来たれ我に黎明2
鹿島田聡(4年/FW/暁星高校)
最後のfeelings、何を書くか非常に迷ったが、feelingsは自分の頭の中を整理する良い機会だと思うので、まずは前回に引き続き、自分がしばしば考えることについて書こうと思う。
なおこの内容は前回の内容の続きとも位置付けられるので、前回作を読んでからの方がわかりやすいかもしれない(http://ashiki-feelings.blogspot.com/2023/05/blog-post.html)。
まず前回のfeelingsの最終的な着地地点をすごくざっくり述べると以下のようになる。
ネガティブな気持ちになることを避ける「方法」を複数自分は持っていると考えている。しかしそれらを使い過ぎると、現実から目を背け続けることとなり、結果的に目標達成から遠のいてしまう。そこで、現実を見るときと現実から目を逸らすときとの「バランス」をうまく調整する必要がある。どう「バランス」をとるかは良くわからないけど。
といったところである。
今回のfeelingsを書くにあたって、これまでの、というか、特に今年のア式での日々を思い出してみたら、如何にこの「バランス」をとるべきかについての答え、基準が少しだけわかったような気がした。それについて以下述べていく。
まず具体的な局面において、その状況に応じて様々な「方法」を使うことは基本的には良いと思う。なぜならそれで自分が良い精神状態で物事に取り組むことができるからだ。気をつけなければならないのは、ネガティブになることを回避するために使われる「方法」である。これに注意が必要となる理由は、まあ前述のとおり、使いすぎることで現実から目を背けることになってしまうという問題があるからだ。つまり色々ある「方法」の中でも、ネガティブ回避のためのものは特に注意すべきということである。
なお、ネガティブ回避「方法」の具体例を書くと、楽観的になること、何か別の物に没頭すること、割り切ること、などがある。簡単に言えば、考える量を減らすことであり、同時に現実逃避でもある。故に使い方には注意が必要である。
ではこれをどのような場面で使うべきか。これについて自分は、過度な現実逃避というリスクに見合うだけの覚悟、勇気があるのなら、使うべしと考えるに至った。そしてこの覚悟や勇気は、それまでの自分の行動/積み重ねによって形成される。簡単にいうと、「今までこんだけやったのだから、そこの部分は何とかなるだろう」と考える、ということである。
この覚悟、勇気というものは今思ったが、自信なのかもしれない。平常時には、現実を見て、やるべきことをやり尽くし、その経験がいつの日か自分の自信になる。そしてヤバくなった時に、その自信のおかげで気を改めてまた次に進むことができる/別の何かに完全に集中することができる。逆に、現実逃避をする勇気がない時期は、まだ頑張りどきだということである。そして、自信があれば、最終的に失敗に終わったとしても後悔は残らないだろう。
これらの自信は、積み重ねにより得られるものであり、その中で成功体験が入ると、一層の自信になる。ちなみに、自分は、成功体験とは人が成長していく上で、非常に大きな役割を果たすと考えている。なかなかうまくできなくても、一回でも成功すれば、良い感覚を掴めるし、次やるときの自信になる(試合の最初に一回裏をうまく取りに行くとか、ボールをうまく収めるみたいな)。
これを今期の自分について軽く書いておくと、自分は5月くらいに超絶コンディション不良の時期に陥った。そして試合に出られなくなった。このときのことを考えると、自分が1日にできる物事の量、考えられる量を余裕で超えていた気がする。そこで、自分は、(具体的なことは書きたくないので書かないが、)とある同期の根拠のないアドバイスも貰いつつ、自分がやるべき行動と考えるべき事柄をかなり限定することにした。その結果、それ以降は、自分がその時やるべきことに集中し、過度なストレスなく、その日の練習・試合に全てを出す準備ができるようになった。そして実際、6月のリーグ戦中断期間中の試合で、自分がしたいプレーができ、点も取ることができた。
この変化は、それまで自分が積み重ねていた部分が大きかったので、不安はあったものの、決断に踏み切ることができたと思う。また同時に、常に自分に要求し続けることも勿論必要だし大事だが、自分の特性、性格を理解した上で、自分に合ったやり方を見つけることの重要性を認識した。
以上のように考えてくると、「現実から目を逸らす」ということも、そんなネガティブな意味ではなく、自分に自信がついた結果であると、ポジティブに捉えることもできそうである。しかしここにも落とし穴は当然存在するのである。この点については、今後も忘れたくないのでしっかり書いておこうと思う。
積み重ねにより自信がついて、考える量を減らすことができた時というのは、一つのトンネルを抜けかけたような状態になるので、物事がうまく行く可能性が高い。しかし気づくとなんかうまくいかなくなっていることが割とある。そして、またしてもうまくいかない沼にハマっていく。
こういう状況に陥っているとき、割とあるのが、自分が本来やるべきこと/できること/大事にしていること/自信の元になっていることを忘れているということである。調子が良い時は特段意識せずにできていることも、段々マンネリ化していって、ふと気づいた時には忘れてしまっている、できなくなっていることがある。それは大きなことから小さなことから何でも起こりうる。
