育成チームのみんなへ

3年の森です。今のア式の中で育成チーム以下にいた期間が一番長い人間になってしまったので、育成チームに対する自分の考えみたいなものを書こうと思います。もしかしたら長くなるかもしれませんが、これが載る頃にはそろそろテストも終わって春休みだと思うので時間のある人はぜひお付き合いください。



まず、育成チームの話をする前にどうしても触れておきたいことがあります。2年前まで事実上の戦力外制度として存在していたLB2ndについてです。これまで多くのfeelings(特に1個上の代)に登場した話題ですが、僕が1年生のときの状況について書いてあるものは多分なかったと思うので、ア式の制度を記録に残すという意味でも実際の自分の体験を書いておこうと思います。

7月の京大戦後にメーリスでメンバー選考を告げられ、Aと育成から漏れた選手は後日部室に呼ばれて「①辞める②スタッフに転向する③育成への昇格はないけどLB2ndとして好きにやる」の3択を提示されました。同期のほかに当時3年生や2年生だった先輩も含めて8人が対象になり、先輩は辞めるかスタッフになる道を選んで、同期は自分を含め3人がLB2ndで続ける選択をしました。
LB2ndとして活動と言れたのですが、同期3人のうち1人が夏に辞め、実際は2人だけでした。1個上の代が主に対象となったこの前年のときのようにLB2ndの人数が多かったわけではなく(多ければ良いというわけではないですが)、2人では当然チームになるはずもありません。ということで、社会人のOBの方々・現役スタッフと一緒に「LB」として練習も試合もやらせてもらいました。OBの中には現役時代にリーグ戦に出て活躍していた方もいて、現役スタッフにも自分よりサッカーを知っていたり技術のある人がいました。この期間には色んなことを学ばせてもらったので、お世話になった先輩方には心から感謝しています。
でも、環境という意味では正直ア式内部とは比べ物にはならなかったのは確かかなと思います。活動日は基本週3回、社会人の方は平日の水曜練に来られないので最低限の人数を確保できるのは多くて土日の週2回。日によっては土日でも人が集まらず練習中止。水曜は仕事の手が空いたスタッフと一緒に数人で対面パスとロンド。残りの月火木金は、ジムに行ったり家の周りを走ったり、Aや育成の練習時間に行って端でボールを蹴っていた感じです。ボールを蹴るときは少し工夫して、より多くの部員の目にとまるようにAと育成の練習が切り替わるタイミングの前後1時間ずつくらいはできるだけグラウンドにいるようにしていました。みんなにあいつ頑張ってるなと思ってもらえたら、もしかしたら上げてもらえるかもしれないというちょっとずるいやり方ですが、その時はとりあえず必死だったので無い脳味噌でよく考えたなくらいに思ってください。
途中で他の社会人チームを探して外部で練習することも少し考えましたが、何かの間違いで東大に0.3点差で受かってしまった自分は単位を拾い集めるのに必死で、かつバイトもこれ以上増やせない等の条件も考慮して、移動時間や交通費的に今いる環境で上を目指すのがベストな選択だという結論に至りました。お陰で成績表に50可を並べて進級できたわけで、この判断は間違っていなかったと思っています。
当時のリーグ戦について、同期や卒部した4年生のfeelingsには「あんなに頑張ってた、あんなに上手かったトップチームが、1部で全く勝てなかったのをベンチや応援席から見ていた苦い記憶」として登場することが多いですが、自分も同じシーンを見ていました。ただ、ベンチにはもちろん応援席に入れることもあまりなく、記録員を任されて本部から見ていました。当時は応援すらできないのかよ!とも思っていましたが、チームへの貢献度を考えれば苦言を呈する立場にないのは重々承知だったし、記録員は手元のデータをリアルタイムで見ながら試合を追えたから意外と面白かったのも覚えています。でもトップが勝てない姿を見て、そこを目指す権利もない自分がサッカーを続ける意味があるのかと考えさせられたのも事実で、そういう意味ではみんなと同じように苦い記憶として残っています。
他にも、部員と違ってコーチやIリーグの場といった資源は利用できていないわけだから部費を下げてくれとお願いしたことがありました。関東昇格時のために積立が必要ということで認められませんでしたが、数少ない貢献だと思えばまあ仕方ないかという感じで、実際に関東リーグに上がればその積立を活かせるので、それも含めて今年は本気で昇格を目指したいです。

