ついに最高学年

「今日この俺らが昇格を決める。誰にも邪魔させない。」中沖さんのこの言葉で始まった帝京との首位攻防戦、3-1で勝利し、1部昇格を決めた。嬉しかった。去年はあれだけのタレントがいながら2部相手にすら勝てず、今年も前期開幕戦まで全く勝てず、本当につらい思いをしてきただけに嬉しすぎた。昇格を決めたあの時の、そして最終節終わった後の、色んな人が流した涙を見て、影で支えてくれた人たちの期待に応えられて本当に良かったと思った。ただただ嬉しかった。これにより来年の舞台は1部に決まった。2年前東大をどん底に陥れたあの1部である。俺を含めほとんどの3年生は応援席からしかその姿を見れず、よくわからないまま負け続け、気づいたら早々に降格していた。正直東大ア式は1部相手じゃ普通に負ける、関東昇格なんて程遠いなとまで思っていた。それから2年。


そして高いレベルの戦術を擁して2部を圧倒し、優勝。来年1部の舞台に立つ権利を得ることができた。ア式にとっては3年ぶりに、俺ら3年生にとっては最後のシーズンに、関東に昇格できるチャンスをもらった。が、そんな甘くないことはわかっている。正直今から不安で仕方がない。全く掴めない勝利、日に日に悪化していく部の雰囲気、辞めていく同期たち、、、あの2年前の悲劇がトラウマで、それを来年繰り返してしまう可能性があると考えるだけで心が苦しくなる。この悲劇を繰り返さないために、今週から俺たちが最高学年としてこの新チームをどう築いていくか、去年よりも激しく、強く、信頼できるチームをどう作っていけるのかを最近はずっと考えている。(←ここまでが最近の率直なfeeling)




しばらく前(去年のリーグ戦中断期間かな)に「最高学年」というfeelingsを書いた。当時はまだ2年生で、わたるさんや中沖さん、そしてのぼりさんがいつもそばにいたので、下級生という立場からあのfeelingsを書いた。そして部活引退まで残り1年、ようやく俺たちがチームの「最高学年」となる。そこで今回は自分が追い求める理想の先輩像を書こうと思う。


適切な長さで終わらせたいので、こういう先輩になってほしい条件を2つだけ挙げる。(とはいいつつめっちゃ長くなるので、先に最後のおまけを読んだ方がいいかも)


」1つ目は他人に、自分に厳しくあること。あたりまえだけど。

望まなくても新チームではメンバーの変更により練習のレベルが少なからず落ちてしまう。来年1部で闘えるチームになるためにはそんな中でも練習のレベルを維持しなければならない。そのためには後輩に、下から上がってきた選手に、練習中から厳しく接しなければならない。

あたりまえだが、これは簡単なことではない。果たして本当に厳しく接することができるのであろうか。ここでの厳しく接するとは相手の悪いところを指摘して、改善のためのアドバイスをすることだと考える。なぜ厳しくという単語を使っているかというとこれを実行するためには多少の怒りが伴うからである。先週までの練習を振り返ってみるとこれを実行できていたのは中沖さんと日野さん、遼さんぐらいであった。この3人の共通点は、怖いけど彼らから直接伝えてくれて学ぶことの多い点であろう。一緒に練習していて誰かがミスを連発していた時、誰もがイライラする。しかし、この3人は怒りながらもアドバイスもくれる。一方、ただただ愚痴を言い、ミスした本人には何も言わない奴らもいるが、この人たちはただ気が弱いだけである。


とはいいつつ、相手の悪いところを面と向かって言うことは結構勇気がいることである。相手の状況によっては、その悪いところを伝えるとかなり嫌われる、怖がられる、むしろ相手を怒らせる。これを恐れて怒れない人は思ったよりチームに何も生み出せてない。ミスをした人が練習の質を落としているのは明らかであるのに、そいつの悪いところを直す手助けをせずに、そいつとの関係や自分の評価のために何も言わない人、頼むから嫌われる勇気を持ってほしい。相手が本気で上手くなりたいと思っているなら、怒り口調であったとしても正当なことを伝えれば、必ず真剣に聞いてくれる。だから後輩に対しては積極的に、厳しく、そして活発に声をかけて欲しい。チームのレベルを上げる手段として、自分のサッカーのレベルを上げることのほかに仲間のサッカーレベルを上げることも頭に入れておいて欲しい。


