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賽の河原

4年 田中秀樹  あぁ、まただ….     彼はいつものように侮蔑の表情を浮かべ、石を積む私の元へ歩いてくる。そして、私が積み上げた石の前に立つと、無残にもそれを叩き壊し、立ち去る。     私は崩れた落ちた石を拾い上げ、また積み上げる。もう何度目かわからない。それでも私は石を積む。     今回は上手くやれるかもしれない。     そう思った矢先、彼はどこからともなく現れ、またそれを破壊する。     現れては壊し、現れては壊す。     そこには残骸しか残らない。     いったい何故こんな罰を受けさせられているのだろうか。     そう嘆きながら、私はひたすら同じことを繰り返すが、結局は無駄になる。           もう積まなくてもいっか…                                                         いつも思い出すのは少年時代である。小学校1年の頃に地域のサッカーチームに入り、私のサッカー人生がスタートした。 今では笑い話だが、当時は足が速く、6年生の時には身長が160を超え、フィジカルに頼ったプレーをしていた。上手くもないし、頭を使っているわけでもないが、それでもある程度は活躍できた。     早熟なのは見て明らかであり、周りの大人達は将来フィジカルで戦えなくなった時のことを心配した。そして技術を身につけることを私に勧めた。 しかし私はその必要性を感じつつ、気付けば他のことをしてしまっていた。細かいことが苦手だった私にとって、足元の技術を身につける練習はいささか退屈であったからである。     中学生になり、縁があって私はクラブチームに入団した。そこには上手い奴らがたくさんい...

彼らに学ぶ

いつも通りだ 今日も車内は満席 席が空くのを待って立っている人が数人 普段通りだと乗り換え駅に着くまで座れそうにない 漫然と外の景色を眺めるが、何百回と見たその景色にはもう飽きた 外の景色から目線を外す ふと、目の前に座る女性のバッグに目がとまった 普通は内側あるはずのライナーが外側に飛び出すデザイン カレンダーのように並ぶ数字 匿名的で非匿名的な四つタグがその脱構築の歴史を物語る 彼らは習慣に疑いの目を向け、既存の価値を分解し、 時には他の価値を取り入れながら新たな価値を再構築した 前後・裏表逆のジャケット、足袋ブーツ、ボロボロのニット、 ジャーマントレーナー… 分解と再構築の賜物は今なお燦然と輝く その業績が評価され、 歴史上世界で最も偉大なブランドの一つになっている 3月に行われた卒部式で前主将はこんなことを言っていた。 自らが進む道を疑うことが大事だと。 今私達が部活をやっているのは何故か、機会損失ではないか、 といった疑問を抱いた部員は少なくないと思うし、 もし考えたことない人がいれば今一度考えて欲しい。 既存の価値観の分解と新たな価値観の再構築 辞めるのであれ、続けるのであれ、 その判断は価値観の再構築であり、 その後の生活に新たな意味を与える。漫然と過ごすよりよっぽど。 人生だなんて大それた話だけではない。 たとえばプレーの一つをとってもそうだ。 ボールを受ける準備、受けた後の判断、思い描いたプレーの実行、 そのそれぞれに癖がある。 走る動作もそうだろう。基礎的な動作であるが、 改善の余地がほぼないと言える人はどれだけいるだろうか。 今の自分のプレーに、動作に疑いの目を向け、分解し、 悪いところがあればより良いものに取り替える。 そして次のプレーや動作を再構築する。 これが成長するということなのだろうが、 そんな簡単にいかないことは想像に難くない。 そもそも悪い癖があったとして、 それを直すべき癖だと認識することすらできないことも多々ある。 1人であればなおのこと。 これに関し、最近弊部ではslackで個人のチャンネルを作り、 そこでその人のプレーを批評している。 前から一緒に動画を見て批評しあったりはしてたが、 改めて場を設けたことにより前より要求は増えたし、 文字や切り取った映像として残るから振り返りやすい。 みんなで書き合う動画付きサッカーノート...