大体こんな感じで、当時は一緒に練習できる人が1人でもいるだけでありがたかったし、何より道具やグラウンドが使える環境にあったのは本当に助かりました。強度やレベルに限界があったとはいえ、育成を目指す自分たちのために忙しい中時間を確保して練習に来てくれたスタッフもいて、今でも本当に頭があがりません。自分が下手だったのが全ての原因であって環境に文句を言うつもりは全くないですし、むしろ多くの人に気にかけてもらって本当に感謝しています。そして、自分の活動をずっと気にかけてくれていた幹部のある先輩のおかげ(だと思っています)で、結果的には育成チームに上げてもらうことができました。それを承認してくれた他の幹部の先輩も含め、僕にとっては恩人でしかないです。この場を借りてお礼を言わせてもらいます。



さて、僕がこの話を前提に言いたいことは2つあります。

1つ目は現幹部や将来幹部になる後輩たちに向けてです。
今の育成チームという制度とネーミング、僕はかなり上手いなあと思っています。2番目にうまい集団としての「Bチーム」ではなく、あくまで将来Aチームで活躍する選手を育成する場として設置していて、MTGで「育成の選手」と呼ばれるだけで常にAを目指す意識が喚起されます。
一方で育成するに値しない選手を篩にかけるLB2ndという制度、開始当時の幹部だった先輩たちが誰よりもア式のことを考えて悩んだ結果の判断だったんだと信じています。でも、実際に対象になる側のことをどれだけリアルに想像して実施を決定したんだろうなと考えると、どうしても僕には理解できない部分があります。
制度が始まったきっかけとしては、当時存在していたらしいCチームが練習にまじめに取り組んでいるように見えなかったとか、トップチームの強化を優先すると使える資源(=グラウンド、コーチなど)に限りがあって仕方なかったとか、選手をあきらめさせることで不足していたスタッフを確保したかったとか、そんな理由を耳にしたことがあります。正確ではないですが、火のない所に煙は立たぬと言うようにこういった意図もあったことはあったんだと思います。
でもこれ、だいぶおかしな話だと思いませんか?東大でもサッカーを本気でやれる環境に惹かれて、Cチームとはいえ大学生活のうち睡眠と授業以外のほとんどの時間をサッカーに注げるつもりで入部した選手が、「やる気がない」なんてどうやって判断したのか。練習のための資源に限りがあることは事実でも、その中で長期的な視点で効率良く選手を育てることに挑戦するのではなく、組織にとって一番重要な資源ともいえる「人」を短期的な都合で切る方を選ぶのは論理が捻じれていないか。同じく、スタッフが足りないなら新歓の方法を工夫するとかスタッフとして入りたいと思えるような環境を作るとか先にできることはあるはずで、いきなり選手を半強制的に転向させようというのは思考の順番が違くないか。何より、僕たちは部費を納めて活動している大学生だし、東大にはサッカー推薦なんてありません。もちろんみんな本気で勝利を目指しているので「勝負の世界の厳しさ」みたいなものはついて回りますが、給料をもらって活動しているプロ選手や将来プロを目指す下部組織の選手と同じ種類のそれを課すのは本当に魅力的なア式を作ることに繋がるのか。etc...  実施決定の瞬間を見ていないので何とも言えませんが、疑問や不可解な点は山ほどあります。
組織の中で決定権を持つ人や幹部というのは本当に大変な役職だと思います。些細な経験ですが、自分も高校サッカー部の主将や都学連の幹事長を務めてみて、ア式の幹部に比べて程度は違うにせよ、どんな部分が難しいのか・どんな悩みの種類があるのかは少し把握してきているつもりです。実際、マネジメントする側はされる側に比べて、考えることも気の配り方も数倍高度で量も多いです。でも絶対に勘違いしちゃいけないのは、上に立つ人の考えの方が「高尚だ」というわけでは全くないということだと思います。同じチームにいる以上は全員の考えを尊重するべきで、その結果としてできるだけみんなが納得できるような方向に、かつ組織として最高な結果を出せる方向に持っていけるようにするのがトップや幹部の役割だと僕は思います。当然めちゃくちゃ難しいことですが、チームで一番それができるであろう人間がそういう役職にいるはずだし、ア式にはその仕組みを考えられる素晴らしい頭脳を持った人もたくさんいると思うので、間違っても権威主義的な考えに走っちゃいけない。今後一切、ア式に同じ過ちを犯してほしくないなと思います。
要するに、本気でサッカーをしたいと思って入部してきた育成チームの選手をどう強く上手い選手に育てるか、どうやって将来Aチームでア式を引っ張る選手を育てるか、そういう視点を持ち続けることこそが強くて魅力的なア式を作るために必ず重要になってくると思うということです。