続いて、自分に厳しくあること。新チームになると、今までAチームにいたから自分は上手い、みたいな勘違いをする選手が出てくるかもしれない。しかし、残念ながらこのチームにまだ1部でも通用する奴はいない。先日、都選抜の選考会があり、俺は怪我のため外から見ていたが、スピードが今までの試合と比べものにならなかった。特にプレス。ア式の中盤のエース2人でさえ判断の遅さが際立ち、そして2人は選抜されなかった。1部で戦っていくためには個人個人の技術の向上が全員必須であることが改めて認識できた。誰一人として今の現状に満足していてはいけない。普段の練習中とか残練とかいくらでも上手くなれる時間はあるのだから成長する可能性を逃さないこと。1日も無駄にして欲しくない。

なお、自分に厳しくあることはこれだけではない。例えば、自分がパスを受けるときにパスミスが起きたとする。そのとき、パスミスを出し手のせいにばかりするかもしれないが、自分がもっとステップを踏んでいれば、もっと良い位置を取っていれば、と自分にも責任があると考えて改善しようとすることも、自分に厳しくあることに当てはまる。これを最も実践できているのが白藤である。完全に俺のミスなのに「ごめん俺がもっとこうすれば良かったわ」って言われると余計申し訳なく感じる。なんでもかんでも下手な人のせいにしない、あらゆるミスを自分のものと考え改善しようとする姿勢を常に持っていてほしい。




いい先輩に近づけるであろう2つ目の条件は、仲間を受け入れること。


出会ってきた中で俺が一番嫌いな人は、自分より能力の低い人のミスを責めるだけ責めて、その人からの意見は全く聞かず無視する人だ。ア式には普段からこうなっている人はほとんどいないが、サッカー中イライラし始めるとこのモードに入る人はいる。こうなると人は自分が正しくて周りのやつの言うことは間違っていると考えるようになる。

欲を出すこととこれは違う。自分ならできると考え、味方の要求を選択せずに強引に仕掛け、そしてシュートを打つことはむしろ良いことであり、下級生にはこの貪欲さを身につけて欲しいくらいだ。ではこの人間の何が悪いのかと言うと他人のことを何も考えていないことにある。「味方の要求を受け入れた上で拒否する」ことと「味方の要求を無視する」ことは違う。必死に練習について行こうとしている下級生に対して、ミスを執拗に責め立て、その選手の指示を聞こうとしないことになんの意味があるのか。ただただ怖がらせて、その選手のサッカーが消極的になり、そしてよくないプレーを続けてしまうだけである。

目に見えてピッチ上で怯えている下級生を最近よく見る。Aチームのレベルがかなり高く、ミスが重なり怒られる。もうミスれないと思えば思うほどさらに緊張し、ミスをする。俺も2年前Aチームに入ったばかりの時に毎日抱いた感情だ。ほんと怖い。しかし、それと同時に先輩と対等にサッカーしたい、そしてうまくなりたいとも毎日思っていた。だからこそ下級生の身になってしっかり話す必要がある。これは前に述べた他人に厳しくあることとつながる。単に相手のミスについて言及し続けるだけでは怖がらせるだけであるから、必ず改善する方法も伝えること。Aに上がってきたばかりの人や下級生のミスが多くなることは当然であるから、これから1年間一緒に戦っていくチームメイトをミスとともに受け入れる。当事者のように仲間のミスと向き合っていく必要がある。もちろん厳しく。でなくてはチーム全体のレベルは一向に伸びないであろう。


——————————————————


以上長々と書き連ねたのが先輩の理想像、つまり自分が目指す先輩像である。ここまでの冗長な文章を読んでくださった方には感謝とお詫びを伝えたい。サッカーはチームスポーツ、天才的なプレイヤーが1人や2人いたとしても残りのプレイヤーの影響が大きく、1人の1ミスで試合が大きく変わってしまう。ただでさえ今年選手層が薄いと言われてきたのだからこれから1年間で全員1部で闘える選手に育たなければならない。

俺は本気で関東昇格を目指す。

そのためならどう思われても構わない、嫌われたっていい、ある目標に対してこんなに強い想いを抱いているのは初めてだ。俺は後悔したくない。のぼりさんたち、中沖さんたちが目指せもしなかった関東への道を、何十年もの間OBの方々が成し得なかった関東昇格という夢を、今ア式にいる仲間と叶えたい。

だからこの1年間一緒に闘おう。この1年間苦しいことばかりになるかもしれないけど、みんなが笑顔で1年後を迎えられるように、そして俺らが「最高」の「学年」だったと胸張って言えるように。

3年 副将 槇憲之


おまけ
ただのfeelingsだけだとつまらないかもしれないので、途中の「————-」までの文章に謎を仕掛けてみました!読み解けば隠しメッセージが見つかります!


さあ、頭を使って、読んでみよう

コメント