しくなる。あの頃の私は、夢中になるということを知らず知らずのうちに経験していた。
 
そんなある日、試合の予定がなかった私は、ふと高学年の試合を見てみたいと思い、試合会場となっていた近くの河川敷まで足を運んだ。自分が試合に出たいなどとは、そのとき考えてもいなかった。ただ、年上の選手たちがどんなプレーをするのか見てみたかったのだと思う。ところが、そこで思いがけない出来事が起こる。周りの選手たちより一回り小さかった私に、コーチが声をかけ、試合に出してくれたのだ。今振り返れば、偶然だったのか、それとも何かを感じ取ってもらえたのかは分からない。ただ、その出来事を境に、私は時々、一つ上、二つ上の学年の試合に出させてもらうようになる。


年上の選手たちに混ざってプレーすることは、当時の私にとって大きな刺激となった。同じ学年なら通用していたはずのドリブルが簡単に止められ、ボールを受ける前の判断が少し遅れるだけで置いていかれる。年上の選手たちとプレーするたび、自分の当たり前が通用しないことを思い知らされた。


そうした経験を重ね、高学年になると、私は県の選抜選手に選ばれるようになった。そこでは、それまでの自分の実力だけでは到底経験できなかったような環境に身を置かせてもらう。中でも大きな経験となったのが、FFP(フットボールフューチャープログラム)だ。自分のチームには、後に選手権で得点王を獲得する選手、高校卒業後すぐにプロの世界へ進む選手、大学で関東一部を舞台に戦う選手たちがいた。


他県の選抜チームと戦うその舞台で、私は自分の立ち位置を思い知らされた。いわば「井の中の蛙」だった私は、自分より速く、身体が大きく、そして上手い選手たちで溢れる環境に圧倒された。自チームの中でも足手まといになっているように感じ、正直、めちゃくちゃ悔しかった。それでも、その悔しさは「もっと上手くなりたい」という思いへと変わっていった。自分の知らない世界を目の前にして、初めて、もっと先までサッカーを続けてみたいと思えたのだ。


それでも、サッカーへの熱は少しずつ薄れていった。何か大きなきっかけがあったわけではない。初めて自分の携帯を持ち、新しい友達ができ、行動範囲が広がる。サッカー以外の世界を知るにつれて、気づけば、あれほど夢中だったサッカーが日常の中心ではなくなっていた。生活そのものが大きく変化する中で、幼い頃に抱いていたサッカーへの熱を、そのまま持ち続けることはできなかった。


とはいえ、サッカーの面白さを見失ったわけではない。サッカーそのものを嫌いになったわけではなかった。中学、高校では仲間にも恵まれ、部活動が苦しいと感じることもほとんどなかった。みんなで練習して、試合をして、くだらないことで笑う。そんな時間は変わらず好きだった。


ただ、以前とは一つだけ違っていた。「もっと上手くなりたい」という気持ちが、いつの間にかなくなってた。
(書いていて、小学生の頃と中学、高校でこんなに文章量が違うことに自分でも驚いた。おそらく、サッカーへの思いの違いが如実に表れているのだろう。)


高校で部活動を引退してから、数ヶ月が過ぎた頃。久しぶりに、幼い頃に抱いていたあの気持ちを思い出す出来事があった。それが、高校サッカー選手権だった。


かつて選抜で同じコートに立ち、自分と切磋琢磨していた選手たちが、今度は全国の舞台で戦っている。共通テストを目前に控えた時期にもかかわらず、私は試合の配信に釘付けになった。重たい空気が漂う自習室の中、一人、画面の向こうで躍動する彼らの姿に胸を熱くさせられる、と同時に彼らと自分を比較してしまっていた。


ーーもしサッカーをしっかり続けていたら自分も画面の向こう側でサッカーができていたのだろうか?ただ座って見ることしかできていない自分は今まで何をやってきたのだろうか?ーー
そんなことを考えていた時、忘れていた気持ちが蘇った。
 「もう一度、本気でサッカーがしたい。」
 「サッカーが上手くなりたい」
ア式はそんな自分にとって理想の環境だった。週6で人工芝でサッカーができる、みんなが真剣にサッカー向き合うその環境に身を置きたいと強く思った。


あの日、校庭の向こう側にいた選手たちを見て「自分もあそこでサッカーがしたい」と思った幼稚園生は、今、東大の人工芝の上でサッカーをしている。
あの頃の自分が今の自分を見たら、どう思うのだろう。
四年生になったとき、どんな選手になっているのか。今はまだ分からない。ただ、あの頃と同じように、夢中になってボールを追いかけていたい。

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