深く後悔をする
岡部惇貴(1年/MF/武蔵高校)
入部して2ヶ月、feelingsを書くように先輩から指示が下った。そろそろ期末テストだなと思っていた矢先驚きの知らせだった。
最初に考えたのは、初めての期末に怯えている1年生に書かせるのはどうなんだろうかということである。
来年以降の新入部員のために新入生は夏休みから書いてもらうというのを1つ提案しておきたい。亮さん、ご検討宜しくお願いします。
さて、何を書こうか…
書くにあたって先輩たちが初めて書いたfeelingsをいくつか読んでみた。
どうやら最初のfeelingsはア式に入った理由を書くのがよくあるらしい。僕の場合は分析や生徒主体の運営というのが面白そうだから、というぼんやりとした理由だった。
それだけぼんやりしていたので、そこから話が広がる気がせず断念…。
ごくたまにビビりで基本は楽天家の僕は、たった今ビビり岡部が顔を出し、迫り来る期末に恐れをなしている。僕のビビり具合はとてつもない力を発揮するのである。断念後、ビビり岡部はテーマをすぐに捻り出した。
やっぱこんな簡単にテーマが思いつけるなら、やっぱ期末前でもいいのかもしれない。
突然だが、僕は「本気」を出したことがある。世の中で人生で「本気」を出したことがある人は実はそんなに多くはないのではないかと思っている。
これを読んでくれている人は「本気」を出したことがある人がいるかは分からないが、「本気」って思ったよりすごいのである。
受験期の話をしよう。
高校2年生の終わり頃、僕は一橋大学を志望していた。当時は東大なんて選ばれた天才だけが行くところだと思っていた(これは東大王で刷り込まれた勝手なイメージである)。
その時期にコロナで部活がなくなり、一橋大学を目指すのに学力が足りないと考えた僕はたくさん勉強した。とにかくたくさんである。なぜかこの時は異様にやる気があって勉強ができたのである。だが、まだこの時は「本気」ではない。
高3になる春休み、部活も再開し卒業した先輩たちとサッカーをする機会があった。そこで武蔵のサッカー部の先輩がア式に入るということを聞いて、ア式のことを少し調べてみた。
僕は天才ではないので東大にはこれっぽっちも興味がなく、「東大なんて眼中にないから」とか言って笑っていた僕が詳しくア式を知っているはずもなかった。
Googleで東大ア式蹴球部と少し調べただけで出てきたア式の素晴らしい環境に目を奪われた。
元々ア式は、東大フェスティバルに参加したり、武蔵サッカー部のOBでア式に入っている先輩が高校の部活に顔を出してくれることがあったので存在はもちろん知っていたが、これほどとは思っていなかった。
東大フェスティバルでア式のことを一生懸命教えてくれた先輩、すいませんでした。正直ぼんやり聞いていました。
そうして、なんとなく周りには迷っている感を出した時期はあったが、ア式のせいで(おかげで?)心の中では東大を目指し、茨の道を行くことが決まっていたのである。
こうして僕はア式のために東大を目指す羽目になってしまった。
この決心ができたのはサッカー部の仲間がぼんやり東大を意識していたことや楽天家岡部がすぐにゴーサインを出したこと、自分が思うならいいよと言ってくれる寛大すぎる親のおかげである。
お母さんいつも産んでくれてありがとう(誕生日じゃないけど、伝わる人にはなんとなく伝わるはず…)
もちろんお父様にも感謝しております。
話が逸れたが、1学期を終えた夏休み、部活がない日は1日14時間勉強した日もあったし、自分で見ても頑張っていたと思う。この時は「本気」ではないにせよたしかに頑張っていた。
でもそれは勉強のことについてだけであった。
最高学年になってサッカー部の中での立場も変わりチームのことも考えるようになった。そこでミーティングをやってみたり、声がけも増やしてみたり、好きな人はいないであろう体力練の日の雰囲気も気にしたり、色々やってみた。
コロナ明けにミーティングもしなくなり、中途半端になってしまったことも多かったが、自分としてはサッカーにしっかり向き合っているつもりだった…。
