遅咲き

大学に入ってあっという間に一年以上が経過した。一年生の間は授業がほとんどオンラインで、部活ができない期間が長かったから(怪我をしていた期間も割と長かったし)、なんだか一年経った気がしない。そんな一年だったからこそ、自分のことを考えることは多かった。その中で思ったのは、東大、そしてア式に入って、これまで自分が得意だったはずのものが得意ではなくなってしまっているってことだ。

得意なことは何かと聞かれた時、大学に入る前まではとりあえずサッカーと答えておけばいいと思っていた。あとは強いて言うなら勉強も割とできる方ではあった。一番にはなれなくとも、周りと比べて相対的にはできる方だった。でも今はそうじゃない。なんだか自分を形作っていた二本の柱が揺らいでしまった気がする

勉強で挫折するのは、東大生あるあるだけど、サッカーがこんなにできないとは思っていなかった。ア式の中でも、高校時代に一緒にやっていたやつらは成長していて、ア式の中心選手になってるやつとか、自分より先にAチームに上がってベンチ入りしたやつがいる一方で、自分は成長どころか、下手になってしまったようにも感じる。

特に最初の方はひどかった。練習再開して、サッカーができる喜びを感じる一方で、下手になっている自分が嫌になった。昨シーズンはいったん上手くいかないとそのまま負のスパイラルに陥って、ずっと自分が思うようにプレーできなかった。何より、高校の時はあまり怪我をしないというのが長所だったのに、昨シーズンは怪我で離脱する期間が長かったし、ちょうど育成チームにとっての公式戦であるサタデーリーグや国公立大会と重なったことで、みんなが急激に成長していくのをただただ見ているだけだったのが辛かった。

そのせいか、サッカーを嫌いになりかけた。冬オフの間は全くサッカーをしなかった。コロナウイルスの影響もあって、地元の友達とサッカーをすることもなかったし、家でボールを蹴ることもなかった。受験期ですら一人でボールを蹴ったり、友達とフットサルをしたりしてたのに。新シーズンに向けて、本当は良くないとわかっていながらも、なんとなくサッカーから離れようとしてたのかもしれない。

でも、辞めようとは思わなかった。本当の意味でサッカーを嫌いになったわけじゃないから。サッカーから少し距離をおいたことで、今シーズンが始まったときのプレーする楽しさは半端なかった。この気持ちを忘れないようにしたいと思った。だからこそ、今シーズンは例え上手くいかなくても、それすら成長機会と捉えて楽しんでやろうという気持ちで取り組んでいる。そのおかげか、徐々に良くなってるという実感がある。相変わらず怪我をちょくちょくしてるのだけが不安ではあるが。

思い返してみると、高校に入った時もこんな感じだった。高校受験で体がなまっていて、体験入部のときのミニゲームで初心者だったやつに一対一で抜かれたのは未だによく覚えている。そんなもんだから、初めのうちは一年生だけでチームを作ったときですらスタメンで出られないような選手だった。だけども、そこから徐々に良くなって、ポジションをコンバートして、高校一年の途中からはずっと試合に出られるようになった(怪我をあまりしなかったのが大きかったけど)。

大学になってサッカーのレベルが上がったし、一浪してブランクが長かったのもあって、またしても周りに遅れをとったような気がするけど、まあ想定内だ。一回下手になって、そこから這い上がる。それが自分の個性だから。上手くいかないことを無理矢理肯定するための言い訳っぽくなってしまったけど、大学生になっても好きでサッカーやってるんだから楽観的に考えていこう。

そんな感じでやれることを愚直にやっていって、のし上がってやろうというのが今の心持ちだ。

2年 福島隆人


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