認識の差異
僕が東京大学ア式蹴球部に入り、1年と数ヶ月経った。サンドバッグのようにぶたれ続けた Iリーグから、公式戦デビューとなった昨年後期の亜細亜戦、多くの試合に出ながらも 2部という舞台でさえなかなか勝てなかった今年の前期といろいろなことがあったが、よく覚えているのは何気ない会話の些細なことだったりする。
本人も覚えてないかもしれないが、ある日「頭の頭痛が痛い」と言って部室に帰ってきたので「トートロジーですね」と一言で返したら、「一言で片付けんなよ~、せっかく二重で仕掛けたのに」とやまけんさんがボヤいていたこと。
まだ農グラ横に部室があった頃、ロッカールームの奥の方で相変わらず爆笑をとりまくる尾上さんが面白くないのか、通路側の片隅から座って見て「何言ってんだよ、うるせーよ」と独り言のように攻玉社の後輩新屋がつぶやいていたこと。
とまあこんな感じのしょーもない他人の発言を僕はよく覚えているのだが、この 1年と少しの間で特に覚えている発言が二つある。
一つ目は、今年と違い一軍戦で圧倒的勝利を収めた去年の双青戦でのこと、いや正確には双青戦のために訪れた京都でのこと。
他のみんなよりひと足早く京都入りした僕は、祇園祭の空気感を味わった後、関西の大学へ進学した高校時代の部活仲間と夜ご飯を食べていた。京都に来た理由について話したとき(つまりここで僕がア式に入っていること、サッカーを部活でやっていることを話した)、友人の 1人がこう言った。
「東大生ってボール蹴れるの?」
もちろんこれはその友人なりの冗談で、僕もそのときは「さすがに蹴れるよ」と言って軽く流した。
これは些細な発言ではないかもしれないが、二つ目はリーグ戦の開幕戦で辛うじて引き分けに持ち込んだあとの今年の入部式、新入部員がそれぞれ意気込みや入部理由を話していく中で何人かの新入生がこんな感じのことを言った。
「・・・・東大ア式というレベルの高い環境の中で・・・・」
これは聞いていた多くの上級生も「ん?」と感じたとは思うが、僕にとってこの言葉はかなりズシンと来た。
昨年の京都で言われた一言を思い出したからだ。
かなり極端な二つの発言ではあるが、勉強面は地元で進学校と呼ばれる程度の(自分で言う言うのもはばかられるが)サッカーの名門校を出た人間と、東大生を毎年何十人と出すくらい勉強はできるが、サッカーはそれほど強くない高校を出た人間で、こうも東大ア式というものに対するイメージが違う。
東大ア式の目標とする関東の舞台では、1年で選手権全国大会のピッチを踏み、僕が同じカテゴリーで練習することすらほとんどできなかった同期のエースですら未だに出場機会がない。
かたや高校3年間で1分も公式戦に出れなかった僕は東大で1年にしてリーグ戦デビューを飾った。
もちろん高校時代の実績で大学に入ったあとの評価は決まらないし、高校で勝てなかったからと言って大学で勝つことを諦めるつもりはさらさら無い。なんとしても後期で東都一部に昇格する。
一方で、自分も含めア式に入部してくる選手たちと関東リーグの大学に入る選手たちの質、層の厚さには途方もない差があることもまた事実だと思う。
東大が強くなってそこに憧れて多くの実力を持った選手が入ってくるのが理想だが、ひたすらピッチの上「だけ」でその理想を追い求めるのは正直現実的ではないと思う。
東大ア式の現状をしっかり理解した上で「俺が東大に入ってア式を強くする」と思ってくれる実力を持った高校生をいかに増やせるか、それも関東だけでなく全国で。
東京大学ア式蹴球部の未来(1.2年先の未来ではなくもっと5年10 年というスパンの未来)はここにかかっていると僕は思う。
広報がんばりましょ~~~
2年 DF 松坂大和 (藤枝東)
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