自分に関して言えば、最後の方(8、9月)、サッカーにおける自分の強みというものを忘れていた気がする。まず自分が思う自分の強みをここで書くと、前への推進力、ゴールに直結するプレー、ゴール前へのスプリント、といったところである。これらが自分の特徴であることは勿論わかっていたつもりだし、この特徴を出そうと毎練習、毎試合、アピールをするわけではある。ただもうちょい詳細なところ、うまくいっているときの準備、スプリントをかけるタイミング、仕掛けるときのボールの運び方、考え始めたらキリがないが、もっと意識して準備することはできた。これに気づいたのは、10月4日の練習。引退まで残り5日の段階である。その日はいつものように紅白戦が行われ、そこで自分は紅白戦では割と久々にゴールを決めた。どういうゴールかというと、シンプルに、誰かが右の前の方でボールを取ってセンタリングをあげ、左のサイドにいた自分がスプリントしてギリ間に合って決めた、というものである。そのゴールを決めたとき、自分は「あー自分てこういう特徴の選手だよなあ」と思った。練習後にもチームメイトに同趣旨のことを言われ、非常に納得したのを覚えている。そして、その後の数日の練習では、良いときの感覚を思い出し、自分としては最後の1週間はア式蹴球部にいた4年間の中で、最も良いパフォーマンスを発揮できたと思っている。土曜のクロスシュートのときの左足でのクロスも、かつてのいい感覚を思い出して全部良いクロスを上げられたし、特に木曜の紅白戦で、自分のアシストからでかいCFの人が決めた時はめっちゃ嬉しかった(何もないのになんか幻のゴールになったけど)。
以上の話は、このような状況に限った話ではなく、一般的に言えることなので、重要だと思う。こうした状況に陥ることを防ぐ方法として考えられることは、シンプルに調子が良い時に、なぜうまくいっているかを分析し、その理由とそのときの感覚、今後疎かになりそうな部分を事前に整理して記録に残しておくしかない。要は、初心を忘れない、という話だ。
以上が前回の続きの自分の頭の中の話である。これは今期を通して自分が辿り着いた一つの答えである。当たり前の内容かもしれないが、今後の自分のためにも一回整理をしておいた。
ここまで前回の続き的に自分の頭の中のことを書いてきたが、最後に自分のサッカーについて少し振り返る(主に今期)。
今期、最初のカップ戦から始まって、たしか8節くらいまでは試合に出場していた。しかし前述のように、途中から試合に出られなくなり、リーグ戦前期最終戦に初めてメンバーから外れた。その後、前述のように、気持ちを改めて中断期間で良いプレーをすることができた。しかしその試合で同時に8週間の怪我を負ってしまった。復帰したのは8月の双青戦。そこからは過度なストレスなく、サッカーに集中することができ、コンディションも上がっていった。この8月以降には、自分ができるプレーも増え、成長することができたと思う。自分にとっては意味のわからなかったシャドーというポジションのやり方が少しわかったし、ア式でしばしば言われる「手前と奥」や「スピードを上げない」などの概念が一層理解できた気がする。しかし、現実には、8月に復帰した後もメンバーに入ることはできず、結局、リーグ戦が終了するまで、自分がメンバーに入ることは一度もなかった。
5月くらいに試合に出られなくなった時は、自分のプレー状態から考えて、正直、自分が試合に出ないことも納得できた。その後、中断期間あたりで復調してきたことは良かった。ただ、その後に負った怪我は、自分が調子を上げていこうとしていた時期だっただけに、自分が今までサッカーをしてきた中でもトップレベルに悔しかった。去年からも怪我はしばしばしていたが、サッカーをしたくてもできないという日々は相変わらず本当に何もない時間だった。生活から色が消えて、全部灰色になった感じだった。
その後、復帰して、8.9.10月と公式戦は続いたが、一度もメンバーには入らなかった。2023年10月7日、リーグ戦最終節の前日練習の日。練習後に部室で最終節のメンバー発表の連絡を見たときの感覚が今でも鮮明に頭に残っている。自分がメンバーに入っていないことを見た瞬間、自分の中で何かが無くなっていくのを感じた。それが野心なのか、緊張感なのか、よくわからないが、メンバー発表の前後で自分が全く別の世界にいるような感覚だった。
正直、自分のようなタイプの選手は1人くらいベンチに置いといてもいんじゃないかとも思っていた。しかし、一度メンバーから外された選手として、それをもう一度覆すほどのアピールはできていなかったのだと思う。
シーズンの最初から、前述のような考え方ををしていれば、コンディションを崩すことも自分の特徴を忘れることもなく、望ましい結末になっていたのかもしれない。しかし、そんなことを考えていても過去は変わらないし、仮にそうだとしても自分は別の問題に直面していていたと思うので、今期、自分がやってきたことに後悔はない。事実は変わらないがそれにどう意味付けするかは自分次第ということを誰かも言っていたので、それに従いたい。
今期を通して、自分は前述のような考え方を身につけることができた。内容は非常に当たり前のことかもしれないが、時間をかけてでもそれを認識することができたことはプラスに考えたい。そして、ここで身につけたことは今後の人生で絶対に無駄にしないし、ここで味わった悔しさも絶対に忘れない。
最後の最後に、自分がここまでサッカーをやり続けることができたのは様々な人の支えがあったからです。監督、コーチ、同期のみなさん、一緒にア式蹴球部で活動してくださった先輩・後輩方、スタッフのみなさん、ア式蹴球部を日頃からサポートしてくださる方々、他大学でもサッカーをやり続けていた高校の同期、家族、毎月のように自分の話を聞いて自分をサポートしてくださった方、どこか遠くで応援してくれた方々、自分が一方的に頼りにしていた方々、ありがとうございました。
鹿島田聡
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