ゴーストバスター、勝負の世界へ。

歌俊亮(2年/MF/浅野高校)

 はじめまして。2年の歌俊亮です。滞納しすぎて、これが初feelingsです。上西園君ごめんなさい。
 
高校の頃から今まで大雑把に振り返ってみようと思う。振り返ってみると、意外と変化していて面白い。
 
 
 自分の高校サッカー部の目指していたスタイルは、いわゆるポゼッションサッカーだ。ア式ほど緻密な理論を教わったわけではないが、攻守両面においてボランチの果たす役割は大きく、高3にもなれば、自分でチームを動かす感覚を少しは持てるようになった。
 
どこへ行ってもある程度通用すると思えるくらい自信のある選手にはなれたと思う。
 
 
 
そんな高校時代はずっと頑張っていた。それは学年が上がれば上がるほど、頑張る度合いは大きくなっていった。
 
その努力に見合う結果はついてきた。ほとんど怪我をせず、3年間ずっとスタメンであった。交代すらほぼしていなかった。
 
今思えば、自分の意思を蔑ろにしていた気がする。意思がなかったからこそ、これほどサッカーを頑張れた気もする。
 
 
だが、それが1番問題であった。
 
 
 
自分の意思に対して無視することは、その努力さえも否定してしまう。
 
自分がやりたいと思っても、本当に無駄なことは絶対にやらない。やるべきことのみを淡々とやり続ける。一考の余地も与えない。
 
ストイックで良いことのように聞こえるが、自分、自分の意思との対話がない状態では、自分の意思は一生報われない。頑固親父を相手にしているようなものだ。
 
今ならたまには報われるべきだとも思えるが、当時の自分は自分の意思を無視し続けた。
 
この努力の仕方は容易かったのだ。
 
そんな状態で努力しても、結果はついてきたとしても納得いくはずがない。
 
犠牲にした時間、意思が努力とその結果に見合っていたのか。そんなんはどうでもよくなるくらい、自分の意思を無視した頑固な自分に腹を立てていた。
 
 
この調子で受験勉強も自分の意思を無視し続けて努力した。そうして自分は東大に合格した。
 
 
しかし
 
 
自分の心に残ったのはちょっとした達成感と頑固な自分に無視され続けた意思のみだった。
 
 
そこで反省した自分は、自分の意思との対話を始めた。ようやく自分の人生がスタートした気分だった。
 
 
 
 
 
 
大学生になった。
 
 
自分の意思、つまり自分のやりたいことについて考えてこなかった自分、やるべきことしかやってこなかった自分は、高校の頃から憧れていたア式に入部を決めた。決めたというより、気づいたら入部していた。これが、後々大きくのしかかってくる。
 
 
当時の自分の意思は、「遊びたい」だった。
 
 
頑固だった自分を反省した結果、自分は自分の意思に全て従った。頑固で頭が固いからこその極端さである。ひたすら遊んだ。
 
とはいえ、中高6年間真面目に勉強もサッカーもやった自分も残っていたから、ある程度真面目にサッカーをやっていたが、その度合いは徐々に弱まった。
 
 
高校生の頃の自分は、自分の意思にすら厳しかったので、当然他人にも頑固だった。だからとても気難しく、気の許せる友達はあまりいなかった。
 
しかし、その自分を180度変えた自分は、そこそこ友達も増えた。だからこそ遊ぶのが楽しくてしょうがなかった。
 
 
そうして遊びつつもある程度頑張ったサッカーでは、大学一年の秋の東京都一部リーグ國學院戦(10/16)、ベンチ入りまでは果たせた。
 
 
しかし、それは限界でもあった。
 
 
そして、ベンチ入りを果たしたその日の練習試合で怪我が発覚した。その名も「グロインペイン」。
 
 
 
 
 
 「グロインペイン症候群の主な症状は、キック動作やランニングなどの繰り返しの運動などによって圧痛(押すと痛い)や運動痛、鼠そ径けい部や下腹部、内ももの付け根などに痛みが生じます。」
 
結論から言えば、自分はこの怪我で一年を棒に振った。復帰したのは大学2年の秋、10/14だ。
 
 
この期間、自分の意思に従うことはより加速した。
 
なぜなら、怪我である程度自由になったからだ。コンディション調整は甘くなるので、サッカーという拘束が弱くなるのだ。
 
今では考えられないし、あんまり言いたくないが、練習のあるなしに関わらず、オケオールしたり、飲み会に行ったりしていた。
 
 
サッカー選手としてしっかりと腐ってしまった。
 
 
こうして欲望のままに自分のやりたいことをひたすらやっていると、サッカー部にいる意味を考えるようになった。
 
なんとなく部活に入ってしまったことをかなり後悔した。サッカー以外にも楽しいことはあったのに、どうしてサッカー部に入ったんだろう。
 
入っていなかったら、何も考えずずっと遊べて大学生エンジョイできたのに。今の自分の現実を逃避するように、後悔が頭を支配した。
 
 
 
