2016年10月26日水曜日

「データ」で何が出来るか?


2214敗、最下位降格という厳しい現実を突きつけられた今シーズン。945敗、3位ながらも棚ぼたで昇格を手にした昨シーズン。対称的な2つのシーズンをテクニカルスタッフとして過ごしてきたが、今振り返ってみると手応えや収穫は多くある一方で、「データ」が持つ可能性に期待しつつも、現実の壁に阻まれて結局そこの部分では大きな成果は上げられなかったという反省が残る。



データの可能性に魅せられてテクニカルスタッフに転向したのはちょうど2年前のこの時期だった。当時テクニカルスタッフという役職はなく、選手のうち有志数名で構成される「データ班」が存在し、自分もその一員として活動していた。しかし、前年までデータ班を率いていた広川さん(2014OB)の引退以後は組織運営に綻びが生じ、DataStrikerのような高度な分析ソフトを持ちながらも、それを使いこなせない状態が半年程度続いた。そんな現状を見て、ア式が強くなるための可能性の一つであるデータ分析・スカウティングといった分野を疎かにせず、今後さらに発展させて行く必要があると感じ、「テクニカルスタッフ」という専門職を作った。



ア式が勝つために、強くなるために、そう考えた結果行き着いた場所が、テクニカルスタッフだったという訳であるが、一方で自らの持つ能力を最大限発揮し、そしてそれをさらに伸ばす事が出来る場所がどこかを考えた結果であったとも言える。ア式で4年間を過ごす事には多くの「機会損失」を伴うが、それだけ膨大な時間とエネルギーを費やすからこそ得られる「成長のチャンス」が多く散らばっている。そのチャンスをどれだけ多く見つけ、そして自分のものに出来るかで、得られる経験値は大きく変わってくるはずだ。当時はそこまで意識していなかったが、今思えばそう強く感じる。



成長のチャンスという意味では、自分自身やり残した事は多い。中でも一番大きなものは、データの活用でわかりやすくチームを勝たせる事、言うなれば大学サッカー版『マネー・ボール』の再現である。『マネー・ボール』は、データの活用により球団再生を果たしたメジャーリーグのあるチームとそのGMの物語である。流石にここまで実現するのは簡単ではないが、もっと「データ(※具体的には数字をベースとした統計データ)」を吟味・解釈して、そこから得られる示唆を最大限活用する事でチームに優位性を生み出したかった。今シーズンは特にスカウティングに力を入れ、映像や文書などの資料は今までになく充実したものとなったし、選手やコーチが試合に向かう上で必要な情報と戦略を整理して提示・共有することが出来たと思う。これは一つの大きな成果であったが、他の都リーグのチームも方法は違えどスカウティングを行っているわけで、大きな優位性を生み出すには至らなかった。



そもそも自分がテクニカルスタッフになったきっかけはサッカーをデータで語る事へ純粋な興味・好奇心であった。そしてそれが徐々に問題意識へと昇華され、「もっとデータを使ってチームを強く出来るのではないか?」という考えに至るようになった。けれども今シーズン行ったスカウティングは、膨大な数の試合映像を見て、そこから定性的に相手チームの特徴を分類し、我々が取るべき策は何かを考え、提示するというものであり、そのプロセスの中で活用できた定量的なデータはごく僅かに過ぎなかった。データ収集・蓄積にかける労力の問題もあり、前述の分析ソフトであるDataStrikerも活用できたとは言い難いのが現状である。



当然、チームの勝利へのコミットが大前提である以上、分析ソフトを使う使わないは問題の本質では無いのだが、データの可能性に期待を抱いてテクニカルスタッフになりながらも、結局データの活用という部分ではあまり大きな進歩なく終わってしまったという点は力不足を感じる。集められるデータの量・種類に物理的な限界があること、データを解釈する能力が足りていなかったこと等、理由は様々だ。実際、Jリーグのクラブでも本当にデータを活用できているクラブはまだまだ少ないという現状からしてみても決して簡単な事では無いのだが、データの持つ可能性を少しでも証明してみたかった。



自分は卒業後、某大手IT企業に就職するが、将来的にはスポーツとITに関わる分野で仕事をし、テクノロジーの力でサッカー界の発展に寄与したいと思っている。このように宣言するくらいなので当然、データが持つ可能性を証明する事は自分にとって今後の「宿題」となる訳である。ビッグデータの活用や人工知能の発達など近年の技術進歩は極めて目覚ましく、どんな商売もテクノロジー無しに成り立たなくなりつつある。それはスポーツのような興行も例外ではなく、サッカーという競技の存続・発展においても、データやテクノロジーの重要性は今後も増していくだろう。そこに対して自分に何が出来るのかを今後は考えて行きたい。



自分が本来こだわりを持つべきであったデータというテーマに関しては課題だらけであり、そこは今後の宿題となってしまった訳だが、サッカーという競技への理解を深め分析する力を養う事、分析した内容を簡潔にまとめ選手・コーチに対して伝達する事、テクニカルチームという一つの組織を束ね動かす事、テクニカルスタッフという立場からチームの強化・勝利に対してコミットする事、勝利に直結する以外の部分でもチームをより良い方向に導いていく事、これら全てが自分にとって代え難い経験であった。分析に耳を傾け時には助言を与えてくれた選手・OBコーチの皆さん、役割は違えど同じ目標に向かって努力したスタッフの皆さん、テクニカルの活動を評価し支えて下さった監督・コーチの皆様、そして何より部下として自分を支えてくれたテクニカルチームのみんなに心より感謝の意を表したい。











さて、「宿題」といえばもう一つ、イヤーブックの問題もどうにかせねば



4年テクニカルスタッフ 中間

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