賽の河原
4年 田中秀樹 あぁ、まただ…. 彼はいつものように侮蔑の表情を浮かべ、石を積む私の元へ歩いてくる。そして、私が積み上げた石の前に立つと、無残にもそれを叩き壊し、立ち去る。 私は崩れた落ちた石を拾い上げ、また積み上げる。もう何度目かわからない。それでも私は石を積む。 今回は上手くやれるかもしれない。 そう思った矢先、彼はどこからともなく現れ、またそれを破壊する。 現れては壊し、現れては壊す。 そこには残骸しか残らない。 いったい何故こんな罰を受けさせられているのだろうか。 そう嘆きながら、私はひたすら同じことを繰り返すが、結局は無駄になる。 もう積まなくてもいっか… いつも思い出すのは少年時代である。小学校1年の頃に地域のサッカーチームに入り、私のサッカー人生がスタートした。 今では笑い話だが、当時は足が速く、6年生の時には身長が160を超え、フィジカルに頼ったプレーをしていた。上手くもないし、頭を使っているわけでもないが、それでもある程度は活躍できた。 早熟なのは見て明らかであり、周りの大人達は将来フィジカルで戦えなくなった時のことを心配した。そして技術を身につけることを私に勧めた。 しかし私はその必要性を感じつつ、気付けば他のことをしてしまっていた。細かいことが苦手だった私にとって、足元の技術を身につける練習はいささか退屈であったからである。 中学生になり、縁があって私はクラブチームに入団した。そこには上手い奴らがたくさんい...