言い訳

「怪我をしない」
HPに掲げた今シーズンの目標が見事なフリとなり、入部から3ヶ月で3回怪我をした。
僕が怪我人として外からピッチを眺める中、同期たちは確実に成長していた。
いきなりトップチームのスタメンに抜擢される奴。少ないチャンスをものにして、ステップアップしていく奴。
昨日まで同じカテゴリーで練習していたはずの同期が、一人、また一人と消えていき、僕が練習に完全復帰した頃には、自分一人だけが取り残されていた。
つい数ヶ月前まで、同じスタートラインに立っていたはずなのに..
いや、実際はスタートから既に出遅れていたのかもしれない。
思えば、初めてア式の練習に参加した時、レベルの高さに度肝を抜かれた。
だって、言っても東大よ?みんな勉強しかしてこなかったんじゃないの?
練習初日で、その舐めた考えは一新された。
東大でさえ、自分が一番下手くそだとは思っていなかった。
どうやら、本当に勉強とサッカーを両立できる人たちがいるらしい




高校時代、本当の意味での文武両道は不可能だと思っていた僕は、受験中心の生活を送っていた。
比率で言ったら、勉強7、サッカー3くらい。
いや、8:2くらいだったかもしれない。
とにかく東大に現役で受かることだけを考えていた僕は、そこそこサッカーが強い高校に通っていたこともあり、当然ずっとBチームに所属していた。
当時の僕は、それがベストな選択だと思っていた。実際Bチームでは毎試合出場できて楽しかったし、成績を維持するだけの勉強時間は容易に確保できた。
しかし今思えば、僕は勉強を言い訳にして、サッカーに真面目に向き合っていなかった。
受験を言い訳にして、Aチームに上がれない自分を正当化していた

本当に情けない。

運良く現役で合格できたから良いものの、もし落ちていたら、今度はどんな言い訳をしていただろうか。




無事東大に合格した後、僕の大事なことランキング第1位から「受験」が消え去り、自動的に「サッカー」が1位に昇格した。
だから大学入学後、ア式に入部することは自然な選択だったし、今でも全く後悔していない。
(他のサークルの新歓に行かなかったことだけは後悔してるけど)

ア式は本当に魅力的なチームだと思う。

良い意味で"浮いている''ア式が、Jユースや選手権常連校出身ばかりのスポ薦軍団を倒す姿にはロマンを感じるし、何より魅力的な人たちに囲まれている。
「トップチームで活躍しながら、現役で東大に合格する」
それが可能だと教えてくれたのも、同じ高校出身のア式の先輩だった。
ア式には、そんな尊敬できる同期、先輩方がたくさんいる。
みんな信じられないくらい高いレベルで、文武両道などという陳腐な言葉では言い表せないほど高いレベルで、勉強とサッカーを両立している。
比率で言ったら、間違いなく勉強10、サッカー10




夏休みに入っても、週6で本郷に通う日々は変わらない。
ただ週6の部活が大変だとも特に思わない。
毎日遊び呆けている友達のインスタを見て、羨ましいなあと思うことはあるけど、だから部活を辞めるかというと、それは別の話だと思う。

だってサッカー楽しいじゃん。

10年以上サッカーを続けてきたが、ここまでサッカーが楽しいと思えたことはない。
特に練習が楽しいと思えたのは、人生で初めてかもしれない。
高校時代、ピッチ上を気分で上がったり下がったり開いたり閉じたり、とにかく適当にプレーしていた自分にとって、それだけア式のゲームモデルはしっかりしていると感じられるし、
高校時代、練習中ずっと走らされていた思い出しかない自分にとって、それだけア式の練習の構成は合理的だと感じられる。

ただ、正直みんなほど成長が感じられていない。

それが、自分の努力不足なのか、意識の仕方が間違っているのか、イマイチわかっていない。
何かを変えようと思って、B2のキャプテンに立候補したけど、まだ胸を張ってそれが正解だったとも言えない。
大体僕みたいな下手くそは言われることが決まっていて、そのほとんどが技術以前の問題だけど、何回も同じミスをしてしまう。
家でビデオ見て、ああしなきゃ、こうしなきゃと思いながらグラウンドに行って、いざ練習が始まるとまた同じミスをする の繰り返し
最近になってようやく、その原因の一つが「ミスを恐れている」ことだとわかった。
思えば、先日サタデーリーグに出させてもらった時も、結果を残してやろうという気持ちより、チームの足を引っ張らない様にミスなくプレーしようという気持ちの方が強かった。
ミスを恐れるから、ちゃんと相手に正対できないし、プレッシャーを引き受けられないし、消極的なプレーばかりを選択してしまう。
何より、ミスを恐れる奴が成長できるはずもないし、チームに貢献できる訳がない。
やっぱり、心には高校時代の二の舞を演じたくないという強い思いがある。
どうせやるなら徹底的に。その結果が育成チームなら仕方がないけど、それで良いとは決して思わない。

トップチームで活躍する。

そのためには、ミスなんか恐れてる場合じゃないわな。

新たに怪我を言い訳にしようとする不甲斐ない自分に、そう言い聞かせた。




最後に、長くなりましたが、LB会やスタッフの支えのおかげで、恵まれた環境でプレーできていることに本当に感謝します。
雨の中撮影してくださるテクニカルスタッフの方々、
ぶっ飛ばしたボールをわざわざ取りに行ってくださるマネージャーの方々、
ほぼボランティアで毎日練習を組んでくださるコーチの方々、
そうした周りの方々を見ると、自分も下手くそなりにチームに貢献しなきゃと感じます。
その一つが全力でサッカーに向き合うことならなおさら。


いつか大先輩のように熱いfeelingsが書ける様、サッカー10の四年間を過ごします!



1年 榎本健

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