友かつ敵

八代快(3年/DF/麻布高校)


Feelings=気持ち・感情・想い


普段は隠している情熱や悩みを部員が綴り、部員や関係者に訴えかける。部内ブログでありながら外部の人から見ても魅力があるコンテンツ、だと思う。自分も高校生の頃からfeelingsを読み、ア式部員一人一人の内に秘めた熱さに感服。入部を目指す原動力の一つになったものだった。ア式に入ってからも、読むたびに部員の新たな一面が見え、刺激がもらえる。

そんな自分にも一年半ぶりに執筆依頼がやってきた。何を書こう。普段は言わない想い、悩み、、、 

何も無い。

これは考え、感情、エピソード、自己についての全てをベラベラ人に喋る性格のせいだ。多分。いいことがあったらすぐに自慢するし、悩みや不満は他人に吐き出す、そんな生き方をしてきた。部活に対しての要求や感謝、様々な想いがないわけでは無いが、副将である以上普段の練習やミーティングなどの場で発信すべきだと思う。だからここでは差し控えさせていただく。

ということで今回は自分についてではなく、ある友人について話そうと思う。彼への感謝とリスペクト。個人的な文章なので読み飛ばす人はどうぞ。

彼と出会ったのは中1の4月、初授業日。放課後、サッカーをしに行った公園でだった。色黒。背は小さい。童顔。何より印象的なのが普段着として日本代表のユニフォームを着ていたこと。サッカー部で同期になるんだろうなあ、うまそうだなあと思った。あんま上手くなかった。

けどそこから部活一緒になってわかったのは本当にいいやつってこと。真面目で好青年。クールで仕事できるけど時々言語障害。文化祭実行委員会でも一緒だったし、中2の時はクラスメイト。そりゃ仲良くなる。一緒にサッカーして、プレミアの話して、だらだら遊んで、時々言い合ったりもして。高校に入ったら副キャプテンになって自分を助けてくれた。部の仕事もほとんどやってくれたし練習メニューも一緒に考えたりした。その頃から戦術に対する理解が深くて、サッカーをよく知っている雰囲気があった。サッカー談義を頻繁にしてたけど、あっちの知識がすごいからちょくちょく知ったかぶりして答えてた。自分がスタメンを決めていたから、使ってやれない時は申し訳なかった。

そんなこんなで気づいたら高3。春の総体予選、代としては最後の大会。2次予選出場決定戦で負けた。強豪とは言え互角以上に戦える試合だった。結局自分の代で都大会には一回もいけなかった。ただただ悔しかった。何も成し遂げられないまま引退したくなかった。だから選手権まで残ることをその日中に決めた。たとえ自分だけしか残らなくても夏まで続けることにした。ただ同期が引退していく中で、高3ひとりで練習に出た数日間はやはり寂しいものだった。後悔はしていないが、1人でも夏まで残るという覚悟が少し揺らいでいた、そんな時に彼(ともう一人、こいつにも感謝)が残ることを決めてくれた。嬉しかったしホッとした。そこから選手権までは勉強しながらではあったが、結構サッカーを楽しめた。受験への不安とか後輩への不満とか色々あったけど、妥協をせずにサッカーに向き合えたと思う。何より彼がいることで、精神的に大きく支えられた。結果的に選手権では目標を果たせず、悔しい負け方となったが、自分の人生の中でも有数の充実した期間だった。

そこから半年、受験を経て自分は東大へ、彼は一橋大学に入学した。自分は迷うことなくア式にプレイヤーとして入ったが、彼は腰の怪我を理由にスタッフとして一橋ア式に入った。これを聞いた時、彼の腰の具合をよく知らなかったこともあるが、彼が大学サッカーで通用しないことにびびってスタッフになったのかと疑ってしまった。またスタッフになったのもサッカーが高校の時より好きではなくなったからではないかとも思い、少し残念だった。

けどそれは違った。彼はサッカーがとんでもなく好きで、そのサッカーを最大限楽しむため、部に最大限貢献するためにこそスタッフの道を選んだのだった。それがわかったのは2年になってからだった。彼は戸田さんの右腕としてBチームの指導を担当することになった。一端の2年生スタッフがBとは言え4年までいるチームをマネジメントするのはとてつもなく大変だと思う。次の日の練習作成に追われたりしていたし、よくきついと言っていた。しかし自分が受け持つチームの話をする彼は生き生きとしていた。プロの試合も自分の比にならないほど見ていたし、サッカーへの熱量は少なくとも自分の周りにいる誰よりもすごい。遼さんに近い雰囲気を感じる時さえある。身近な人がこれだけサッカーを好きだと刺激を受けることも少なくない。面白かったと言っていた試合は後で見たりするし、都リーグの話をしていても「なるほど」と思うことがよくある。普段は俺の方がサッカー知ってる感出してるけど。

そして今年、彼は一橋ア式の学生監督になった。指揮官だ。戸田さんの後釜だ。すごすぎる。もちろんとてつもないチャレンジだと思う。失敗するかもしれないし、彼の頑張りすぎてしまう癖が心配になったりもする。けどそんなチャレンジに立ち向かう彼を尊敬する。普段あまり人を褒めることはないが、君だけは間違いなく麻布サッカー部の誇りだ。

そして自分たちが最下位で1部から降格してきたことにより、今年は2部で彼が率いる一橋と対戦することになる。正直、燃えないわけがない。もちろんチームの目標は優勝だし、リーグ戦だから目の前の1試合に集中しなきゃいけないこともわかっている。だけど、どうしても5月末の一橋戦を意識してしまう。彼に感謝し、尊敬しているからこそ、正面から圧倒したい。ぶっ潰したい。今の自分にとって、彼はかけがえのない友であり、一番の敵だ。

ということで5月29日、東大vs一橋、バチバチになること間違いなしなので、乞うご期待。

一橋の秘密兵器、62番にも注目です。

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