ここまでが長くなりましたが、2つ目がメインで、今の育成の選手たちに向けてです。
昨年の新チームのキックオフミーティングでも似たような話があったと思うけど、今僕らが育成チームでプレーできているのは全くもって当たり前のことではありません。今の制度は選手としての活動を諦めざるを得なかった先輩たちの、言ってしまえば犠牲の上に成り立っていて、特にスタッフに転向してこのチーム環境を整えてくれた先輩たちのお陰です。
そう考えたとき、今の僕らは彼らに顔向けできるような活動ができているでしょうか。僕が1年生のとき、当落線上だったけどギリギリ育成に残したと言われた同期の選手たちもいたようですが、正直言って彼らが今の育成チームにいたらかなり無双できると思います。それくらい当時とのレベル差が激しいです。オフ明け最初の練習、2人組でリフティングして移動するやつがあったと思いますが、あの出来は正直やばいと思いませんか?ここに詳しく様子を書くのも憚られるし、あれじゃ「お前ら戦力外ね」ってもし仮に言われたときに自信をもって反論できないと思います。これ、実際に言われて自分の力不足を自覚してて反論できないっていいうの、めちゃくちゃ悔しいです。経験しなきゃわからないことかもしれないけど、できればそんなの経験してほしくないし、一人も欠かさず今のメンバーでお互い刺激しあって強くなりたい。
上で当時の制度自体の批判みたいなものを書いたけど、なんだかんだいって結果を残した奴が強いし評価される。どんな環境にいようと、結果を出せる奴は勝ち残れる。当たり前だけど絶対にこれが現実だし、どんなに幹部が制度を整えても結果を出せなければ淘汰されて然り。この3年間の中で、自分の経験したことや他の選手のことを振り返ってみて改めて一番強く感じていることです。
結果を出せなかった側になって実感してるようじゃ遅いし、長い人で引退まで折角あと3年弱あるわけだから、その時間と今のア式の資源を最大限に利用するべきだと思います。育成の選手の自主練を練習後とかに見ると、はっきりとした目的があってやってるんだなとか、試合を意識してやってるなと感じることが少ないのが気になります。もちろんみんな自分の設定した課題に向き合って対面パスやったりロングボール蹴ったりしてるんだと思うし、1年生とか必修の授業多い中でも頑張って時間割いてるんだろうなと思います。でも、本当にその練習をやってて意味あるのか?っていうのを常に自分に問いかけてみないと、頑張る方向が違ったり効率が悪かったりすればAチームの選手との差は開くだけです。
一つ目の話でも書いたように、このア式という組織にとって一番重要な資源のうちの一つは僕たち部員であって、特に育成の選手の成長はチームの強化に直結します。今年のリーグ戦で1部の強豪相手に戦い抜けるかどうかは、本当に僕らに懸かっている。その自覚と危機感をもって今シーズンも頑張っていこう。



最後に、ここまでだいぶ自分のことを棚に上げて話してしまったので、自分自身のこれまでの反省も含めて今シーズンの目標を簡単に書きます。
最初に書いたような僕のLBでの選手生活は、下手をすると「よく忍耐強く頑張った」とか「ちゃんと育成に復帰してすごい」というように美化されてしまいそうですが、全くもって評価に値するものではないと自認しています。自分が本気でサッカーをしたいという理由だけで続けて、殆どチームに貢献していないわけだから当然といえば当然です。
チームへの貢献を考えてスタッフに転向した先輩方をはじめ、丁寧に指導してくださったLB所属のOBの方々、自分を育成に上げてくれた当時の幹部の先輩方のためにも、残りの9か月で必ず自分が納得できる結果を残したい。新人戦に出たことくらいしか実績のない今のままでは本当に彼らに失礼だし、何より自分が結果を残すことでLB2ndが不要であること・育成の強化が大事だということをはっきりと示したい。
人によって結果を残すことが何を指すかの解釈は違うかもしれないけど、誰から見ても明らかじゃなきゃ評価してもらえないわけだからポジションや役割によってある程度絞られるとは思います。具体的に書ければベストですが、それはもう少し様子を見て決めたいです。
ということで、今年の暫定的な目標は「自分が結果を残してア式の関東昇格に貢献すること」と「怪我をしないこと」の2つです。もちろん本気です。フラグ立てるな(特に後者)とか言わずに期待しててください。

 最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。



とりあえず肉離れ治します。
3年 森 皓亮

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