体感時間


後期リーグも今週がいよいよ最終節となり、現役引退の時がすぐそこまで迫ってきました。



振り返ってみると、入部してから現在まで僕の中で本当に長い時間が経ちました。とうとうここまで来たんだなあという感じがします。入部式が遠い昔の出来事のようです。

しかしよくよく考えれば、スタッフになってからのア式での日々、特に最高学年になってからの一年間は意外とあっという間だった気もします。



選手だった1~2年生の頃は違いました。あの頃は一回一回のア式での練習が、一日一日のア式での日々が、長く、しんどく、険しい道のりに感じられたものです。その感覚は今だってよく覚えています。

ふと当時の自分が何をして過ごしていたかと考えてみた時も、当然色んなことは思い出すのですが、真っ先に思い浮かぶのはやはり農グラや御殿下での風景です。

改めて、それだけ自身の大学生活の大半をア式が占めていたんだなあとわかります。同時に、あの頃は自分なりによく頑張っていたなあとか、正直すごくしんどかったなあとか、そんな感想も必ず伴います。

そしてそんな選手時代も、今では遠い昔のことのように感じられるのだから不思議です。

でも、スタッフになってからの日々は確かにあっという間でした。



人によって感じ方は違うかもしれませんが、基本的に心に余裕のある充実した日々を過ごすほど時間がたつのが早く、心に余裕のない忙しい日々を過ごすほど時間がたつのが遅く感じられるものだと僕は思っています。振り返った時にその日々がつい最近のことのように感じるか、はたまた遠い昔のことのように感じるかは、当時の己の精神的負担の大きさで大体決まると思うのです。



 僕の場合、最高学年にもなるとスタッフとしての自分の仕事に慣れ、ある程度要領よく仕事をこなせるようになりました。つまり、以前に比べれば心に余裕のある充実した日々を送りつつあったわけです。だから、1~2年生のころの選手時代が今では遠い過去のように思えるのに対し、最後の一年間は意外にもあっという間だったように感じられるのだと思います。



では、僕にとって今の日々は、昔の日々に比べて果たしてどうなんだろう?

良くなっているんだろうか?それとも悪くなっているんだろうか?

そう自分に問うてみた時、一概に良し悪しは測れないにしても、反省すべき点はあると気づかされます。



確かにスタッフになってから圧倒的に心の余裕ができました。楽しいと感じることの方が多くなりました。その上で確実にア式への貢献度も上がりました。

でも、選手だったころの方がもっと苦労はしていたし、正直もっと真剣というか、精一杯だったと思います。

選手時代の努力なんて、今に比べれば不毛だったのかもわかりません。それでも、選手として苦しみながら頑張っていた日々は僕にとってはやはり価値のあるものだったし、今でもとても誇りに感じています。

だからこそ、たとえ立場が変わっても、時に逃げ出したくなるような苦しい努力を、スタッフとして続けるべきだった、とも思うのです。



 選手とスタッフでどちらかが楽だなんてことは絶対にありませんし、ほかの選手やスタッフが頑張っていないだなんて決して思いません。ただ僕の場合は、就活や卒論を言い訳に現状につい妥協してしまい、それ以上の苦しい努力を怠ってしまった面が正直あります。

筋トレを促進することも、食事調査を定着させることも、もっと苦労して全力で取り組めば達成できたかもしれない目標なのに、結局望んだ通りにはできませんでした。今さら反省したところで遅いですが、それが正直なところです。



努力というのは、それが真剣であればあるほど苦しみを伴います。そして苦しみを伴うほど、その努力にはより大きな価値が生じるものです。もはや「苦しみ」そのものにこそ価値があり、「前進」に繋がるのだとさえ僕は思います。

もちろん、心に余裕のある充実した日々を送ることも大切だし、できることなら常に余裕をもって楽しく過ごしたいと思うのは当然です。しかし、ア式で活動する以上はどうしても辛いこと、しんどいことの方が多いし、余裕なんて中々持てないのも当然です。仮に余裕があったとしても、その現状に満足することすら許されません。勝ちにこだわる以上、ほんの少しの妥協もできないはずなのですから。

では、余裕をもって楽しめないのなら意味がないのかというと、決してそんなことはありません。苦しい経験を積み重ねれば、その分自身の成長に繋がります。逃げ出したくなるような痛みを乗り越えれば、その分得られる喜びが大きくなります。

たとえ辛いだけの日々でも、僕から言わせれば非常に価値のあるものなのです。



苦しみを感じなければ絶対に結果は出ません。しかしたとえ結果が出せなくても、苦しい経験は必ず次に繋がります。

だから僕は、その意味でもア式を選択して本当に良かったと思っています。後輩たちにも是非似たような感慨を抱いてほしいです。



最後に、現役の皆は、二部降格という辛い現実を受け止めつつ、それでもなお関東昇格を掲げて戦わなければなりません。僕としても努力が足りなかったことが申し訳ないですし、これは僕も含めて、皆の努力が足りなかった結果でもあります。

だからこれからは一人一人が限界まで努力し続けましょう、と言うのは簡単ですが、しかし結果に結びつくに足るほどの努力をするというのは実は非常に難しいことです。宣言して明日からいきなりできるようなことではありません。



その難しいことを継続的に実行するには、やはりポジティブ思考が一番大切だと僕は思います。

限界を超えた努力をしない限り勝てないというならば、とにもかくにも限界を感じるまで頑張るしかないでしょう。その際、苦しみを憎むのではなく、苦しいからこそ、良い経験だと思って前向きにもがき続ければいいのです。その時味わった苦しみは、必ずや人生の糧になると強く信じて。そもそも人生ってそんなもんだと思います。



とにかく、無意味な苦しみなんて絶対にありません。

また皆で、頑張っていきましょう。








4年スタッフ 加藤裕樹

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