ア式には沼がある
柏木琴葉(1年/スタッフ/不二聖心女子学院高校)
今までの人生でサッカーと深く関わることがなかった。父がテレビで試合観戦をしている傍らで一緒に観ていたり、幼稚園で少し習っていたり、体育の授業で触れた程度である。
中学、高校の6年間は吹奏楽部に所属していた。通っていた小学校では、運動会で鼓笛を披露する機会があった。そのため1年強トランペットを吹いた経験や部の雰囲気が良かったことから入部を決めた。一般的に吹奏楽部と聞くと、コンクールを目指して練習をするイメージがあると思うが、私の通っていた学校はコンクールに参加していない。活動も普段は週に2回程で、体育祭や文化祭での発表が近づくと毎日の練習があったが、基本的に楽しく活動していた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、高校2・3年生の文化祭での生演奏は中止となり、演奏を事前に録画した動画配信での発表となった。吹奏楽は演奏しているうちに会場が徐々に一体となっていくことが醍醐味だが、動画だとそれを味わうことが難しく、高校生活最後の文化祭は不完全燃焼に終わった。
進学する大学に吹奏楽部が無いことから、大学生になったら新しいことに挑戦しようと思っていた。ある日、友達がア式に見学に行くと知り、一緒に行きたいと伝えてみた。数日後グラウンドに足を運び、ア式の雰囲気に魅了された。「サッカーのルールもよく知らない私に、歴史あるア式のマネージャーが務まるだろうか」とためらいもあり、すぐに入部を決断できなかったが、挑戦してみることにした。
先日、同期の選手からマネージャーは楽しい?と質問された。その時は楽しいことは伝えられたものの、理由をうまく伝えきれなかった。実際、マネージャーの業務はとても楽しく充実している。入部したての頃はシフトの度にヘトヘトになり、辛く感じることもあった。そんな辛いと感じていた生活がなぜ楽しいと即答できるようになったのだろうか?それはア式の魅力の沼にハマってしまったからである。しかし部員歴数ヶ月の私が発見している魅力はごく僅かだろう。選手が毎日真剣に練習している姿、それを支えるスタッフの姿に「私も頑張ろう」という活力が湧いてくる。悲しいことがあった日に部活に行くと、そのことを忘れるほど楽しく、心が落ち着く自分の場所を見つけた。ア式沼からは抜け出せないし、沼はより深くなるに違いないと確信している。
突然だが、ア式に出会っていなかったら今頃は何をしているのだろう?こう考えてみるが想像もつかない。しかしあの時、友達に見学に行きたいということを伝えていなかったらア式に出会っていなかったということは明確だ。少しの勇気を振り絞ってみて良かったと思える瞬間だ。
最近先輩方からユニット活動のお誘いをいただく機会が増えた。正直、全ての業務をしっかりと務められるのか不安な気持ちでいっぱいであるが、気になったことは挑戦したいという気持ちが勝るのだ。入部式で文武両道を目指すというお言葉をいただいた。私なりに「文部両道(造語)」を目指し、これから私のア式物語を描けるよう頑張ろうと思う。
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