 
しかし、そうして考えてるうちに、部活に入ってなかったら入ってなかったで後悔している自分も見えてきた。
 
高校で成長できたサッカーで大学でもカマしたいなとは思っていた。大学サッカーでどれくらい自分がやれるのかを試してはみたかった。
 
 
部活に入っている意味については、いろいろな部分に派生した。
 
大学で何も頑張らなかったら人間としてどうなるか。自分は人間としてどうなりたいのか。サッカー以外に頑張りたいことはあるのか。
 
 
自分の意思に従うにつれて、自分の意思で動くことの素晴らしさを知った。
 
それと同時に、それに従うだけでは怠惰になるだけだということも知った。
 
怠惰な自分は、部活に入らなかったら怠惰に何もせずに4年間を終えていただろう。
 
自分の体裁を守るために単位をしっかり取るだけの人間になっていただろう。
 
何もやる気のない無気力な人間になっていただろう。
 
世間を舐めたまま社会に出て、社会の厳しさに絶望していただろう。
 
 
 
サッカー以外に何を頑張れたのか。少なくとも、他のスポーツをやったとしても、サッカーの楽しさ、深みを知っている自分には物足りなくなっただろう。
インターンだったり、社会に出た時に使えそうなところは頑張れたかもしれないが、サッカーほど集中できるかは疑問である。
 
 
 
 
 
こうして怪我によってサッカーで頑張ることをプラスに捉えられるようになった。
 
腐った自分が甦った感覚があった。
 
サッカーしか知らなくて、もっと楽しいことがあるんじゃないかというキリのない疑問を持つ自分に別れを告げた。
 
他に魅力的なことはあるかもしれないが、少なくともサッカーを頑張ることは魅力的だ。今ならそう言い切れる。
 
 
 
 
そして、ア式には素晴らしい環境が整っている。サッカーをするだけでも様々なことができる。
 
元プロの監督、コーチ、obコーチ、テクニカルスタッフなど様々な人にアドバイスをもらうことができる。
 
普通じゃないアップができる。
 
また、週6回人工芝グラウンドでサッカーに取り組める。
 
真剣に話し合いできるチームメイトがいる。
 
困った時に話を聞いてくれる人が学年問わずいる。
 
色んなリーグのたくさんの試合の映像を提供してもらえる。
 
 
 
 
そうして自分に向き合い、怪我を治すことを決めた。紆余曲折はあったが、半年もかからず怪我を治すことはできた。
 
 
 
 
 怪我を治そうと思えたのも、怪我を実際治せたのも、ひとえに周りの皆さんのおかげです。
 
吉本君はじめ常に気をかけてくれた人。コーチ陣などの期待し続けてくれた人。話を聞いてくれた新家君はじめ同期、先輩方など。腐ってる自分に厳しいことを言ってくれた人。なんでも受け入れてくれた両親。
 
 
普段は絶対言えないので、恥ずかしいですが、この場を借りて感謝を伝えさせてください。ありがとうございます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これでfeelingsを終わらせるのが丸い気もするが、復帰した今についても少し触れておこうと思う。
 
 
怪我している時にサッカー頑張ろうと思ってから、サッカーについて自分のプライドを抑えることで、学べることが増えた。
 
色々な試合を見たり、Twitterでサッカーのことを呟いてるインフルエンサーのツイートを読んだり、ア式のslackのフィードバックチャンネルを追うようになった。
 
 
自分のプライドを抑えるのが大事で、自分の世界に囚われていては、自分の考えを変えることはできない。
 
だから、人の話を遮らずに聞くようになった。
 
まあア式の理論に関しては、自分のプライドを抑えるくらい価値があると思うっていうのが大きいが。
 
 
 
 
 
 今シーズン育成チームからスタートしたが、ずっとやりたかったIHをやらせてもらえた。
 
 
これまでずっとアンカー、ボランチでプレーを極めてきたのだが、攻撃が好きなのでIHをやりたいなとは高校の時から思っていた。
 
 
新しいポジションをやることで、やはり様々な発見があった。とても楽しい。
 
 
コーチ、プレイヤー、色んな人に意見を求めてみた。すると、ア式の良いところだと思うが、プレイヤー誰に意見を聞いても、基本的に素晴らしく有益な返答が返ってきた。成長している感覚があった。
 
 
 
 
 
そうして怪我人の影響もあり、Aチームに上がった。
 
AチームではIH、ボランチ両方で起用されている。
 
 
割と難しい立場であるが、Aチームにももちろん、素晴らしい環境があるので、その環境を使って壁を乗り越えていきたいと思っている。
 
 
けど、まだ緊張しているので、もし自分に意見を求められたときは、歌は頑張って壁を乗り越えたと思って欲しい。笑
 
 
 
 
 少なくとも、今は意思とも対話しながら努力をしている。だから楽しいこともたくさんするが、真剣にやる時はやる。
 
 
こうして、努力が楽しいものだと知った。高校の時からは少しは成長した気がする。
 
 
自分の意思を尊重しながら頑張ることで、サッカー以外にも自分との勝負が増えた。
 
 
自分の意思がやりたくないと言っても、やらないといけないことはある。
 
 
当たり前のことではあるが、この勝負にどれだけ勝てるかはとても重要だ。負けることは多いが、頑張って勝ち星を重ねて行きたい。
 
 
 勝負する準備はできている。都リーグ一部の相手はもちろん、自分とも。日々、誰かに意見を求めようと戦うのも勝負なのだ。
 
 
 
 
ちなみに3月5日、公式戦デビューしました。2年遅れのスタート。
 
頑張ります。
 
 
 
2年プレイヤー 歌俊亮

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