最も濃い時間
ついにリーグ戦が始まった。開幕戦の相手は首都大。初戦は難しいと言われるけれど、絶対に勝ちたい試合だった。結果は1対1。自分の決定力不足でチームに大きな迷惑をかけた。あの日はけっこう萎えてしまって、先輩や同期が励ましてくれた時は申し訳なさと情けなさがすごかった。
まだリーグは開幕したばかりだけど、このチームで戦う公式戦の試合はもう20試合も残されていない。そう思うと
おにさんの声に元気づけられることも、
わたるさんからのロングボールをタッチする緊張した瞬間も、
寺内さんの、体を張った守備に安心することも、
のぼりさんの、身体能力をフルに生かしたディフェンスに助けられることも、
服部さんとボールを逃す時の楽しさも、
こうへいさんの切り替えに救われることも、
山岐さんのプレーに笑うことも、
アーサーさんの切り返しに俺まで騙されちゃう時も、
ただけんさんと連携する時のワクワクも、
純也さんに裏パスを通す快感も、
吉田さんの献身的なプレーに感謝することも、
箭川さんの落としを受けるまでの次のプレーを迷う時間も、
たけさんとまた一緒にプレーしたいと思うことも、
どれも本当に貴重なものだ。
もっと言うと
いつも俺を助けてくれる中沖さんの安心感や、
いつも俺の動きを見てくれるまきさんから欲しいところにパスが来る時の喜び、
なんかも決してたくさん経験できるものではないだろう。
もちろん自分がプレーできる時間も長くない。
リーグ戦の試合で過ごす時間は今までの自分の人生の中で最も密度の高い時間と言える。
一戦一戦を大切に。
一瞬一瞬を楽しもう。
ア式 2年 白藤 優
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