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何者

松井誠杜(4年/テクニカルスタッフ・実況/智弁学園和歌山高校) 時の流れは早いもので、卒部してからおよそ 3 ヶ月が経った。最終戦の日は少し感傷的になったものだが、今は部活がないなりにそこそこ楽しく毎日を過ごしている。前回 feelings で、ア式のない生活を「新たな惰性の流れに身を置いてそれなりに生きていくだろう」と書いていたが、まさに予言通りである。     それでもふと、ア式のない日々に張り合いのなさを感じ、現役のみんなを羨ましく思うこともある。しかしこれから研究に就活に忙しくなる毎日の中で、このような感情は忘れ去ってしまうのかもしれない。そこで、悲しいかな少しずつ忘れていく運命にあるア式生活を記録し記憶に留めておくため、 4 年間のア式生活の総まとめとして feelings を書かせていただこうと思う。これまでは feelings の名の通り、主に「今考えていること」を文章にしたためてきた。でも今回は最終回ということで、これまでのア式生活を細かく振り返り、あまり人に話してこなかったその時々の心情も含めてできるだけさらけ出そうと思う。あくまで自分のための feelings になっていることをご容赦願いたい。                     2019 年 4 月。長いテント列を前に思いは一つ。   「何かこれまでの人生で触れたことのない世界に足を踏み入れたい」       ア式蹴球部は最初から 5 番目ぐらいであっただろうか。プレー経験がないことを伝えると、前年の W 杯を観たかと食い下がってきた。正直めんどくさかったが、運悪く(運良く?)日本代表の試合は全て観ていたために、テントへと引きずり込まれた。     そこにはマネージャーと思しき小柄な女性が一人。彼女は、対戦相手や自分のチームの分析を担当しているといい、当時使っていた分析ソフトの画面なんかも見せながらいろいろと説明してくれた。内容は記憶の彼方に消えてしまったが、分析オモロそうやなと思ったことだけは覚えている。要らん繋がりを持つ...

惰性

  「どうして今あなたはア式にいるのですか?」 「うーん、そう言われても困るなあ。惰性ですかねえ」 僕にはこんな歯切れの悪い答えしか出てこない。 基本的にア式の人たちはこの質問に「サッカーが好きで楽しいから」と答えると思われるが、僕はちょっと違う(決してサッカーが嫌いというわけではない)。そもそもア式を選んだ理由だって「今までの人生にはなかった新しい世界を知りたい」というものだったし、正直ア式はしっくりは来たがそこに必然性はなかった。 そこから 2 年間、大好きなスポーツに全力で取り組む人たちの横に、胸張って好きとはいえないヤツが 1 人。みんなに比べて真剣にサッカーと向き合えなくて、漫然とこの集団の中にいるのを申し訳なく思ったこともある。そりゃなんで続けてんねんって自分でも思うし、思われてもいるかもしれない。考えても何もなく、とうとう行き着く先は惰性である。 ここで惰性について少し考えてみよう。試しに今までの人生を振り返ると、中高でめちゃくちゃ勉強頑張ってたのも惰性といえるかもしれない。勉強が楽しいっていうよりかは、それまでも勉強してたし、智辯に入った以上は勉強するのが当たり前だと思っていたところが大きかった。しかも周りの友人も勉強しているという環境だったので、ガリガリ勉強することに疑問を持ったことはなかった。 そうして晴れて東大に合格し、ずっと進みたいと思っていた薬学部にもたどり着いたわけだが。ではそんな薬学部の授業を、僕は今どんな心持ちで受けているか? 興味を持って聞けているところもあるが、必ずしも前向きとはいえないし、単位を取るための勉強しかしていない。 こうして考えてみたら、僕なんて人は、どういう世界に身を置いたって所詮は惰性に流されるような人間なのだろう。それはいい方にも悪い方にも転がりうるが、気づいたら流されているということは事実だ。まあ惰性の意味が「これまでの習慣や勢い(大辞泉)」だということを考えると、やり続ける中で「したい」が薄れてしまったとき、新鮮味が消えかけているとき、何事も惰性になってしまうのかもしれない。 じゃあもうそれはそれで仕方ない。割り切って、今まさに流されている惰性に身を任せ、その中に都度やりがいや楽しみを見いだしたり、今まで見えていなかった自分自身の新たな一面を知る体験をしたりするのも悪くないのではないか。何したって惰性...

一人前のテクニカルスタッフ

サッカー経験もろくになく、観戦も「サッカー<野球」の僕がア式に入って早 6 か月。ルールは知ってるが戦術は全くわからないという入部当初に比べれば、先輩やコーチの助けもあってちょっとは見れるようになったかなと思う。 8 月からは、 1 年生ながら幸運なことに育成チームの分析発表をさせてもらえることになった。まあ発表といってもテーマにそって僕が映像を見せて、コーチからどこが良かった悪かったっていうのを聞いて勉強する、いわば僕に経験を積ませるためのものである。 最初のうちは、僕が事前に考えてきたポイントが全く的外れで、ただただコーチの言うことを聞くって感じだったのが、回を重ねるごとに少しずつ僕の考えが一致することも出始めた(今でも的外れな時もあるが)。自分がちょっとずつではあるが成長しているのを実感できるのが嬉しかったし、こんな貴重な経験をさせてもらえてるのがありがたかった。 そんな夏休みの終わり頃( 9 月中旬)、コーチに「次からは悪いプレーした選手に 1 人ずつ指導していこう」と言われた。まだそのレベルには達してないんじゃ?とも思いつつ、これもいい経験やし前向きにやろうと思った。 しかしいざやってみても、説明はたどたどしく、そばで聞いてるコーチの補足で納得させるということが続いた。どうせ僕の説明なんかコーチの言ったことの受け売りなんやし、正しいこと言ってるんやから堂々としてればいいのに、なんか自信が持てない。それにやはり選手に説明するとなると、「選手やったこともないくせに、偉そうに選手に説明なんておこがましいんじゃないだろうか … 」と自分に選手経験のないことに引け目を感じてしまう。そんな思考回路になっていた。 このとき、今までなんとなくしか感じていなかった実力不足を、はっきりと実感した。まず自信を持って言わないと、選手は納得しないだろう。そして自信持って言えるようにするには、実力をつけるしかない。実力をつけるには、たくさんの試合を見て経験を積むしかない。その結果正しいことを選手に伝えられるのであれば、プレイヤーとしての経験は関係ない。 でも今の僕が確かな実力をつけるにはまだ時間がかかるだろう。 4 年生になるまでに十分な力を身につけられるかもわからない。でも、これからも先輩やコーチの言葉を吸収し、育成チームの分析...