ラストチャンス

僕がサッカーを始めたのは幼稚園の頃。それから小学校、中学校、高校とこれまでの10数年間の生活の中心は常にサッカーであったここまでずっとサッカーを続けてきた最大の理由はもちろんサッカーが好きだから。中学校までのサッカー生活では試合に出ることもできていたし、どちらかと言えば自分はチームを引っ張っていく側にいたと思う。だから、覚えている限りでは大きな挫折を経験したことはないし、「サッカーつまんない」と思ったことは一度もなかったと思う。そんなわけで高校でも真剣にサッカーをやりたいと考えて、そのような環境が整っていた高校に進学した。高校ではそれまで自分が考えていたのをはるかに上回る水準で勝利を求め、勝利のために日頃から常に努力し続けることが必要とされてた。正直にいうとキツかった。それでもどうにか必死にしがみついて2年の終わりくらいには試合に出られるようになった。そして先輩が引退し自分たちの代になる。しかし、新チームが始動すると調子が上がらず、怪我をしたこともあってベンチにいる時間が長くなっていった。「2年の時に出ていたから3年でも出られるだろう」という甘えもわずかながらあったと思う。3年になってからも怪我に次ぐ怪我でシーズンの半分程を怪我人として過ごし、復帰してもいいプレーができずにいた。高校最後の県リーグ、インターハイ予選、関東大会予選はほとんどプレーすることができずに終わってしまった。この頃は正直サッカーを楽しいとは思えず、恐らく自分のサッカー人生における本当の意味での唯一の挫折であったと思う。そんな中、高校3年の夏に東大ア式サッカー部との練習試合があった。東大を目指して勉強をしている真っ最中で、受かったら東大でもサッカーをやろうと思っていたのでどんなチームなのかなと気にはなっていた。しかしこの試合を機に、漠然とした「ア式に入ろう」という気持ちが「絶対にア式に入る」という決意に変わった。ア式の選手たちのサッカーに対する姿勢や技術、やっていたサッカーは、苦しい状況にあった自分にとってめちゃくちゃ魅力的だった。それからどうにか最後の選手権予選の試合にはギリギリ出ることができた。この試合は自分の中で最も思い入れのある試合だ。苦しい時期を乗り越えて大きな舞台でサッカーができる喜び、楽しさを再確認することができたから。一方で3年生になってからそういった舞台を経験するチャンスを逃してしまったことに対する後悔も大きく感じた。「もう一回真剣にサッカーに取り組み、サッカーを楽しみたい」そう思って必死に勉強して、今、ア式の一員となってfeelingsを書いている。大学の4年間は真剣にサッカーに取り組むことができる本当に最後の機会だ。高校の時のように大学でも後悔が残ってしまったとしてももう次のチャンスはない。これがラストチャンス。ラストチャンスをモノにすべく、サッカーを楽しむということを忘れずに日々努力していきたい。



1年 石野佑介

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