武蔵サッカー部の同期には1番練習をしていて、サッカーも上手くて、サッカー部の同期で1番成績も良かったM君がいた。彼はチームを鼓舞して引っ張るタイプではなく、同期の中でもいじられ役で、アホ(いい意味で)だと思われる節もあるが、サッカーにはとても真摯で、1番に考えていた。
ちなみに僕は彼をかなり尊敬している。一生彼には直接言わないであろうが尊敬している。深夜に書くとこんなことまで書いてしまうのが恐ろしい。次からfeelingsは昼に書こう。
そして、そんな彼を見ると自分がサッカーを1番に考えられていないことがよくわかる。
自主練を頑張る彼を尻目に、一向に成長が見られない英語や一生頭に入らない世界史、1学期にやり始めた地理に引っ張り出されたビビり岡部は、全体練習でしっかりやって後は勉強しようと自分に言い聞かせた。そうして自主練の時間は減っていった。もちろんこの時はサッカーも勉強も「本気」でない。
迎えた選手権。
10月9日の2次予選の1回戦、力及ばず敗退。
負けた直後、チャンスを決められなかったこともあり、今までに無いほど責任を感じた。悔しいとも思った。
しかし、その日の夜、寝る前にふと気づいたことがある。
悔しいと思ったのは負けた事やシュートを決められなかったことだけであったのだ。つまり、夏休みにもっと練習をすれば良かったやミーティングをやめなければよかったなどの今まで築いてきた過程に対しての後悔がなく、表面上の後悔しかしていなかったのである。
このことに僕はショックを受けた。
僕はサッカーが好きで12年間続けてきて、大学もサッカーで志望しているようなものなのに、自分の中のサッカーはそんなものなのかと。
サッカーを「本気」でやっていない。
夏休みに薄々気づいていて、見ないふりをしていたことを直視してしまったのである。
このショックをどう払拭すれば良いのか?
考えた結果はサッカーを優先順位の1番にして、最高の言い訳の効かない環境でもう1度頑張るという事である。
浪人をすればサッカーをやらずに勉強に専念するつもりで、私立大学は強豪すぎて本気でやる環境には入れないと考えた僕は現役で東大に受かるしかサッカーを続ける方法がなかった。
そして部活の引退後、僕は「本気」で勉強を始めた。
ちなみに僕は模試で東大をE判定しか取ったことがない(河合塾はなぜかD判定までしかないので若干嘘になるが…)で受かってしまった奇跡男なので
受験期には家族も、きっと塾の先生も浪人すると思っていたし、自分でも浪人してもいいやと何度も思った。
そんな中、サボらなかったのはビビり岡部に「お前はもうサッカーができなくなるぞ、そしたら必ず後悔するぞ」と心の中で出てきたからである。
このようにしてビビり岡部のおかげで「本気」で勉強をして、今東大ア式蹴球部に在籍しているのである。
こんな僕でも「本気」を出したら東大に合格するなんてやはり「本気」はすごい。
文章が長くなってしまったのでまとめていこう。
結局のところ「本気」を出したのは部活の引退後だけである。この時とその前の時期の勉強時間はそう変わらない。
では何が違うのか?
それは深い後悔をするかどうかである。
部活引退前の僕であったら受験に落ちても表面上の後悔しかしていなかっただろう。もし、部活引退後の僕が落ちていて「本気」でサッカーができなくなったとしたら、なぜもっと勉強しなかったのかなど、深い後悔をしていたに違いない。
ア式蹴球部は充実した練習環境が整えられており、素晴らしい組織だと入部して毎日感じている。この環境では言い訳はきかないであろう。
これからは大学受験のような言い訳を作らずに4年生になって引退したときに深い後悔ができるように、サッカーに「本気」で取り組んでいこうと思う。
最後にM君へ
東大に入ったときに、君は東大に入ったのは僕と同じくらい奇跡感を出してきて何度か議論をしましたが、やはりあなたは少し天才の気があり、僕の奇跡度には劣ると思っています。正直そこだけは譲れません。いつか決着をつけましょう。
他にも俺の方が東大合格は奇跡だという方がいれば教えて下さい。受けて立ちます。
長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。
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