intersection of football and technology

今となって少し黒歴史であるが中学生の頃はスティーブ・ジョブスにめっちゃ憧れていた。ジョブスは言わずとしれたAppleの創業者の1人である。大学生になった今はキラキラした感じがあまり得意で無くなってしまったので違うが、昔はそのカリスマ性とか世界を変えたみたいなところに惹かれていた。


中学生の自分はiPhoneやMac Book Airなど当時のお小遣いでは手も足も出ないApple製品をインターネットで探してはそのかっこよさに惚れていた気がする。懐かしいものでMac Book Airの発表会の封筒から取り出すシーンとかは何回も見た。中2くらいでジョブスが亡くなったというニュースが流れた。


その後伝記が発売される。伝記にはintersection, 和書においては「交差点」という単語が数多く載っている。ジョブスはintersection of liberal arts and technologyを一つの哲学としており、AppleやPixarでそれを実現してきた。技術のみでは意味がなく技術を他の何かと組み合わせてこそ人の心を動かすことができると言っている。


今現在当たり前のようにスマホでサッカーの中継見ていることを考えると12年前にiPhoneを作ったジョブスはマジで凄いし偉大だと思う。


ジョブスは21世紀はintersection of biology and technologyになるだろうと言った。biologyというのは健康なりスポーツとかを含むと勝手に思ってる。現に近年のAppleの新商品であるWATCHを見てもらえば分かるが心拍数を記録したり事故に遭ったときに自動で救急を呼ぶなどの機能がついている。


また2018年の9月のAppleの新商品発表会で紹介されていたHOMECOURTというバスケ向けのアプリがある。デモの動画を見てもらえば分かると思うのだがこれが凄くおもしろい。3脚にiPhoneを固定してアプリを起動すればシュートをどこで打って入ったか否かを自動的に判定してくれるというものである。



サッカーにおいても、これから更にテクノロジーとの融合が進むのは間違いないことであろう。


自分は部内で「入力」という試合を観てポチポチパソコンをいじる仕事しているのでサッカーのデータ収集について少し話したいと思う。


サッカー界において今現在何ができているかというと、「機械的に見たらわかること」つまり走行距離、スプリントの回数やボールの位置、所謂トラッキングデータは高精度でほぼ自動でデータを得ることが各国のトップリーグでは可能になった。


TRACABという米ChyronHego社によるサービスが現状デファクトスタンダードになっており各国で採用されている。これは5、6台カメラを設置することで、選手は何もセンサーなどをつけることなく人の動き、ボールを追うことが可能となっている。



しかし現状ではこの手の技術は導入するのがきちんとしたスタジアムを除いては難しく、莫大なランニングコストないしロイヤリティーがかかるため(たぶん)、日本ではJ2以下のカテゴリーではトラッキングデータは取られていない。


またGPSを用いたトラッキングも普及し始めており、GPSのついでに医療系のデバイスを付随させて身体のデータを取るという使い方もなされている。


技術のこれからの発展には大きく分けて2種類あると思っている。


一つは「見て判断する必要がある」データの自動収集である。


簡単な例でパス成功率を挙げよう。パスが成功したかというのは人間が目で見て感覚的に判断するにはそんなに難しくない。しかしパスが成功したかどうかというのはコンピュータにとっては判断するのがかなり難しいというのが一般的な認識である。


この手のデータを集めている企業もあるが完全な自動化には至っていない。例えばOptaという英国の企業はこれを(ざっと調べた感じ)人海戦術で行っている。


良いニュースとして最近Beta版が発表された日本のPitchBrainというサービスがある。これは試合の動画を自動でラベリングしてくれたり、オフ・ザ・ボールの選手の動きをしてくれるというから驚きである(ゲーゲンプレス、リトリートなどを判定してくれるっぽいから凄い)。



もう一つは技術のコモディティ化である。


こういった技術は導入も維持もコストが馬鹿にならないためプロとほんの一部のアマチュアを除いては使われていない。


例えば先述したようにTRACABは現状大学生が使えるようなサービスではない(調べたところ数年前に鹿屋体育大学が試験運用していた程度)。まず大きなスタジアムでないと全体を見渡せるような場所に定点のカメラを置けない。置けたとしてもかなりの機械のチューニングと人的コストが必要であろうからかなり厳しい。


GPSも未だ数百万はかかるのが普通である。このあたりの技術的な障壁を乗り越えることでアマチュアでも安価で簡単にできるようになってほしいところである。


上記の2つができるようになるとどうなるかというと、御殿下の隣でカメラ付きドローンを2,3台飛ばすとリアルタイムでトラッキングデータ、パス成功率が何もせずともスマホで見れる..みたいなことになるかもしれなくて面白い。


残念なことにこのレベルに達するまでには数十年かかるのは間違いない。GAFAが本気を出してくれたら10年後とかにはこうなってるかもしれないが。



自分の専攻は情報なのである意味大学サッカー界においてはサッカーとテクノロジーの交差点に最も近いところに立っている人間のうちの一人な気がする。だからこれから技術がどのようにサッカーと交わっていくのかすごく楽しみである。


自分は育成にいる選手なのでまだ自分のデータを入力するということは残念ながらしたことが無い。そして多少特殊な事情により選手として残された時間は本当に少ない。


それなのに最近は毎週自分の不甲斐なさを感じるプレーばかりしてしまっている。おそらく最近の自分のデータを取ったら最悪な感じだろう。もっと自分がやりたいことを周りに主張するべきなのに結局下を向いてばかりいる。絶対にもっといいプレーができるはずなのに。


まあ後悔してもしょうが無いので切り替えるしかない。


いつか自分のプレーを入力すること、満足できるプレーとデータを残して勝利すること。


この2つを目標にやっていきたい。



3年 上野

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